土曜深夜の大喜利番組、『着信御礼!ケータイ大喜利』(NHK総合)が今年で10周年に!

本日7月18日(土)に放送される「10周年記念スペシャル」は、NHKホールで公開収録を行ったもの。私、レジェンド14号INOとして、NHKホールまで行ってまいりました。

と言っても、2階席から観覧です。
レジェンドが解説「着信御礼!ケータイ大喜利」10周年記念SP公開収録レポ
祝・10周年!NHKホールのロビーに飾ってありました。この絵柄に今田さんが難色を示した時代もありました……。

レジェンドだけど、抽選から参加


収録が行われたのは6月26日(金)。外は豪雨。NHKホール前に傘をさした列が並ぶ。
レジェンドが解説「着信御礼!ケータイ大喜利」10周年記念SP公開収録レポ
雨のなか並ぶ観覧のみなさん。NHKホールのキャパ3000人が埋まりました。年末に紅白歌合戦をやるところで大喜利をします。

『ケータイ大喜利』は段位システムになっている。一度も採用されたことがない人を「ルーキー」と呼び、採用されると「メジャー初段」になる。以降、採用され高評価(アンテナ3本)を受けると昇段。
9段でアンテナ3本の評価を受けると「レジェンド」という最高位になる。

僕、その最高位のレジェンドなんです。レジェンドなんですが、番組観覧は公平に抽選から参加。座席くらいはステージそばかも……と期待するも、他の方と同じように座席指定はランダム。2階席に。特別扱いされるかも、と思った自分を恥じました。
すいませんでした。

NHKホールのキャパ3000人が開始前に埋まり、3階席まで満席。客層は10代の若者からお年寄りまで幅広い。このまま「のど自慢」が始まってもおかしくない。ここまで広い客層の支持を得られるのは、ベタすぎず尖りすぎずという絶妙なバランス間隔があってこそのこと。10年続いた結果の一つが、この客層なのだと思う。


名物「声のお題」もスペシャルに


今回の公開収録では、過去に「声のお題」で活躍したゲストが集結した。阿藤快・蛭子能収・高山善廣・山下真司・山村紅葉・ななみちゃん(NHK-BSのキャラクター)という面々。声のお題のアベンジャーズと言ってもいい布陣である。

「声のお題」とは、大喜利の答えをゲスト自身が読み上げるもの。例えば「旅番組『今日の阿藤快さん、やる気ないな〜』何を言った?」というお題が出て、視聴者から寄せられた回答を実際に阿藤快が読む。「おかあさん、その話し長くなる?」など、あの声で答えてくれるのだ。これまで声のお題で登場したゲストは200人以上にもなる。


松木安太郎「あの審判昨日キャバクラで会いましたよ!」('08.3.16放送)
土井善晴「今日はね私の嫌いな芸能人さしすせそを覚えて帰って下さい」(’14.10.11放送)
古谷徹「アムロ、一軒目で吐いたけど行きます!」('15.6.6放送)


投稿者は「本人が言いそうだけど絶対言わないこと」を狙う。でも、それを生放送で本人が言ってしまう。ギャップが大きければ大きいほど笑いにつながる。

ただ、投稿者にしてみると、これほど自分の手を離れるお題もない。
ただでさえ「ケータイ大喜利」は制約が多いのだ。

日本一「制約」の多い大喜利


ケータイ大喜利の投稿は30文字以内(記号・句読点含む)。テキストのみで、イラストはもちろん絵文字も不可。
テレビで放送されるので、放送禁止用語はもちろん、下ネタや暴力的表現はNG。さらにNHKなので企業名や商品名もダメ。特定の芸能人をいじるネタも採用されにくい。

ここまでなら、NHKラジオ第1『すっぴん』の「日本一早い大喜利コーナー」など、ラジオのハガキ職人もほぼ同条件。ケータイ大喜利は、評価を得るまでのプロセスが長い。集まった投稿に対し、放送作家が1次審査をし、通過したものを千原ジュニアが選定し、板尾創路が審査する。
選ぶ人と審査をする人が異なるのだ。

また、ライブの大喜利なら、読み上げ方や自分のキャラで押すこともできる。テレビやラジオの投稿ではそれはできず、読み上げは番組サイドに任されてしまう。さらにケータイ大喜利の「声のお題」では、ゲストがどんな感じに読んでくれるかで、ハネる具合が大きく変わる(噛んでしまうことも……)

こうした「制約の多さ」は俳句を連想させる。17音・季語・切れ字などのルールが厳密な俳句は、その制約ゆえにクリエイティブを刺激し、多彩な表現を生む。ケータイ大喜利が10年経っても面白さを保っているのは、俳句の普遍性に通じるものがあるのではないか。

でも、大人しく制約を守っている投稿者ばかりではない。くぐり抜けたアプローチも紹介しておこう。'15.5.9放送分から。

お題「北斗晶さんが家族でハワイ旅行。「はしゃいでるなぁ…」夫に何と言った?」
答え「健介! 本場の大型会員制倉庫型量販店に行こうぜ!」


「コストコ」が言えないことを逆手にとった回答。ケータイ大喜利への投稿は「制約」を意識すると採用確率が高まる……かも?

レジェンドあるある


10週年SPでは、乃木坂46とさだまさしが読み上げのゲストとして初登場。特にさだまさしは、ケータイ大喜利と同じ枠で放送している「今夜も生でさだまさし」(毎月第4土曜のみ放送)とのコラボ。普段絶対交わらない両者が共演するスペシャルだ。ゲストの和田アキ子と勝手に絡み始めるさだまさし。2人の会話を穏便におさめる司会の今田耕司の手腕にも注目である。

ちなみに、公開収録終了後、レジェンド&メジャーオオギリーガーが渋谷で集まる会があった。レジェンドが10人もおり、参加者全員の段位を足すと100段を優に超える人たち。「力を入れたネタではなく、様子見で送ったネタが採用され、そっちが自分のベストに見えてしまう」「こんなに続くと思わなかったので適当な名前で始めてしまった」など、レジェンドあるあるで盛り上がりました。

『着信御礼!ケータイ大喜利 10周年スペシャル』(NHK総合)は、7月18日(土)23:30から放送。

(井上マサキ)