来年3月に開催される野球の世界一決定戦、第3回WBC(ワールドベースボールクラシック)の監督問題が注目を浴びている。

9月4日の出場決定以降、候補として名前が挙がっているのは巨人・原辰徳、ソフトバンク・秋山幸二の両現役監督、過去に日本代表のコーチ経験がある山田久志氏、伊東勤氏、山本浩二氏、そして名将として名高い野村克也氏、落合博満氏だ。


2006年の第1回大会では、王貞治監督が圧倒的なカリスマ性でチーム率い、世界一を勝ち取った。一転して2009年の第2回大会では、原辰徳監督が選手たちのよき兄貴分としてチームをまとめ、連覇を達成。アプローチの方法は違えど、両者ともに短期決戦で強豪国を撃破していった名将だ。今大会の監督が誰に選ばれるにせよ、そのプレッシャーは大きいだろう。

そんななか、メディアや野球ファンのアンケートなどで常に待望論が語られているのが落合博満氏だ。2004年から8年間、中日の指揮を執り、すべてAクラス入りさせ、リーグ優勝4回、日本一1回を達成。
中日を常勝軍団に育て上げた“オレ流”で日本代表を率いてほしいと思っている野球ファンは多いはずだ。

だが、本人はマスコミを通じて「(WBCの監督は)絶対にない」と明言している。

「落合さんは、基本的に『プロ野球の選手が国際大会に出場してもメリットがない』というのが持論。ケガなどのリスクがあるばかりで金にはならないということですが、どうも監督についても同じ考えのようです。

WBCなど国際大会での監督、コーチへの報酬は1000万円から1500万円程度といわれています。1回の講演で100万円以上も楽に稼ぐ落合さんにしてみれば、11月の代表監督就任から翌年3月まで5ヵ月間も拘束される上、3連覇を逃せば叩かれるだけの代表監督は“割に合わない仕事”。
そう考えても無理はないですね」(テレビ局関係者)

それに加え、落合氏は仮に代表監督を引き受けるとしても、選手選考のチームバランスなど一切の“大人の事情”を無視した全権を求めることは間違いない。そのため、12球団にとっては“好ましくない候補”なのだという。

それでも落合氏の名前が時折浮かぶのは、NPBの加藤良三コミッショナーが相当ほれ込んでいるかららしい。

「ふたりは秋田県出身の同郷人。加藤さんが2月に各キャンブ地を視察した際、他チームでは30分程度の挨拶で帰るところ、中日キャンプだけは監督室にふたりでこもり2時間も話し込んでいたことがありました。加藤さんとしては、在任中に落合代表監督を実現させることが悲願なのかも」(セ・リーグ球団関係者)

しかし、落合氏本人は最近の講演でも「永遠にない」と宣言。
顔面麻痺など体調面も気になるが、それ以前にやる気がないということらしい。

前回大会の監督が決定したのは、2008年10月28日のこと。このWBC監督問題、しばらくは続きそうだ。

■週刊プレイボーイ40号「WBC監督問題 な、なんでこーなるの……?」より

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