今回の記事では森絵都の名作ジュブナイル小説『カラフル』のあらすじをご紹介します。
森絵都は1991年に児童文学『リズム』で鮮烈なデビューを飾った作家。センシティブな描写で読者の心を掴み、2006年には『風に舞い上がるビニールシート』で直木賞を獲得しています。
『カラフル』はサンライズの原恵一監督により2010年にアニメ映画化され、こちらも注目を集めました。
※本稿は作品のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。
『カラフル』のあらすじ
主人公は記憶喪失の亡者。自分がどこの誰だか覚えておらず、何故ここにいるのかもわかりません。
そこへ突如として白い翼を生やした青年が現れ、抽選に当たったと告げられました。

青年の名前はプラプラ。彼は天使で、ここはあの世の停車場だそうです。
厳正な抽選の結果、意識不明の重体で入院中の中学生・小林真として生まれ変わるチャンスを掴んだ主人公。
早速地上に降り、真の体に宿ります。退院後、主人公は小林真として日常に復帰しました。
毎日のように学校へ行き、同級生や家族と過ごす中で、徐々に真が抱えていた事情がわかってきます。真は自殺を図って病院に運ばれました。
原因は片想い中の後輩・桑原ひろかが、知らない男性とラブホテルに入っていく現場を目撃したショックに加え、同じホテルから不倫相手と共に母親が出てきたこと。
生前の真はクラスに馴染めず孤立しており、友人もいませんでした。退院後も状況は変わりませんが、地味なクラスメイト・佐野唱子は真の変化に気付き、その振る舞いに違和感を感じます。
そんな彼の慰めとなったのは、真が所属していた美術部に通い、彼が描いた絵を眺める放課後のひとときでした。
ある日のこと、再びラブホに入ろうとしているひろかを見かけます。慌てて制止に入ったものの、ひろかにはまるで反省の色がありません。
息子の身を案じる母を振り切り、衝動的に家出した先の神社では、不良グループに袋叩きにされてしまいました。
病院に逆戻りした主人公は、見舞いに来た唱子を邪険にし、ベッドに押さえ込んで脅迫します。
プラプラは主人公の態度を窘めますが、残り半年しか寿命がない彼は、すっかり心を閉ざしてしまいました。退院後、真は同じクラスの男子・早乙女と急接近。
友達ができたことで前向きになり、彼と同じ高校に行きたいと考えだします。時同じくして父親から釣りに誘われ、母親が不倫に走った背景を聞かされ……。
主人公は小林真として、残り少ない人生をやり直すことができるのでしょうか?