アナログレコードを買うことがある。

普段レコードを買わない方は、「レコード=中古」というイメージを持たれるかもしれないが、実は、レコードでの新譜というのは現在でもきちんとある。
レコード屋さんにも、新譜コーナーはあるのだ。

しかし、よくよく考えてみると、アナログレコードで新譜をリリースするなんて、なんとも凄い話だ。

CD全盛時代を通り過ぎ、データでのやりとりも盛んに行われているのが、昨今の音楽ソフト業界。そんな時代にわざわざアナログ化するメリットがあるのだろうか?

今回はレコードのプレスからプロモーションまでを行っている株式会社ダンスミュージックレコード(以下DMR)にお話をうかがった。

「アナログレコードユーザーの間ではレコードを探すことを『掘る』と表現しますが、この言い回しの通り、レコードユーザーは日々よい音を発掘することに精力的な方が多いです。そんな能動的に音楽を聴くリスナーに向けて、アーティストや楽曲をアピールすることができます」とDMRの担当者。


いまだにレコードで音楽を聴くという、コアなリスナーに向けてリリースしているということか。

「コアな音楽ファンへのアピールは、新たなファン層の拡大に繋がる可能性もあります。というのも、アナログレコードユーザーの中には、DJをされている方が多く存在しています。そういったDJに気に入ってもらえれば、クラブなどで曲がかかり、そこから口コミ効果などにより、作品の知名度を上げたり、CDの売り上げもあがると考えています」とのこと。

なるほど、

【コアなファンにアピールする為にアナログ化】

【クラブプレイしてもらう】

【それを聴いたリスナーがCDを購入】

といった流れがあると。

要するに、レコードを購入したコアな音楽ファン(DJ)に、作品のプロモーション(クラブプレイ)してもらうということである。


「足を使ってレコード店を回り、レコード箱と向き合い、お気に入りの楽曲を発見する。そういった色々な想いやストーリーが詰まったレコードが、クラブ等でプレイされることによって、その想いと共に作品の良さがリスナーにも伝わり、作品やアーティストのファンが増えることはあるのではないでしょうか」と語るDMRの担当者。

そういえば、私もクラブに足しげく通っていた頃には、聴いたことなくてカッコいい曲に熱くなっていた。DJがかけている曲が知りたくて、DJブースに張り付き、必死にジャケットを見ようとしていたっけ……(暗くてほとんどわからず)。

DMRでは現在まで、数多くの作品のアナログ化を実現させ、色々と反響もあるようだ。
アナログ化を依頼した音楽レーベルからも、

「アナログリリースの後、CD化も行っているのですが、CD化のための口コミ効果があった」(ドリーミュージック)
「CD購買層ではない、アナログ・リスナー層にも、アーティストの認知度が広がったように思える」(おもちゃ工房)

といったコメントが寄せられている。


アナログレコードによるクラブプレイ。それによって得られる新たなファン。そのファンたちによる口コミ効果。それがCDの売り上げに繋がる。

こういった流れがもっと大きくなってほしい。アナログレコードの存続のためにも。

(ドープたつま/studio woofoo)