最近、おやつ&晩酌のつまみして、個人的にはまっているものがある。知り合いからお土産としてもらった「上州名物 あげうどん」。
名前のとおり、うどんを揚げたお菓子だ。

揚げたうどんは、おせんべいのような適度な歯ごたえを持ちつつも、軽やかな口当たり。マヨネーズ・ソース・カレー・胡麻・のり塩・七味の6つの味は、どれも絶妙な味わいで、一度食べ出すと止まらない。

味の秘密はうどんにある。実はこれ、日本三大うどんのひとつに数えられる「水沢うどん」が使われているのだ。

水沢うどんとは、群馬県渋川市伊香保町の五徳山水沢寺の門前に形成されたうどん店街で出されるうどんのこと。
約1300年前に創建された水沢寺の僧侶がうどんの製法を伝えたといわれ、門前にて参拝者にふるまったのが始まり。いまでは県道前橋・伊香保線沿いにある13店が伝統の味を守り続けている。

あげうどんを販売している“うどん茶屋水沢万葉亭”もその13店の一軒だ。
「水沢うどんは、榛名山麓を流れる水と小麦粉と塩だけを使い、秘伝の手法で2日間をかけて仕上げます」
秘伝といわれる独自の製法を守ったものだけが、水沢うどんを名乗れるそう。強いコシと透明感のある麺が特徴で、つゆにも各店のこだわりが光る。

あげうどんを作ったきっかけは意外なところにあった。

「当店では到着して席に着いたときに“茹でたて”をお召し上がりいただけるようにしています」
とはいえ、昼食時には数百人の団体を同時に迎えることもある。
「うどんは茹で上げるのに時間がかかるので、基本的には添乗員の方と連絡を取りあって、予定時刻に合わせて用意をしますが、交通事情等により到着が遅れることもあります」
茹で上げから時間が経ってしまったうどんは、品質保持のために処分しなくてはならない。このうどんをなんとか再利用できないか? と考えて生み出されたのが、あげうどんなのだ。

いろいろ試行錯誤をするなかで、
「何気なく揚げてみたら、これが意外にもなかなかの食味でした」
その後も改良をかさねていき、味のバリエーションも充実。現在は、あげうどん専用の太さに製麺したうどんを茹で上げているが、1つ1つ職人が丁寧に手で揚げている。
「塩の加減や茹で時間など目安となる数値はありますが、やはり経験によるところが大きい」
というのが手揚げにこだわる理由。

「加工したものであっても納得のできない物は廃棄し、店頭には置かない。あくまでも、“水沢うどんの専門店が作るお菓子”という気概を持ち続けて、ご提供することを心がけております」
ちなみに商品は群馬県優良推奨品にも認定されている。

直売店での売れ筋ベスト3は、マヨネーズ味・ ソース味・カレー味の順。商品は直営売店や高速道路SA、JR高崎駅構内売店、地元の道の駅などで販売中。また同社のウェブサイトからも買える。

水沢うどんの美味しさとこだわりが生んだ、どこか懐かしい素朴なお菓子。
何度もリピートしたくなること必至です。
(古屋江美子)