外を歩いているときに鳥のフンが目の前に落ちてくる……ということがある。

実際、街路樹や電線に鳥が大量にとまっている場合には、「もしかしたらフンが落ちてくるかも」と警戒することがあるけど、ふいに落ちてくるフンというのもある。

自分の場合、上空に何もない交差点で頭の上にフンを落とされたこと、数回。さらにスゴイのは、中学時代にテニスの練習中にコート上で頭の上に落とされたことである。
こうなるともう、警戒のしようもない。鳥はいったいどういう場所で、どういうタイミングでフンをするのか。
山階鳥類研究所に聞いてみた。

「鳥がいつフンをするかというと、枝や電線にとまっているときももちろんします。
でも、飛び立つときや飛び立った直後にもします。さらに、鳥の中には、飛行中にフンをするのだって、いくらでもいますよ」
やっぱり飛行中にもフンをするんですね! 鳥にとってフンをするということは、そのくらい気合も何も要らないものだったのか……。
「鳥の中には、飛行中にフンをするのもいれば、セックスするのもいるぐらいです。鳥にとっては、ただただ食べたら出る、それだけのことですよ」

確かに、飛行中のフンは「ただただ出てる」感じはする。でも、これには意味があると、ある動物園の人は言っていた。
「鳥は空を飛ぶから、できるだけいつでも自分の身を軽くしておくために、いつでもどんどん食べたら出すような体になっているんですよ」
「いつでも」なら仕方ないか……と思う一方で、それでもときどき「わざと狙ってないか?」と思うことだってある。

特に、車の上や、ベランダの上に、ハトのフンを落とされ続けて悩んでいる人はけっこういるけれど……。これについては、鳩対策・鳩駆除の専門家「タケ・アーバンス」がこんな説明をしてくれた。
「確かに、ハトの糞はベランダの隅の方や屋上の特定の場所など、同じ場所に集中する傾向があります。これは、ハトには『同じ動線で生活する』という習性があるからです」

ハトは、「全体を見渡せる高い場所」「羽休めする場所」「エサを取るために準備する場所」「巣作りの準備をする場所」「寝床」「特定のエサ場」など、1日の生活として、同じパターンで必ず同じ場所に止まる動きがあり、フンが自分の行動パターンの目印になっているのだそうだ。

「また、ハトには『場所への執着度が高い』『根気強い』『なかなか諦めない』などの性格があり、一度決めた場所にしつこく飛来する傾向があるのです」
つまり、「自分の車(ベランダ)ばかりが、なぜかハトのフンに狙われてる!」と思う人は、ハトの行動パターンの中の「目印」にされている可能性が大ということらしい。

「ただ食べたら出る」のは防げないけど、もし目印にされているのだとしたら……やはりフン避けの対策は必要です。

(田幸和歌子)