世の中で過酷な仕事といえば、営業だと思います。見ず知らずの会社やお宅へ足を運び、飛び込みで商品をプレゼンする。
その上、あわよくば買ってもらおうとチャレンジしたり。しかも、その商品が車や不動産だった場合……。想像しただけで、逃げ出したくなっちゃうのですが。

話は変わって、就活生。まだ“学生”という身分でありながら、彼ら彼女らが営業力でしのぎを削るイベントが開催されました。ちょっと変わった形式ですが……。


リアルに「わらしべ長者」になったら、就活の特典をゲットできる


「株式会社カケハシ スカイソリューションズ」は、昨日(12月18日)にその名も「リアルわらしべ長者採用」 を開催しています。
物々交換で就活! 「リアルわらしべ長者採用」に密着してきた


ルールをご説明しましょう。
物々交換で就活! 「リアルわらしべ長者採用」に密着してきた

●「リアルわらしべ長者採用」では、まず学生たちが3~4人で1組にグループ分けされる。各グループは街にいる一般の人に声をかけ、物々交換を行う。
●ポイントは2つで、「数多く行う」と「高価なモノを手に入れる」。しかし、例えばティッシュ→ウエットティッシュ→ティッシュ→ウエットティッシュだと、回数を重ねてたとしても値は全く上がっていない。高価なものをゲットできるよう、交渉をがんばること。

●交換回数と、最後に手にした品の定価をポイントに換算し、合計点数で判定を行う。交換は1回につき100ポイント。例えば香水をゲットし、その定価が3800円ならば3800ポイント。そして10回交換できていたならば、10×100で1000ポイント。1000ポイント+3800ポイントで、合計4800ポイントが“獲得ポイント”になる。
「自分たちが交換している品の定価については、ぜひスマホを利用して各自調べてください。
プレミアや割引は一切つかず、メーカーさんが出している定価で判断します」(カケハシ スカイソリューションズ担当者)
●生き物、危険物(爆弾等)、食べもの、公序良俗に反するもの、現金、金券カード(図書券、チケット、宝くじ等)との交換はダメ。また、駅構内や店舗内での交換は禁止。
●持ち時間は45分。制限時間をオーバーし、1分遅刻するごとに100ポイントマイナス。要するに、1分の遅刻によって1回の交換で獲得したポイントが無駄になる。

「『わらしべ長者』という日常から離れたゲームを通じ、営業という仕事の体験をしていただきたいと思います。
営業と言うと『モノを売る』イメージがすごく強いと思いますが、それだけじゃないというのを体感してください。あと、いろんな人にぜひ声をかけていただきたい。『自分がこれと何かを交換してほしいんだ』とアピールする。そこから就活に活きるスキルを身に付けていただきたいと思います」(カケハシ スカイソリューションズ担当者)

今回は、学生たちの奮闘ぶりを観察すべく4つの企業がイベントに参加しています。
物々交換で就活! 「リアルわらしべ長者採用」に密着してきた

「皆様の行動力や企画力がすごく試されると思いますが、仕事にも通じるところがたくさんあると思います」「今日は度胸だとか、人の懐に入りこんだ後に関係性を築いていくための不屈の心などを見ていきたいと思います」といった激励が、各社から学生らに贈られました。このイベントで優秀な成績を収めた人は、参画企業の選考を面接から受けることができるそうですよ!

物々交換を成功させるために作戦会議


というわけで、そろそろ出発! 最初に各チームへ配られたのは、この小物入れです。
物々交換で就活! 「リアルわらしべ長者採用」に密着してきた

これを“元手グッズ”とし、物々交換をスタートさせる。
どんな人を選ぶかは、学生たちの判断に委ねられます。やはり、この品を欲しそうな人を狙うのか?

カケハシ スカイソリューションズのオフィスがある飯田橋を中心に、ゲームは進行していきます。各グループは道行く人に声をかけますが、やはり応じてくれる人はなかなか現れません。
物々交換で就活! 「リアルわらしべ長者採用」に密着してきた

物々交換で就活! 「リアルわらしべ長者採用」に密着してきた

物々交換で就活! 「リアルわらしべ長者採用」に密着してきた

チーム内で「女性が声をかけた方がいいのでは……?」と話し合いも重ねられ、次第に戦略が固まっていくのがおもしろいです。

ちなみに、記者が付いていったグループは1発目にクリップを獲得。
物々交換で就活! 「リアルわらしべ長者採用」に密着してきた

物々交換に応じてくれた人に「これを家に換えてきます!」と宣言する様子からは若さがだだ漏れで、頼もしい限りです。


また、小物入れとパスケースを交換するという大仕事をやってのけたグループもいた模様。このパスケース、1000円程度で買える代物じゃないですよ!
物々交換で就活! 「リアルわらしべ長者採用」に密着してきた

「集団のご婦人からゲットしました!」(学生さん)

また、意識して外国人観光客に話しかけるグループもチラホラと。英語や中国語で交渉し、語学力を見せ付けてくれます。
物々交換で就活! 「リアルわらしべ長者採用」に密着してきた

たしかに日本に来ていながら母国語で喋りかけられると、相手の側もうれしいかもしれません。多くの人が優しく対応してくれました。

就職活動とは“自分の営業”をする場


この物々交換イベントは各45分ずつの二部制で行われ、エンディングでは最終獲得ポイントの上位3チームが“良かった点”や“反省点”を振り返ってくれています。
物々交換で就活! 「リアルわらしべ長者採用」に密着してきた

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こちらの優勝チームが最終的に獲得したのは、「スマホ対応手袋」でした。合計獲得ポイントは、3180!
物々交換で就活! 「リアルわらしべ長者採用」に密着してきた

「僕たちの良かった点は“明るさ”と“計画性”だと思います。特に“明るさ”について具体的に言うと、それは挨拶だと考えています。必ず、会った人に『こんにちは』と『ありがとうございます』を伝えることを徹底しました。これは営業に活きてくる部分だと思い、意識しました」

イベントの最後は、学生と企業による座談会が行われました。
物々交換で就活! 「リアルわらしべ長者採用」に密着してきた

ところで、企業側は学生のどんなところに注目していたのでしょう?
「交渉力と、ターゲティングのやり方です。自分と同じ世代に交渉するのって、一番簡単なんですよね。そこ以外に行くかどうかを注目していました」(A社 採用担当者)
「全く趣旨のわかってない人に対し、どういった形でアプローチしていくのか? どうコミュニケーションをとっていくのか? そういった部分に注目していました。あと一回目と二回目の間に作戦会議があったので、自分たちを客観視してどれだけ改善を図れたかが評価ポイントにつながっています」(B社 採用担当者)

では、最後にカケハシ スカイソリューションズからアドバイスを。
「自分を売り込む、要するに“自分の営業”をする場が就職活動です。どんな人が営業に向いているのか? 『話が上手い人』という回答は△で、それよりも『目標を立て、実行して、改善してみること』が大事です。まずやってみて『ここがダメだったのか』と見直し、もう一度行動できるタイプが営業のできる人だと思います」
なるほど……。おじさんの私にも響きました。“自分の営業”って、素敵な表現じゃないですか!
(寺西ジャジューカ)