綾瀬はるか×高橋一生『天国と地獄』湯浅が東朔也であることが(ほぼ)判明するも、ますます疑問噴出
イラスト/おうか

※本文にはネタバレがあります

まだもうひとひねりありそう『天国と地獄』7話

クウシュウゴウとは「この世にそんな人はいないよ」という意味。

【前話レビュー】日高はかつて「東朔也」と名乗っていた 「朔」は新月を表す…

日曜劇場『天国と地獄〜サイコな2人〜』(TBS系 毎週日曜よる9時〜)の第7話は東朔也の謎に一気に近づいた。

あまりにもあからさまなので、てっきりミスリード要員と思っていた陸(柄本佑)の師匠・湯浅(迫田孝也)が東朔也である可能性が、限りなく高くなってきた。


綾瀬はるか×高橋一生『天国と地獄』湯浅が東朔也であることが(ほぼ)判明するも、ますます疑問噴出
(C)TBS

しかも朔也は日高陽斗(高橋一生)と二卵性双子で、タイトルの『天国と地獄』の意味は、陽斗と朔也の育った環境格差であったという事実。いささか都合の良い展開のようにも思えるものの、どんどん展開していくので満足度は高かった。

なんといっても、少年・朔也と陽斗の関わりが悲劇的で、そこにあのかぼそい歌声の主題歌のピアノ演奏のインストバージョンがかかり、いたいけな少年たちが協力し合って殺人を行っているというストーリーを妄想し、良いドラマを観ている気持ちになってしまうのであった。我ながら騙されやすいと思う。

東=湯浅と言われてみれば、自殺した十和田元(田口浩正)が描き、十和田の住んでいた部屋から東が持ち出した漫画『闇の清掃人』の主人公の衣装――帽子とかジャケットの感じとか全体のシルエットがなんとなく師匠に似ているような気がする。

綾瀬はるか×高橋一生『天国と地獄』湯浅が東朔也であることが(ほぼ)判明するも、ますます疑問噴出
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歩道橋の少女の手紙の真実が明らかに

見た目・望月の日高(綾瀬はるか)は、新月の晩、警備会社社長・久米家に東朔也が殺しに来なかったからか、死んだのではないかと調べるが、彼らしき死亡届けは出ていない。

爆発火災で身元不明の被害者が8人いると知って確認に出かける。
東朔也には右掌にほくろがある。死体の手からほくろを探す日高。

見た目・日高の望月(高橋一生)八巻(溝端淳平)と陸もほくろのある人を探す。落書きを頼まれた人(上杉柊平)にもほくろがあった(なんで〜)。その頃、ちょうど、湯浅は、右手を火傷したとかで、包帯を巻いていた。

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望月に飼われた忠犬のような八巻と陸が初対面。
「陸 八巻 八巻 陸」とざっくり紹介され、「はじめまして〜」とほのぼの。ふたりでパンと牛乳で張り込む姿もほっこり。高橋一生、溝端淳平、柄本佑、上杉柊平とわりとイケメン4人が集まった場面は良い感じであった。

綾瀬はるか×高橋一生『天国と地獄』湯浅が東朔也であることが(ほぼ)判明するも、ますます疑問噴出
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陸と八巻に陸橋の張り込みを任せた望月は福岡にある日高の実家ヘ向かい、父・満(木場勝己)から、歩道橋の少女の手紙の真実を明かされる。その差出人こそ、朔也だった。木場勝己の名調子で語られる二卵性双生児の悲劇。
満と奄美大島出身の母(徳永えり)との出会いからはじまって、母が目撃した小学生時代の陽斗と朔也の話に。

母と離婚した父(浅野和之)と暮らす朔也、再婚した母と日高の家の子になった陽斗。ふたりが一度だけ歩道橋の上で合い、抜けた乳歯を交換する。歯を乗せた掌にほくろがある。

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小学生の陽斗と朔也がかわいくて。朔也の不幸な境遇がかわいそうで……。
離婚した父親は四方という人物に負債を押し付けられ転落の一途を進むというと、やっぱり湯浅の境遇がかぶる。そして四方という名は殺人事件の被害者である。点と点がつながってきた。

その頃、湯浅は倒れて病院に搬送されていた。

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日高の体を持った望月が、本当ならこの体が知っているはずの過去から現在までの様々な想いや体験を想像する。が、わからないことだらけ。
この物語の面白さは、単に、他人の事件の真実を追いかけるのではなく、入れ替わったことで半ば自分のことのようにして感じるところである。刑事・望月は人を殺さざるを得なかった者の心により深く踏み込んでいく。

気になるところがたくさんあるので復習してみる

見た目望月の日高が、朔也らしき人物を求めて病院に向かうが、また新たな猟奇殺人事件が。被害者は警備会社社長・久米の息子だった。9のつく人物といえばそうだけれど……。

この被害者、第6話の終わりから酷い殺され方をした姿が出てきて、第7話でも何度もその遺体のカットが出てきて、これは誰? と気になっていると、そこに歯が落ちていて、小型犬がその周りをちょこまか走っていて、あああと心配したとおり、その歯を口に入れてしまう。この歯と、陽斗と朔也の思い出の歯の関係は――。


綾瀬はるか×高橋一生『天国と地獄』湯浅が東朔也であることが(ほぼ)判明するも、ますます疑問噴出
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日高陽斗の二卵性双生児の兄・東朔也が湯浅であることは、彼の残された命はわずかであることからも間違いなさそうなのだが、このまま湯浅が朔也であることがわかって、殺人の動機がわかったら、話は終わりだろうか。でもまだあと2、3話あるだろうから、まだもうひとひねりありそう。

陸と関係していたことは偶然? 日高、望月、陸、湯浅とたまたま関係あるなんてことあるのか。そこにも何かあるのか。気になるところがいっぱい。そこで、復習しておこう。

綾瀬はるか×高橋一生『天国と地獄』湯浅が東朔也であることが(ほぼ)判明するも、ますます疑問噴出
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朔也を模したような漫画の主人公は存在感が薄くて、誰にも気づいてもらえない。漫画ではミスターXが「そんな人はいないよ」という意味の「クウシュウゴウ」というコードネームを与えて、殺人を依頼する。

ミスターXが女性っぽい(女装?)出で立ちであることも気になるが、「この世にそんな人はいないよ」というセリフが気になる。望月は、月は闇に隠れて目に見えないときも存在はしていることから、犯人も「いるのにいない、なんてない!」と正義感を燃やす。刑事としては、いないふりをして殺人という罪から逃れることが許せないのだろう。

でも、当事者からしてみたら「いるのにいない」は違う意味を持っているのではないか。そこに気づくためにも、望月は他人の体になってみる必然があったのではないか。なんてことを想像してみる。

ところで、容疑者の犬を抱えていた八巻。犬と八巻と陸、なんとなく似ている。八巻と陸はこのまま望月のための働き者で終わるのか。ドンデン返しはないのか。

綾瀬はるか×高橋一生『天国と地獄』湯浅が東朔也であることが(ほぼ)判明するも、ますます疑問噴出
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【第8話あらすじ】病気で倒れた師匠に陸(柄本佑)はある頼みごとを持ちかけられる
【レビュー一覧】日曜劇場『天国と地獄』1〜7話

※第8話のレビューを更新しましたら、エキレビ!のツイッターにてお知らせします

番組情報

TBS系
『天国と地獄〜サイコな2人〜』
毎週日曜よる9時〜

出演:綾瀬はるか(プロフィール) 高橋一生(プロフィール)
柄本佑(プロフィール) 溝端淳平(プロフィール) 中村ゆり(プロフィール)
迫田孝也(プロフィール) 林 泰文(プロフィール) 野間口徹(プロフィール) 吉見一豊(プロフィール) 馬場 徹(プロフィール) 谷 恭輔(プロフィール)
岸井ゆきの(プロフィール) 木場勝己(プロフィール)
北村一輝(プロフィール)

脚本:森下佳子
編成・プロデュース:渡瀬暁彦
プロデュース:中島啓介
演出:平川雄一朗、青山貴洋、松木彩
音楽:高見優

製作著作:TBS
(C)TBS

番組サイト:https://www.tbs.co.jp/tengokutojigoku_tbs/


Writer

木俣冬


取材、インタビュー、評論を中心に活動。ノベライズも手がける。主な著書『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズルポルタージュ』、構成した本『蜷川幸雄 身体的物語論』『庵野秀明のフタリシバイ』、インタビュー担当した『斎藤工 写真集JORNEY』など。ヤフーニュース個人オーサー。

関連サイト
@kamitonami