誤配達の郵便物を受け取ったら、罪になる?
ハンコやサインをする前に、宛先を確認してください!
友人が自宅に本を送ってくれたというのだが、いつまでたっても届かない。おかしいと思って調べてもらうと、引っ越す前の住所に誤って送っていたようで、宅配業者の報告では「配達済み」となっていた。


思えば、以前、友人に貸したCDも、「送った」と言われたまま、結局、いまだに届かない。
これもおそらく、以前の部屋にいま住んでいる人が受け取っているのではないかと思う。

それにしても、宛先に別の人間の名前が書いてあるにもかかわらず、受け取るって、いったいどういうことなんだろう。
以前住んでいた部屋のいまの住人とは面識がないので、直接問い合わせることもできないのだけど、誤配達と知った上で受け取ったとしたら、罪にならないのだろうか。

弁護士をしている友人に聞いてみると、
「誤配送物を受け取ったからといって、罪に問うのは、正直、難しいと思いますよ」
と言われた。

もちろんそれはモノの価値にもよるのだという。

「引っ越しして、ダイレクトメールなど、こまごまとしたものがくることは多いけど、いちいち送り返すとか、前の人に送るかというと、そういうわけにもいかないでしょう? でも、これがたとえば金の延べ棒とか多額の現金書留なら義務が生じるけど」
で、CDや本程度では罪にはならず、せいぜい「保管する義務が生じる程度なのでは?」ということだった。
でも、誤って受け取った相手にとってはどうでも良いものでも、CDや本、さらに友人からの手紙なんかは、自分にとってはけっこう大事だったりするんです。

では、誤って受け取られちゃったのは仕方ないとしても、配達した業者は、罪にならないのだろうか。
「業者も罪にはならないですね。ただし、宅配業者は、基本、面と向かって渡すのが原則で、サインも求めるし、受け取ったのが誰か確認する必要はありますよね? 普通の郵便物なら記録はとりませんが、宅配便や郵便物の小包などは、相手を確認していないと、契約違反になるのでは?」

そこで、気になるのは、「配達済み」となっている記録の名前が、ちゃんと私の名前になっているのか、それとも見ず知らずの人の名前になっているのかということ!
「もし、受け取った人がアナタの名前を書いたり、ハンコを使っていたとしたら、文書偽造や詐欺になるかもしれないし、別の名前を書いているのに、気づかずに業者が渡したのなら、それは明らかにおかしいでしょう?」
確かに!

でも、以前書いた記事では、宅配業者や郵便局は「宛先の“住所”に配達するのが基本で、宛名と違う人が受け取る場合は、自分の名前を書くもの」と言われたけど……。
取り戻す手立てはないのか……。

でも、これまで他にもこういうケースがあった可能性もあり、今後も起こりうることを考えると、「なくなった荷物の行方」、一度きちんと確認しておく必要はありそうです。
(田幸和歌子)