銀行のネット振込は、どうして半角カタカナ?
あなたは最近、「半角カナ入力」しましたか?
最近、半角カタカナで入力していない。
ネット上のほとんどの入力フォームで禁止され、携帯のメールでは“登録できない文字が含まれています”って警告される半角カタカナ。

いつからか、すっかり見なくなっている。

でもそんな時代に、半角カタカナが使われてる場所がある。
それは、銀行のネット振り込み。
振込先の銀行名や名前を入れるとき、要求されるのが半角カタカナ。こんな指定をされるのは、銀行くらいかもしれない。

どうして銀行の振り込みは、半角カタカナなんだろうか。
新生銀行に聞いた。
「銀行の多くは“全銀システム”という、全国の銀行をオンラインでつなぐシステムに加盟しているんですね。その情報フォーマットが半角カタカナを使用しているため、それに合わせているんです」
つまり半角カタカナは、全国の銀行間でやりとりするときの“共通語”。すべての銀行で通用するのが、唯一半角カタカナだから、それを全銀システムでも採用しているってわけだ。

さらに調べると、そもそもの理由は、銀行のシステムにコンピューターが導入されたころにあった。
当時は、高速なコンピューターもネットワーク網もない時代。
日本のコンピューター全体が、情報量が少なくて済む1バイトの半角カタカナを使っていた。そのため、銀行のシステムも半角カタカナで統一。全国の銀行に定着していった。
その後、コンピューターの進化とともに全角文字が使えるようになったものの、一度資金を投入して出来上がったシステムは簡単に変えられない。こうして今も、システムが未熟な銀行に合わせて、共通する形式は半角カタカナのままでいるようだ。

ちなみに最近では、全角で入力できる銀行も多い。
また、新生銀行は半角カタカナであるものの、
「画面上で操作できるキーボードを用意し、クリックするだけで文字が入力できるようにしてあります」
と言うように、銀行単位でサービスの向上に努めている。
半角カタカナがネットから消える日も、もしかしたら近いのかもしれない。

いろんな場所で嫌われて、見ることが激減した半角カタカナ。
そんな彼らが、実は日本の金融界を支えているなんて、あなどれない。
(イチカワ)