
青い空、明るい太陽、広々としたブドウ畑。
カリフォルニアでのワイン作りの歴史は意外と古く、ゴールドラッシュの時代に遡る。
禁酒法時代の不遇を経て、長年安酒のジャグワインでしかなかったカリフォルニアワインが、一流の仲間入りをしたのはここ30年のこと。ワイナリーの数もずいぶんと増えた。
ところが90年代前半、ブドウの木に寄生するネアブラムシの大量発生に見舞われた。突然襲ったネアブラムシの被害は甚大で、あっという間に全体の3割にも上るブドウの木が枯れてしまった。それにより、大多数のワイナリーの経営は、壊滅的危機に陥ったのだそうだ。
しかしそれが逆に、折からの好景気に押されての大型投資を呼ぶことになった。そして今日の大掛かりな科学調査に基づく、精密農法によるブドウ栽培を可能にした。
NASAが開発した3000メートル上空からのデジタル航空写真を駆使し、気候、地質、水質まで調べ上げる。それらのデータから細かく区分された棚田に、それぞれの土壌に最良の相性のブドウ種を植える。
ブドウ種も品質改良を重ね、しかも新たに開発された技術により、台木に接ぎ木をすることで、ありとあらゆるブドウ種をほぼ自在に作付けすることができるようになった。
そういった努力のかいもあり、早くも90年代後半には、フランスワインにも並ぶ、超一流のカリフォルニアワインが次々誕生して行った。
と、ここまでパンフレットの受け売りなのだが、あまりのハイテクぶりに、感心やら目を回すやら。グラスにつがれたワインも、すっかり風味が飛んでしまいそう。
その様子に気づいたのか、案内してくれたワイナリーツアーガイドの人が「科学ばかりでもね、ないのですよ」と、一言加えてくれた。
「それはブドウ畑の側に植えられたバラです。バラはとてもデリケートな植物で、寄生虫や病気が流行ると、真っ先にかかります。ワイナリーのバラは、私たちにブドウの健康状態を教えてくれるドクターでもあるんですよ」
超スーパーハイテクを駆使した精密農法も素晴らしいが、自然の仕組みを利用したロハスな農法もまだ生きているのには驚いた。そしてワインは、自然の恵みであることにようやく納得。感動した!
お土産に是非バラ一枝もらいたかったが、ダメダメダメ。
(チン・ペーペー)