M世代の韓国エンタメウオッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者が韓国のアイドル事情や気になったニュースについてゆるっと本音で語る【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】。韓国エンタメ初心者からベテランまで、これを読めば韓国エンタメに“沼る”こと間違いなし!

【K-POPの歴史を作ったグループたちの復活と現在地】、今回は日本デビュー15周年を迎えた2PMについてお届けします。
ファンとの約束の地、東京ドームに戻ってきた彼らの10年ぶりとなる完全体のライブについてもリポート。“野獣ドル”という新境地を開拓し、30代になっても輝きを増す2PMの魅力とは?

■ハードなダンス曲ぞろいのセットリスト、全力のダンスと生歌で勝負した2PM
編集担当・矢野(以下、矢野):今回は2PMをピックアップします。ゆりこさん、東京ドーム公演はいかがでしたか? とても楽しみにしていましたよね。

K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):ずっと大興奮してしまって、記憶が飛んでいるシーンもあるかもしれない。オープニングから凝っていまして、メンバーが離れた場所から現れて、真ん中で“再集結”するという……すでにそこで涙。

矢野:これまで離れていた時間、そしてまた1つに、ということを表す演出ですね。

ゆりこ:その次に、ハッとしたのは生歌。ずっと基本的に生歌だったんです。そんなの、プロのアーティストなら当然だと思うじゃないですか。でもK-POPは「リップシンク」といって、いわゆる口パクを“必要悪”として許容する部分があります。ハードに踊りながら歌うのはかなりきついですし、世界観を守りつつ、完璧なパフォーマンスを見せるためには、やむを得ない部分はある。そんな中で30代半ばの6人が、本気で踊りながら、声を出していたんですよ。
その姿だけで胸がアツくなりました。

矢野:ゆりこさんがライブに行くと聞いた後、2PMの曲を改めて聞いてみたり、MVを見てみたりしたんですよ。全体的にアクロバットなダンスが似合う、躍動感あふれる曲が多いなと感じました。だからこそ、「本当に歌いながら踊っていた」と聞いて、びっくりしました。

ゆりこ:驚きますよね。今回のライブのセットリストをご覧ください。

【セットリスト】
「2PM Japan 15th Anniversary Concert “THE RETURN” in TOKYO DOME」
01. Take off
02. SET ME FREE
03. Everybody
04. NEXT Generation
05. HIGHER
06. GIVE ME LOVE
07. Beautiful
08. Ultra Lover~Jam Session~Guilty Love
09. 想像してみて
10. ミダレテミナ
11. 僕とまた
12. My House -Japanese ver.-
13. I'm your man
14. マスカレード ~Masquerade~
15. 運命
16. Merry-go-round
17. Fight
18. Promise (I'll be)
19. Winter Games
20. Heartbeat
21. 離れていても
22. Falling in love
23. 365
24. Hands Up
25. I'll be back -Japanese ver.-

矢野:まるでベストアルバムのようなラインアップですね。しかもダンス曲ばかり!

ゆりこ:そうなんです。メンバーたちも“あえて”だと認めていて、「ゆったりした曲を多めに入れることもできた。でも久しぶりのドーム公演だから、ここ15年間の盛り上がる曲を詰め込みました」という趣旨の話をしていました。「正直、このセットリストは(体が)キツイ」ともこぼしていましたね。

矢野:妥協なしのセットリストとステージだったんですね。


ゆりこ:正直なところ「リップシンクや被せ部分も多かろう」「ダンスもゆるくなっているのかな」と覚悟して行ったんです。それでもいいんだ、全員そろう姿が見られるなら……って。でも、完全に見くびり過ぎていました。2PMという野獣ドルを。

■色気とパワーが共存するボーカルJun. Kが背負い続けた「重責」
矢野:そういえば、2PMのメインボーカルは誰が担当しているのですか?
ゆりこ:メインボーカルは今も昔もJun.Kさんなのですが、最初はリードボーカルでジェボムさんというメンバーがいたんですよ。ソロアーティストや起業家として活動していて、新人グループLNGSHOTのプロデューサーとしても活躍中のJay Parkさんのことなのですが。

矢野:えっ!? Jay Parkさんは元2PMなんですか? 最近、千葉雄喜さんとコラボしていましたよね。全くイメージできないです……。
ゆりこ:はい、その彼です。今や韓国のR&B、HIPHOP界を率いる存在ですよね。千葉雄喜さんとの『アニョハセヨ』ではラッパーとしての実力を発揮していますが、彼はめちゃくちゃ歌もうまいんですよ。個人的に、韓国で5本の指に入るボーカリストなのではないかと思っています。
そんな彼が諸事情により、デビュー後すぐに脱退してしまいました。本来であればJay Parkさんの甘美な声とJun.Kさんのハスキーな声、対極にあるようなダブルセクシーボイスで売っていく予定だったんでしょう。

矢野:いきなりの脱退。Jun.Kさんのプレッシャーはすごかったでしょうね。

ゆりこ:本当にそう思います。結果的にJun.Kさんの歌唱力はメキメキ上がっていきましたし、今や彼の声は2PMの音楽面での“顔”だと思います。東京ドーム公演で、テギョンさんが「1日目と違って2日目はちょっと緊張がほぐれてきた」と話す中、Jun.Kさんは「僕はまだ2日目でも緊張しています」と言ったんです。メインボーカルとしての重責、そして彼のパートは高音も多く、外せない難しいところばかり。そりゃあ、そうですよねって思いました。

矢野:ほかにボーカルを主に担当しているメンバーはいるんですか?

■特技は演技だけにあらず! 多才過ぎるジュノの人気を再確認
ゆりこ:意外かもしれませんが、ジュノさんもサビや高音パートを任される、ボーカルの柱としての役割が強いんです。

矢野:今では「売れっ子俳優」のイメージが強くて、もしかしたら歌って踊る姿を見たことがないファンもいるかもしれません。

ゆりこ:今回、ライブ中に「初めて2PMのライブに来た人~?」というMCがあったんですが、思った以上に手が挙がっていました。
きっとドラマからジュノさんにハマった人も多かったんじゃないでしょうか。ジュノさんが出てくるたびに大歓声が上がっていました。

矢野:僕ももともと演技者としてのジュノさんしか知らなかったので、初めて2PMのパフォーマンスを見たときは「な、な、なんとマルチな才能の持ち主……!」と衝撃を受けました。

ゆりこ:あんなに歌って踊れる多才な人だって知ったら、確実にほれ直しますよね。そして、忘れてはいけない! 何でもできるオールマイティなメンバー、ウヨンさんです。

■曲の第一印象を決める“導入担当”でメインダンサー・ウヨンの魅力
矢野:ウヨンさんはグループとしてはもちろん、ソロ活動もしていて昨年日本ソロデビュー10周年を迎えたそうですね。ウヨンさんの魅力はどんなところですか?

ゆりこ:ウヨンさんは2PMの「ダンスの要」。そしてジェボムさん脱退後、ウヨンさんの歌唱パートが増えました。ウヨンさんの声から始まる曲も多いですよ。韓国デビュー曲の『10 Out of 10』、初期の代表曲『Again & Again』から、日本語曲だと『Ultra Lover』『Winter Games』『ミダレテミナ』、あと『マスカレード ~Masquerade~』。もっとあると思います。
矢野:曲の“第一印象”を決める部分を担っている、ということですね。
ファーストインプレッションでぐっと聞き手の心を引き付けることは、数あるK-POPソングの中から選んで聞いてもらうためにとても大切ですし、同時にとても難しいことなのだろうと推察します。ライブの翌日にネットニュースの記事で、2PMのライブ写真を見たのですが、シュッとしてスタイル抜群でした。きっと鍛えたりしているんでしょうね。僕はウヨンさんが30代半ばなんて信じられなかったです。

■「K-POP=高身長イケメン」のパブリックイメージを確立した、2PMというアイコン
ゆりこ:以前のドーム公演で見た時の印象と、あまり変わらなかったんですよね。もちろん本人たちの努力に加えて、コンセプトと元々の持ち味がプラスに生きたなとも思ったんです。2PMのデビュー曲『10 out of 10』は、曲調は違えどもSHINeeの『Replay』的な、きれいなお姉さんに恋する曲だったんです。MVも初々しさが垣間見えます。でもその後すぐに出した『Again & Again』『Heartbeat』ではすっかり少年っぽさを封印している。よく考えたら、当時のメンバーはまだ20歳そこそこで、ジュノさんとチャンソンさんはまだ10代だったのですが、セクシーな黒っぽい衣装に、鍛えた肉体美をアピール。当時は珍しい成熟美コンセプトだったから、大人になった今もギャップを感じないのかもしれません。
矢野:学生時代に老け顔と言われていた友達ほど、案外ずっと変わらないっていうのと似ていますね。
ある段階で“逆転現象”が起こるという。

ゆりこ:そうそう(笑)。あとこれはちょっと前世代的なイメージかもしれませんが、日本のテレビ番組や雑誌で「K-POPボーイズグループ」の例に出されるイラストが「全員が長身」「スーツが似合う」みたいな時期がありましたよね? 今でもそういう固定観念を持っている人はいるかもしれません。そこには、2PMのビジュアルイメージも寄与しているのではないかと思いました。原点までさかのぼると5人時代の東方神起になるのかもしれないけれど。

矢野:確かに、日本人の中で「K-POPアーティストは背が高い」というイメージはあると思います。180cmぐらいあって当然みたいな。

ゆりこ:実際はK-POPボーイズグループのメンバー全員が長身だなんてことはないのですが、そういうイメージは根強いですよね。2PMの場合はデビュー直後に一番小柄だったジェボム(現・Jay Park)さんが脱退して、たまたま長身メンバーが残ったという経緯がありますが、それでも「K-POPボーイズグループのアイコン」となった1組だと思いました。今回のライブを見て確信しましたね。

■終始“自分たちの”日本語で進行し、メッセージを発し続けた6人
ゆりこ:ここでライブの話に戻りますが、もう1つ驚いたのが一度も通訳さんが出てこなかったことです。終始日本語でMCをしていました。それも単にプロンプト(カンペ)を見て読んでいるのではなく、きちんと文法や単語を理解したうえで話しているのが分かるんです。そのうえでボケたり、つっこんだりして会場中の爆笑を誘ったりしているんですよ。すごくないですか?

矢野:2PMが日本活動を頑張っていたのは知っているのですが、その時の努力が実っているということなのではないでしょうか?

ゆりこ:10年もたてば多少は日本語を忘れているのでは? MC短めかな? など思っていたのですが……また見くびり過ぎていました(2回目)! 昔と変わらない、わちゃわちゃトークを最後まで日本語でやってのけた。ブランクを感じさせない努力と能力はアッパレでした。

矢野:チャンソンさんは日本のテレビ番組にもたびたび出ているので、流ちょうなイメージがありましたが、全員ペラペラなんですね。

■東南アジア出身アイドルの元祖、ニックンの努力とファンへの思い
ゆりこ:それでいうと、唯一のタイ人メンバーのニックンさんは、他のメンバーに比べると日本語が得意ではありません。そのことについて、ご本人がライブの最後に話してくれたのですが、心に残る内容でした。「本当は僕だって、ファンの皆さんに伝えたいこと、いっぱいあります。でも、それを伝えきれない」「僕は外国(タイ)から韓国に来てデビューして、やっと韓国語覚えたと思ったら次は日本に来ることになって。今日だってプロンプトは韓国語でしか出ていないです」って。

矢野:ニックンさんのこれまでの苦労と本音が見える、真摯(しんし)なコメントですね。そのもどかしさからも、愛を感じます。

ゆりこ:私も思わずグッときてしまって。伝わった、伝わったよ! と言いたかったです。会場中のファンも同じ気持ちだったのだと思います。拍手喝采でした。

矢野:今ではタイ出身のK-POPアーティスト、何人もいらっしゃいますよね。ニックンさんはそのパイオニアなのでしょうか。

ゆりこ:K-POP界初のタイ人アイドルです。2008年のデビュー当時、外国人メンバーが珍しかった韓国の芸能界で、単なる“お飾り”ではなく、真の“大人気メンバー”になったのも強かった。当時、彼はいろんな広告やCMに引っ張りだこだったんです。ニックンさんが成功例を作って、道を切り開かなければ、東南アジア出身メンバーが増えなかった可能性さえあります。

矢野:今ではBLACKPINKのリサさん、WayVのテンさん、そして僕の好きなGOT7にもベムベムさんがいますもんね。

ゆりこ:i-dleのミンニさん、KISS OF LIFEのナッティさん、BABYMONSTERのチキータさんもタイ出身。あとインドネシア出身のHearts2Heartsのカルメンさんなど、今後タイ以外の東南アジア出身アーティストも増えるでしょう。その道の開拓者はニックンさん、これを否定する人はいないと思います。

■ベテラン勢が続々と復活する2026年、2PMのカムバックはあるのか?
矢野:そして最後に、韓国公演のお知らせが発表されたのですよね? SNSの投稿で知りました。

ゆりこ:はい、8月に仁川でのライブが決定しました。さらに東京ドームライブの最後の曲は『I'll be back -Japanese ver.-』だったんです。再び日本でライブがあることを期待したいですし、この勢いで新曲を発表してほしいのですよ。今年は1月にEXO、2月にBLACKPINK、3月にはBTSがカムバックしました。4月にはBIGBANGがワールドツアーを発表して、6月にはSHINeeのリリースがあります。そう来たら、次は2PMがカムバックする番でしょう!

矢野:K-POPの第2世代、第3世代の大物アーティストが勢ぞろいですね。MAMAMOOも完全体でのツアーが決定しています。

ゆりこ:K-POPグループがどんどん長寿化してきたことは、K-POPシーンにとってプラスだと考えます。市場が豊かになって、アーティストの層が厚くなってきた証拠ですよね。新人グループや若手にとっては脅威でもありますが、既存グループと差別化すべく個性を立たせていくしかない。“魔の7年”と呼ばれていたかつてのように「K-POPグループは10代で始まり20代で終わり」となると、シュリンクしていく未来しかないです。

矢野:ベテラングループと若手グループが切磋琢磨(せっさたくま)して、時には共演したりしながら、K-POP全体を盛り上げていってほしいですね。2026年の下半期も楽しみです。2PMの新曲、出ますように!

【ゆるっとトークをお届けしたのは……】
K-POPゆりこ:音楽・エンタメライター。雑誌編集者を経た後、渡韓し1年半のソウル生活を送る。帰国後は、K-POPや韓国カルチャーについて書いたりしゃべったりする「韓国エンタメウオッチャー」として、雑誌やWebメディアなどでの執筆活動や、韓国エンタメ情報ラジオ番組『ぴあ presents K-Monday Spotlight』(TOKYO FM)でパーソナリティーを務めるなど幅広く活躍中。

編集担当・矢野:All Aboutでエンタメやビジネス記事を担当するZ世代の若手編集者。物心ついた頃からK-POPリスナーなONCE(TWICEファン)&MOA(TOMORROW X TOGETHERファン)。

この記事の執筆者: K-POP ゆりこ
音楽・エンタメライター。雑誌編集者を経た後、渡韓し1年半のソウル生活を送る。帰国後は、K-POPや韓国カルチャーについて書いたりしゃべったりする「韓国エンタメウオッチャー」として、雑誌やWebメディアなどでの執筆活動や、韓国エンタメ情報ラジオ番組『ぴあ presents K-Monday Spotlight』(TOKYO FM)でパーソナリティーを務めるなど幅広く活躍中。
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