8月29日は「ベルばらの日」。『ベルばら』こと『ベルサイユのばら』は、今からおよそ52年前の1972年に連載を開始した少女マンガだ。
いまなお高い人気を誇り、数々のメディアミックス展開がなされている。

2025年新春には劇場アニメの公開も控えており期待が高まるなか、長すぎる歴史ゆえに「劇場版は気になるけど、名前しか聞いたことがない」といった方も多いのではないだろうか。
本記事では、『ベルばら』の魅力や、行われてきた数々のメディアミックスのおさらいをお届けする。

■少女マンガでの連載開始を皮切りに、世代を渡って読み継がれる作品へ
『ベルサイユのばら』は、1972年4月から1973年12月まで、池田理代子によって集英社「週刊マーガレット」(現:「マーガレット」)に連載された。累計発行部数は2000万部を突破し、少女マンガの金字塔とも評されるほど圧倒的な人気を長く博している。

物語の主人公は、不自由な時代の中で身分や性別を乗り越え自身の手で人生を選びとり、フランス革命へと飛び込んでいく男装の麗人・オスカル。彼女の生き様が少女たちの共感と憧れを一身に集め、連載中から読者の熱狂的な支持を集めた。

連載当時はフランス革命時代を描いた歴史モノということもありウケないと言われていたが、その後は宝塚歌劇団による舞台化やTVアニメ化も果たし、日本中で社会現象化。いまなおその名を聞かない日はないというぐらい、単語として『ベルばら』は浸透している。

その理由の一部として、男装主人公が苦難に立ち向かうという真新しいストーリーや麗人をこれでもかというほど美しく描く池田先生の高い画力が挙げられるだろう。先生は、常に自身の実力向上のために研鑽を積んでいたそうだ。
また古い作品にも関わらず、近年では親から子、さらにその子へと3世代へ渡って読み継がれている『ベルばら』。
いつ読んでも色褪せない名作だ。

■50年以上の時を経てもメディアミックス展開が止まらない人気コンテンツ
今となっては1本の作品がアニメ化したり舞台化したり、“メディアミックス”は当たり前の現象になっているが、本作はそんな展開が巻き起こった先駆けともいえる。

多くのファンを生み出したTVアニメ化から、舞台化
まず『ベルばら』を語るにあたって避けられないメディアミックスは「TVアニメ」だ。1979年から1980年まで放送、2015年にはデジタルリマスター版も制作された。原作マンガ同様に描かれるオスカルの生き様は、声が吹き込まれることによりさらにリアルに感じられた。その後は日本国内だけでなくフランスやイタリアなどでも放映され、世界中に『ベルばら』ファンを生み出していく。

さて、そんな本作は実はTVアニメ化より先に宝塚歌劇団にてミュージカル化している。1974年に初演が行われて以来、2024年現在も公演中。原作マンガとほぼ同じ歴史を持つ超人気メディアミックスで、ライブ配信も行われている。公演期間は舞台化される内容や出演スターで異なるので、気になった方は一度本場のミュージカルを味わってみてはいかがだろうか。

1億円超えの商品も販売…展示イベントは現在進行系で開催
さらに、現在進行系で9月2日まで、宝塚がある兵庫県の神戸阪急9階にて展覧会「誕生50周年記念 ベルサイユのばら展-ベルばらは永遠に-」が開催中だ。

会場には原画約180点が展示されるほか、原作内でも印象深いオスカルの“生涯ただ一度のドレス”を再現したものも並ぶ。

ここでしか見れない貴重なものばかりなので、本記事を読んで「私、『ベルばら』気になります!」となった読者はぜひ足を運んでほしい。

さらに原作イラストを使用したグッズも多数販売中。『ベルばら』グッズを手に入れるなら本展覧会が最適だ。

また、残念ながらすでに終了してしまったが、8月25日までは広島県にある「婦人服の店のニュー本店」にて、なんと1億1千万円(税込)で「マリー・アントワネットのティアラ」が販売されていた。
あまりの価格に腰を抜かしそうになるが、『ベルばら』の持つ耽美な世界観と、美しく誇り高く、人を惹き付ける天性の魅力を持ったマリー・アントワネットを見事に現実で表現した逸品である。1億超えのグッズが販売される作品はなかなかないと思うので、『ベルばら』ファンにとっては貴重な体験だったのではないだろうか。

■待ち遠しい完全新作の劇場アニメ 公開までの期間に履修して!
そして2025年新春に公開を控える劇場アニメは、1972年の連載開始から50年の時を経ての完全新作として2022年9月に制作が発表されていたもの。
2024年7月にはキービジュアルが発表され、きらびやかなドレスや装飾が輝く眩しい1枚になっている。また特報映像の第2弾も公開中で、本編の一部が確認できる。

キャストは、オスカル役を沢城みゆき、マリー・アントワネット役を平野綾、アンドレ役を豊永利行、フェルゼン役を加藤和樹が演じることが明らかになっている。そして制作スタッフは、『アオハライド』『チア男子!!』などの吉村愛監督のもと、『呪術廻戦』『チェンソーマン』などを手掛けたMAPPAがアニメーション制作を担当する。

「気高く、ひたすらに、愛した――」というキャッチコピーとともに、彼らの美しい生き様が余すことなく表現される劇場アニメに期待が高まる日々。


初代TVアニメや宝塚のミュージカル、展覧会など、今からハマってもすぐに世界観にどっぷり浸かれるメディアミックスがてんこ盛りの『ベルばら』。2025年新春の公開までにぜひ履修しておきたい。

(C)池田理代子プロダクション (C)池田理代子プロダクション/ベルサイユのばら製作委員会 (C)NINA'S MARIE-ANTOINETTE
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