『プリキュア』シリーズの映画最新作『わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!ドキドキ ゲームの世界で大冒険!』が、9月13日(金)より全国で公開。本作は大人気ゲーム「ドキドキ タヌキングダム」で遊ぶために集まったこむぎ・いろはたちが、あやしいタヌキがいるゲームの世界に吸い込まれるところから始まる物語だ。


アニメ!アニメ!では、キュアリリアン/猫屋敷まゆを演じる上田麗奈さんにインタビュー。自分のために動くのは億劫だけれど、誰かのためだったら動きやすいという上田さん。その考え方はまさに、まゆそのものだと感じた。

[取材・文=M.TOKU 撮影=Ayumi Fujita]

■どんどん“輪”に入っていくまゆの姿に…
――上田さん演じる猫屋敷まゆですが、アニメ第19話でキュアリリアンに変身しましたね。あらためて、上田さんはまゆの変身シーンを見たとき、どう感じましたか?

いろはちゃんやこむぎちゃんに「一緒にプリキュアやろうよ!」と言われても「私には絶対に無理だよ」と言い続けて、あくまでサポートする立場だったまゆ。そんなまゆが勇気を振り絞って変身する最後の後押しになるのは、やはりユキなんだなと思いました。

今までの自信のなさを全部否定するのではなく、そんな自分を受け止めたうえで、まゆは強くなるんです。しかも、自分のためではなくて、誰かのために。包み込むように強くなっていく姿が本当にまゆらしくて、私はすごく感動しました。

――誰かに喜んでもらうのが好きなまゆらしさが、強さに繋がったと。

そうですね。まゆって、自分のために頑張るのは難しくても、誰かのために何かをできる優しさや強さを持っている子なんですよね。
大事な存在であるユキのためだったら自分も頑張れると勇気を振り絞ったところに、彼女の魅力が詰まっている気がします。

――上田さんは、物語が進んだ現時点でのまゆをどういう人物だと捉えていますか?

いろはちゃんたちのように「絶対に大丈夫!」って信じるよりも、「大丈夫かな?」という心配が先に来るところは、最初から変わっていないと思っています。一方で、いろはちゃんやこむぎちゃん、悟くん、そしてユキと一緒に過ごしてきたことで、序盤よりも明るくなった気がしていて。

表情もどんどん豊かになっていますし、これまでは一歩引いているところもありましたが、皆の輪の中に入っていくようにもなっています。映画でもその様子が見られてうれしかったですね。いろはちゃんやこむぎちゃんたちには「まゆを受け入れてくれてありがとう」と、上田は感謝の気持ちでいっぱいです。

――今の言葉を聞いて、上田さんがまゆの成長を1番楽しんだり喜んだりしているんだろうなと思いました。

まゆと私はちょっと性格的にも近い部分があるので、より感情移入している気がします。

■「わんぷり」のメンバーは言葉をかけたら、ハートで返してくれる
――そんな成長したまゆの活躍も見られる『わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!ドキドキゲームの世界で大冒険!』。最初にシナリオを読んだときの感想を教えてください。

映画では、いろはちゃんとまゆ、こむぎちゃんとユキという2班に分かれて行動するんです。シナリオを読んでいるとき、第1話の時点では仲良くなるとは想像できないくらいの関係だったこむぎちゃんとユキがタッグを組んで頑張っていると感じて、まゆフィルターを通してすごく泣きそうになりました。
『わんぷり』(『わんだふるぷりきゅあ!』)らしいかわいさや温かさも感じられるストーリーになっていて、総じてワクワクしつつも、胸が温かくなる優しい物語だと思いました。

――私もシナリオを拝見しましたが、ストレートに“大好き”という言葉をこむぎたちが出しているのも印象的でした。

いろはちゃんやこむぎちゃんはもちろん、悟くんや駆け付けてくれる『ひろがるスカイ!プリキュア』と『魔法つかいプリキュア!』のプリキュアたちの言葉も真っすぐで、温かくて。すごく素敵だなと思いました。

――本作は“絆”も大きなテーマになっていると思います。テレビアニメや映画の収録を通じて、共演者の方々との絆を感じる瞬間はありましたか?

『わんぷり』のメンバーは言葉をかけたら、ハートで返してくれる方々なんですよ。皆の集中力が高まった本番の収録は、前後で喋る方のセリフなどをよく聞き、全体の流れを把握しながらお芝居をしています。そういうやり取りに、絆……というかチームワークを感じています。

あとは、変身や技のセリフを一緒に言うことがあるのですが、収録を重ねれば重ねるほど、皆のリズムがハマってきて、合図がなくても揃うようになるんですよ。これも絆と言えるのかなぁと思っています。

――ひとりでお芝居をするよりも皆で一緒にやったり、誰かの声を聞いて演じたりすることで生まれるものがある。

それは、絶対にあります。
とくに『わんぷり』はみんなのチームワークありきの作品だと私は思っています。

■猫と上田さんの絆は…?
――上田さんは猫を飼っているとお聞きしました。そんな家族の一員である猫との絆を感じる瞬間はありますか?

今回の映画には「言葉がなくても、気持ちが伝わることがある」というメッセージが込められているのですが、本当にその通りだと私は思っていて。猫たちは、表情や鳴き方・態度、タイミングで何をしたいか示してくれるんです。それは、猫たちが私を信頼してくれているから伝えてくれているんだろうし、一緒に過ごしてきたからこそ、こちらも受け取れるようになってきたと思っていて。一緒に生活をするなかで、今何をしてほしいのかわかるくらいには、絆が芽生えていると感じています。

――家族になったばかりの頃よりも、今のほうがわかるようになっている。

わかるようになっています。動物も人間もみんな性格はそれぞれですけど、気を遣うことはできるんですよね。同じ部屋にいても、ひとりでいたいときは干渉しすぎないようにしたり、一緒にいたいときは思い切り甘えたり、一緒に過ごしていくなかでお互いに“いいタイミング”というのがわかるようになった気がします。

――私は猫を飼ったことがないのですが、例えばご飯を食べたいタイミングとかってわかるものでしょうか?

わかります! ご飯を食べたいのか、甘えたいのか、遊びたいのか、トイレ掃除をしてほしい、困っているなど、全部アプローチの仕方が違うんですよ。

――まさに、言葉がなくても気持ちは伝わるということを体現していますね!

そうなんです。
言葉がなくても伝わるものがある、伝えられるものはあると私は思っています。

■誰かのためだったら動きやすい…まゆとの共通点
――先ほどお話したように、本作はこむぎたちが“大好き”を真っすぐに伝える姿も印象的です。上田さんが読者の皆さんに“大好き”と伝えたいものはありますか?

えー!? 何だろう……。でも、やっぱりうちの子たちですかね。緊急事態の備えに関しても、自分のこと以上にうちの子たちがどうやったら安全に生き延びられるのかを考えて防災グッズを調べたり、揃えたりしています。大好きなんですよね。

――今のお話はまさにまゆと一緒じゃないですか?

言われてみると、そうかもしれないです。自分のためだったら億劫だけれど、誰かのためだったら動きやすいというのは、まゆと近いかも。とくに大事にしているのが猫ちゃんっていうところも一緒ですね。やっぱり私とまゆは似ている気がします(笑)。

――本日は貴重なお話ありがとうございました。最後に、映画の推しポイントを語っていただければと思います!

『わんぷり』はこむぎちゃんやユキたちのかわいさがちゃんと伝わるように、表情などをすごく丁寧に慎重に描いていると、スタッフの方から聞いたことがあります。
アニメのオンエアを見ても、その思いは伝わってきました。そんなかわいさが映画でも失われることはありません。むしろ、作中に登場するゲームの世界ではCGでプリキュアたちが描かれて、いつもとは違うかわいさが爆発しているんですよ! まずはそこを楽しんでいただければと思っています。

また、本作を通じて私は、種族とか言葉が通じる・通じないとか関係なく、気持ちや時間はわかち合える、わかち合いたいと思えるんだということをあらためて学びました。年齢も性別も問わず、いろいろな方にこの映画の温かさに触れていただきたいです。本作で受け取ったものを、大事な存在への優しさに変えていただけたらうれしいですね。かわいさ・優しさ・温かさがあふれている作品なので、ぜひ劇場に足を運んで楽しんでください。

【作品情報】
■タイトル:『わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー! ドキドキ ゲームの世界で大冒険!』
■公開日:9月13日(金)公開
■声の出演
長縄まりあ 種崎敦美(崎は「たつさき」) 松田颯水 上田麗奈
関根明良 加隈亜衣 村瀬歩 七瀬彩夏 古賀葵
高橋李依 堀江由衣 早見沙織 齋藤彩夏
寺島拓篤 立花慎之介
■エンディング主題歌:「Happy≒Future」歌:後本萌葉・吉武千颯 作詞:青木久美子 作曲・編曲:馬瀬みさき
■挿入歌:「大好きのキズナ」歌:石井あみ・北川理恵 作詞:こだまさおり 作曲・編曲:馬瀬みさき
■原作:東堂いづみ ■監督:宮原直樹 ■脚本:加藤陽一
■演出:村上貴之 ■音楽:深澤恵梨香 ■キャラクターデザイン:宮谷里沙
■美術監督:谷岡善王 ■色彩設計:横山さよ子 ■撮影監督:大島由貴 佐々木果南
■CG ディレクター:中沢大樹 ■音響監督:菅原三穂
■わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!製作委員会:東映アニメーション 東映 ABC アニメーション バンダイ ADK エモーションズ マーベラス
(C)2024わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!製作委員会
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