デジタル家電市場が消費増税と台風のダブルパンチで大幅減を記録している。増税1週後の10月第2週(7~13日)のデジタル家電市場(全141品目総計)の販売金額が前年同週比で74.3%(25.7%減)と大幅に落ち込んでいる。
増税直前から増税直後を含む増税週の10月第1週(9月30日~10月6日)では、30日に盛り上がった駆け込み購入もあり108.0%と前年を上回っていたが、翌週一気に落ち込んだ形だ。
 増税前の駆け込み購入の反動減と、増税そのものの影響に加え、10月第2週の週末に首都圏を通過した台風19号が市場も直撃した。デジタル家電は週末に売り上げが伸びる傾向があるが、土日に多くの人が外出を控えたことや、店舗の臨時休業などもあり、売り上げがストップ。首都圏を中心に公共交通機関が全面的に運休したことも大きく響いた。
 前回、2014年4月の増税直後の動きでは、増税1週後の4月第2週(7日~13日)でもまだ107.1%と前年をある程度上回っていた。しかし、今回は大幅マイナスに落ち込んでおり、増税前のピークとの落差も104.2ポイントと非常に大きい。
これは台風だけではなく、増税と駆け込みの反動減もかなり作用していると考えた方が良さそうだ。
 今のところ、消費の落ち込みを防ぎつつキャッシュレス決済普及の一石二鳥を狙う「キャッシュレス・消費者還元事業」の効果は、大部分の大手家電量販店が対象ではないこともあり、まだ見えていない。しかし、増税幅が前回よりも小さかったことや、「キャッシュレス・消費者還元事業」に合わせ、独自に還元を行う量販店もあることで、消費の下支え効果が期待できる。今後のデジタル家電市場は、早ければ今年の年末商戦には一旦増税前の水準に戻る可能性が高い。(BCN・道越一郎)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
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