HIS海外旅行事業部に所属する中田啓司さんは、「ツアー・コンダクター・オブ・ザ・イヤー2017」の大賞にあたる「国土交通大臣賞」に選ばれるなど旅のスペシャリストだ。ちなみに添乗員歴30年、渡航国数146か国で、世界遺産マイスターや英検1級をはじめ、エリア・スペシャリスト、添乗能力資格1級、地理・歴史教員免許、クルーズ・コンサルタントなど数多くの資格も取得している。
3日前にポルトガルから帰国したばかりという中田さんに、ゴールデンウィークや夏休みに向けて海外ツアーのことや旅の醍醐味、注意点、そして旅を心に残る思い出にするためのアドバイスをいただいた。中田啓司さんインタビュー連載全3回の最終回を公開。
◾️迷うことなくリオのカーニバル!
経験豊富な中田さんにはツアー客からの質問も多く、よく聞かれるのは「どこが一番良かったですか?」だそうだ。しかし、行った回数が百回を超えた国もあるので、1つに絞るのは非常に難しいと苦笑した。
経験豊富な中田さんにはお客様からの質問も多く、よく聞かれるのは「どこが一番良かったですか?」だそうだ。しかし、行った回数が100回を超えた国もあるので、1つに絞るのは非常に難しいと苦笑した。
「例えば、具体的にお祭りはどこがよかったですか?と聞かれると即答できます。迷うことなくリオのカーニバルですね。これは世界一のお祭りだと思います。お花を見るのであれば、南アフリカのナマクワランド。ここは一夜にして地平線まで花が咲くんです。世界各地の花々を見てきましたが、ここより素晴らしい所は見たことがない。
そもそも中田さんが添乗員を志したきっかけは何だったのだろう。大学生の時にバックパッカーで海外を周っていたというのは既に聞いたけれど。
「地中海周辺が大好きで、気候や食べ物、歴史的なことや、そこに住む人たちの人間性に触れて、将来はここに住みたいと思ったんです。そこで、スペイン語とフランス語の勉強を始めました。大学を卒業したのは、いわゆるバブルの頃でしたから仕事はいくらでもあったんですよね。週休2日で残業もなく、朝ゆっくり出勤できる会社を探して就職しました。そこで3年間働きながら、出社前にフランス語、会社が終わってからスペイン語の語学学校で学び、お金を貯めて会社を辞めたんです。全財産を持ってスペインのアンダルシアのマラガという所に行って、語学学校に通いながら何か仕事が見つかれば、と安易に考えていました。ところが、当時はスペインも不景気で現地の人が仕事のないような状況でしたから、どんどんお金がなくなっていくんです。
◾️今の自分を作っている「若き添乗員時代の大失敗」
添乗を始めたばかりの頃は、不測の事態への備えが十分とは言えず、冷や汗をかくような失敗も経験した。しかし、30年もの長きにわたって辞めずに添乗員を続けているのには、1つ決定的な出来事があったからだという。
「駆け出しの頃、オーストリア、チェコ、ハンガリーのツアー中に最大の危機に直面しました。いつもは肌身放さず持っているお客様の航空券を、移動の際、自分のスーツケースに入れてしまったんです。運悪く、チェコからハンガリーに移動する際に、私のスーツケースがバスに積み残されてそのまま国境を越えてハンガリーに入ってしまった。当時は電子チケットではなく、紙の航空券の時代であり、チケットがなければ移動ができない状況でした。結局、30人分の航空券を自腹で再発行してもらって事なきを得たのですが、当時払った30万円分を取り戻すまではやめられないな、と。
とはいえ、やめたいと思ったことは多々あったらしい。
「昔は不条理なことでお客様に怒鳴られることもありました。ある時、空港でお客様の足に別のお客様のカートがぶつかったという出来事がありました。当事者同士では文句が言いづらかったのでしょう。その不満の矛先は、当時別行動していた私に向けられました。集合場所でそのお客様に声をかけた途端、『バカヤロー!』と周囲が振り返るほどの怒号で叱責を受けました。一瞬言葉を失うほどの衝撃を受けました。最終的には私がその場にいなかったことに気づいてお客様も冷静さを取り戻されましたが、こうしたやり切れない思いをすることは山ほどありますよ」
HISではお客様の多様な旅のスタイルに合わせ、多彩なプランを幅広く展開している。様々なプランの中から自分に合ったものを見つけるコツみたいなものはあるのだろうか。
「まず何に興味を持つかだと思います。テーマが世界遺産で、その中でもイタリアの世界遺産だとすると、そこで何を見たいのかから始まって、見たいものが入っているプランを探します。
◾️ツアー旅行を20倍楽しむ方法とは?
旅行を心に残る思い出にするためのアドバイスを。
「周囲と仲良くなればなるほど旅行観を共有できます。まれに、団体旅行に来ているのに私は誰とも口を聞きません、一人で過ごしたい、と希望される方がいます。そうした方は、自由度が高い個人旅行の方が本来の目的を果たせるかもしれません。団体旅行の良さは、年代の違う方と話せて、そこで新しい旅情報を得たり、知らない世界が垣間見えたりすることです。添乗員を含めてツアー参加者はもちろん、現地のドライバーやガイドといったその国の方々とも触れ合えますから、ツアーというのは非常にバランスが取れて旅を楽しむにはうってつけなんです。ぜひ、旅先で出会う方たちとのお付き合いを深めていただければ、と思います」
年齢によって旅行先も変わって来るそうで、例えば、山にまったく興味のなかった人が70代になって急にスイスの山に目覚めたこともあったという。最近は、語学が苦手でも翻訳ツールを使いこなして自由に街歩きを楽しめる便利な時代になった。30代、40代は働き盛りだが、合間を見つけて旅に出て心身ともにリフレッシュしてほしいものである。
「癒しを求めるのであれば、例えば、スイスやアイスランドといった自然に包まれるような国をお勧めしたいです。以前、喘息の症状がある方がツアーに参加されたことがありました。主治医から『水と空気の良い場所で静養するように』と言われたそうなんです。
◾️添乗員を一生の仕事に選んで後悔はない!
今年で定年を迎える中田さんに最後に聞いてみた。「添乗員を一生の仕事に選んで後悔はないのか」と。
「ないです。結果的に僕に向いていたと思います。添乗がないときは事務作業もこなしていますが、じっとしているのはどうも苦手です(笑)。毎日決まった時間に電車に乗り、同じ場所で同じ仲間と顔を合わせて仕事に励む方々には、感服するばかりです。例えば、ツアー中に合わないと思った方がいても、それは旅の終わりまでのお付き合いにすぎません。また、長く添乗員を続けている方は、ストレスが溜まらないタイプが多いんですよ。私も1つの旅が終わると切り替えてしまいますね。添乗の仕事は歴史や音楽など旅につながる様々なことを学び、それを生かすことも可能ですし、人とのコミュニケーション力も鍛えられます。
<了>
取材・構成:大西展子
中田啓司
■添乗歴:30年 ■渡航国数:146カ国 ■ツアー形態:テクニカルヴィジット、オーガナイズツアー、クルーズ、インバウンド等 ■表彰:2017ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー グランプリ、日本添乗サービス協会永年勤続者表彰 ■資格:世界遺産マイスター、世界遺産アカデミー公認講師、エリアスペシャリスト(全8エリア)、観光地理海外1級(JTB綜研)、添乗能力資格1級、総合旅行業務取扱管理者、地理・歴史教員免許、学芸員資格、クルーズ・コンサルタント、J.S.Aワインエキスパート(日本ソムリエ協会)、英検1級
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