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2022年に成立したAV新法が施行されて4年。この法律によってAV業界はAV女優はもちろん、AV男優やAVメーカー、事務所などAV制作に携わるほぼすべての人が苦しんでいる状況が続いている。

その間、業界サイドも「法案改正」を目指してあらゆる手立てを模索してきたが、立法も行政も動くことなく時が過ぎた。



しかし、業界関係者は動きを止めてはいない。4月24日に衆議院第一議員会館で行われた第二回 院内勉強会「AVにおける出演者を取り巻く諸問題に関する勉強会」もその一つである。今回の勉強会はメディアにも開放されており、この問題を継続的に取材してきた筆者も最新状況を把握するべく参加、そのレポートをお届けする。





■4年過ぎても変わらない演者への人権侵害



 冒頭、今回の勉強会を主催した一般社団法人映像実演者協議会代表理事の亀山早苗氏から「AV新法の迅速な見直し及び同人AVの実態調査を求める声明文」が読み上げられた。その後、現場の声を聞かずに成立した経緯と「出演強要された被害者を守る」という主旨及び4年過ぎた現状について現場からの説明が行われた。



 AV新法には、「成立から2年以内に施行状況を検討し、必要な措置を講ずる」という附則条項があるが、4年間で一度たりとも政府で検討されていない現実が、改めて浮き彫りになった。



 現状について、現場では「1−4ルール(※)」によって女優だけではなく、男優も苦しんでいることが、現役のAV女優の水谷梨明日氏と桜井ちんたろう氏から明かされた。





「一晩で3リットル出血した」AV新法、知られざる男優の過酷…桜井ちんたろう氏がマイク握った
AV新法による演者へのダメージについて語る水谷梨明日(みずたにりあす)氏



 水谷氏からは「三つ改正してほしいことがある」と前置きした上で以下のような状況が語られた。



「(1−4ルールによる)契約のための経費がかさんでしまいます。そうすると売り上げが見込める人気女優さんに依頼が集中するため、中堅や若手の女優は出演機会が少なくなってきます。そうなると、主演機会が減った女優さんは、同人AVに出演したり、海外で仕事したりというケースが出てきます。



 これは個人的には危ないかなとは思っています。



 次は『代役不可』の条文です。これが今でも現場を苦しめています。現在は撮影の1ヶ月前に契約しなくてはいけませんが、撮影日の前に体調不良や家族の事情などで撮影をキャンセルすることがあります。今までなら代役を立てて撮影できましたが、この1−4ルールによって代役立てが不可能になります。



 1−4ルールでは撮影前に必ず契約書を結ばないといけませんので、代役の女優さんも契約書にサインしないと撮影できません。もちろん撮影は1か月先延ばしになります。



 これは事実上、現場をキャンセルできないのと同じです。現状は体調不良でも撮影に行って、満足な演技ができなかったとか、体を壊してしまったという女優さんがいます」



 この「代役不可問題」。じつは男優の方が過酷だ。現役のAV男優・桜井氏は次のように現状を明かしてくれた。



「我々AV男優は数をこなすのは当たり前なので、1日に3現場4現場とか行くんです。

今は、この代役不可のおかげで病気でも休めません。前日に病気になって休んでしまうと、複数の現場が撮影中止になってしまいます。



 流石に賠償金を請求されたことはありませんが、男優はいくらでも代わりがいるので次から使われにくくなります。そうなると生活するのも厳しくなるので熱が出た程度なら現場へ行きます。



 私は、2年前に大腸結石出血という病気になって一晩で3リットルもの出血があったことがあります。それでも3日後の撮影には無理やり出ました。それくらいやらないと生きていけないんです」



 恐らく法案を作った人々は男優のことなど考えたことすらなかっただろう。



※「1−4ルール」AV新法では出演者保護を名目に契約書にサインしてから一ヶ月後に撮影をすることと、撮影後四ヶ月経たないと販売できないことが条文に記載されている





■現在もAV男優には二次使用料が払われていない



 そして演者側の問題点として挙げられたのが「二次使用問題」である。AVでは制作した作品をオムニバス形式でまとめた作品を販売することが良くある。AV新法導入以降、演者の権利が保護されたため、二次使用料の支払いも義務化された。しかし男優や一部の女優に二次使用料が支払われていないという。



 すべてAV新法施行後の作品からなるオムバスAVであれば、二次使用料の支払いがされているが、AV新法施行以前の作品が入ったオムニバスAVには支払いされていないケースがあるそうだ。



 AV新法の附則第二条には“経過措置”が認められているが、解釈に一貫性がないのが原因だ。



 こうした現状を踏まえ、「1−4ルールの緩和」、「二次使用作品の制作・公表について出演者の意思確認や契約を提示し、許諾を得てから作品を作るという一文を盛り込むこと」、「AV男優にも二次使用利用作品について契約を交わし、対価を支払うことを明示する」といった改善点が提案された。



 現場から凄まじい声を聞いた後、参加した国会議員や前議員が紹介された。昨年の参議院議員選挙、今年の総選挙で顔ぶれは大きく変わっている。



 今回の勉強会には、内閣委員会の合間に参加した有田芳生衆議院議員(中道改革連合)、足立康史参議院議員(国民民主党)などが現職の議員として挨拶をした。前議員は、音喜多駿氏(日本維新の会)、八幡愛氏(れいわ新選組)などが参加。残念ながらやはた氏は次の党務があるため途中で退席となった。



 有田芳生議員も内閣委員会に出席するため、途中退席となったが「AV新法は人権問題を含んでいる」と語り、国会へと戻っていった。そして議員からの挨拶が終わると、今回初参加となったひろゆき氏が登場、場内は拍手が沸いた——。(後編に続く)





「一晩で3リットル出血した」AV新法、知られざる男優の過酷…桜井ちんたろう氏がマイク握った
AVにおける出演者を取り巻く諸問題に関する勉強会



取材・文:篁五郎

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