投資マネーが集まる国内株式 不安定相場での注目理由

中東情勢の影響で市場が不安定な動きを見せる中、オルカンを中心とした分散投資の重要性が改めて意識されています。一方で、「それ以外の選択肢」も検討しておきたい局面といえるかもしれません。

実際、国内株式ファンドには資金流入が加速しており、過去10年の実績を見ても優れたパフォーマンスを上げてきたものが少なくありません。


そこで今回は、SBI証券投資情報部のシニア・ファンドアナリスト・川上雅人さんに、国内株ファンドの実績を振り返りながら、次の10年に注目したい好成績ファンドを紹介してもらいます。

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投資マネーが集まる、国内株式カテゴリー

QUICKが集計したETFを除く国内公募追加型株式投資信託の資金流入動向を見ると、2026年3月は国内株式カテゴリーへの資金流入額が前月の2,353億円から約3倍となる7,009億円に拡大しました(図表1)。これはQUICKが集計を開始した2015年1月以降では最大の水準です。

中東情勢の悪化などを背景に株価が大きく下落する局面で、国内株式ファンドへの押し目買いが膨らんだものとみられます。

日経平均・TOPIXの10年パフォーマンスを振り返る

図表2は代表的な国内株価指数である日経平均とTOPIXについて、過去10年のパフォーマンスを示したものです。

2026年3月の単月では、両指数とも10%を超える大幅な下落となりましたが、長期で見ると日経平均は3.05倍、TOPIXは2.60倍となっており、企業業績の拡大などを背景に、国内株式市場は高いパフォーマンスを上げてきたといえます。

こうした10年間に着目し、一定の条件で抽出した10年好成績の国内株式ファンドを示したものが次のページの図表3です。

10年好成績の国内株ファンド 市場平均を上回る実力

10年で大きく伸びた国内株ファンドとは

こちらが、「10年好成績国内株式ファンド ベスト10」です。参考として、10年以上の実績を持つ日経平均およびTOPIXのインデックスファンドも併せて掲載しました。

1位となったSBIセレクトの情報エレクトロニクスファンドの10年リターン(年率)は21.81%でした。これを累積リターンに換算すると619.06%となります。なお、リターンの計算においては、課税前分配金を再投資したものとして算出しているため、実際の投資におけるリターンとは一致しない場合があります。

累積リターンの考え方は以下の通りです。
例えば累積リターン600%の場合、元本も含めた評価額は7倍となります。
① 元本を100%(1倍)とする
② 利益の600%(6倍)を加算する
③ 100% + 600% = 700%(7倍)

参考として示した日経平均およびTOPIXのインデックスファンドは、いずれも配当込み株価指数への連動を目指しています。そのため、10年間の累積リターンは日経平均が3.61倍、TOPIXが3.23倍になりました。図表2の配当を含まない株価指数では、日経平均が3.05倍とTOPIXが2.60倍であったことから、配当の積み上げ効果が長期ではそれなりに大きいことが分かります。

図表3で示した10年好成績国内株式ファンドのベスト10は、いずれも市場平均を上回る収益獲得を目指すアクティブファンドとなりました。次のページで、それぞれのファンドの特徴について見ていきます。

次の10年に注目 好成績国内株ファンドの特徴

次の10年にも注目したい好成績ファンドの特徴は?
1位 情報エレクトロニクスファンド

電気機器、精密機器などエレクトロニクスに関連する企業群や情報ソフトサービス、通信など情報通信に関連する企業群の株式を主要投資対象としているファンドです。組入上位銘柄は古河電気工業、東京エレクトロン、フジクラ、イビデン、ディスコなどとなっており、組入銘柄数は49銘柄です(※)。AIインフラ関連など特定業種の成長株中心のポートフォリオのため標準偏差は大きいですが、3年、5年でもトップクラスの実績となっており、SBIセレクトのファンドです。
2位 小型ブルーチップオープン

中小型株を投資対象として、中長期的視点に立った成長性に焦点を当て、バリュエーションを勘案して銘柄を選択しているファンドです。組入上位銘柄は古河電気工業、住友不動産、日本碍子、TOPPANホールディングス、横浜ゴムなどとなっており、組入銘柄数は98銘柄です(※)。3年、5年リターンでも日経平均・TOPIXを上回ってバランス良く好成績で、SBIセレクトのファンドです。

3位 企業価値成長小型株ファンド(愛称:眼力)

利益成長による将来のROE水準やその改善に着目し、企業価値の成長が見込める銘柄を選定している中小型株ファンドです。組入上位銘柄は日本アビオニクス、ダイヘン、北洋銀行、シンフォニア テクノロジー、関電工などとなっており、組入銘柄数は61銘柄です(※)。運用担当者は、人手不足や賃上げに対応するためのデジタル投資、AIや半導体、エネルギー、防衛分野などの国内外での投資拡大、エンターテイメント分野の成長、上場企業の経営変化、高市政権の政策などに注目しているようです。3年、5年リターンでは小型成長株が低迷したことなどから苦戦しています。
4位 キャッシュフロー経営評価オープン(愛称:選球眼)

キャッシュフロー・バリュエーションモデルによる割安度評価と、アナリスト業績予想による業績モメンタム評価に基づく銘柄選択を行っています。組入上位銘柄は三菱電機、三井住友フィナンシャルグループ、豊田通商、丸紅、住友金属鉱山などとなっており、組入銘柄数は62銘柄です(※)。3年、5年リターンでも日経平均・TOPIXを上回ってバランス良く好成績で、SBIセレクトのファンドです。
5位 ダイヤセレクト日本株オープン

三菱グループ企業の株式の中から、流動性や信用リスク等を勘案して組入対象銘柄を選定し、投資比率は時価総額や配当利回りに着目して決定しているファンドです。組入上位銘柄は三菱商事、三菱地所、三菱電機、東京海上ホールディングス、ENEOSホールディングスなどとなっており、組入銘柄数は21銘柄です(※)。三菱グループは業種が分散されていることもあって、値動きの振れ幅を示す標準偏差(10年)は日経平均とほぼ同等となっています。
6位 ファンド“メガ・テック”

今後の高い成長が期待できる産業を選定し、その産業の中から特に優れたテクノロジー(技術力)を有し、競争優位を保持できる企業に投資するファンドです。組入上位銘柄は、トヨタ自動車、日立製作所、ソニーグループ、東京エレクトロン、三菱電機などとなっており、組入銘柄数は59銘柄です(※)
7位 日本ニューテクノロジー・オープン(愛称:地球視点)

世界が注目する次世代産業を担うニューテクノロジーにより収益の拡大が期待される日本の株式に投資するファンドです。
組入上位銘柄は、三菱電機、ファナック、大成建設、三井金属、JX金属などとなっており、組入銘柄数は85銘柄で、投資テーマが比較的分散されたSBIセレクトのファンドです(※)。
8位 NZAM 日本好配当株オープン(3ヵ月決算型)(愛称:四季の便り)

予想配当利回りが高いと判断される銘柄を中心に、株価の割安度等にも着目した投資銘柄の選定を行うファンドです。組入上位銘柄は住友電気工業、三井住友フィナンシャルグループ、三井金属、三菱UFJフィナンシャル・グループ、日清紡ホールディングスなどとなっており、組入銘柄数は97銘柄、予想配当利回りは2.79%です(※)。3年、5年リターンでもバランス良く好成績で、標準偏差が一覧のファンドの中で最も小さく、運用効率に優れたファンドといえます。
9位 三菱UFJ 日本株オープン「35」

企業の成長性に着目して厳選した35銘柄程度に投資しているファンドです。組入上位銘柄は、メイコー、トライアルホールディングス、三井物産、リガク・ホールディングス、古河電気工業、三菱UFJフィナンシャル・グループなどとなっており、組入銘柄数は42銘柄です(※)。比較的集中投資を行いながら、ユニークな中小型株にも投資しているのが特徴的なファンドといえます。
10位 フィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド(愛称:Jテック+)

成長力が高いと判断される日本のテクノロジー関連企業の株式に投資しており、組入上位銘柄はアドバンテスト、東京エレクトロン、キーエンス、ソニーグループ、富士通などとなっており、組入銘柄数は30銘柄で、半導体関連株の比率が高いファンドとなっています(※)。

過去10年の好成績がそのまま次の10年も続くとは限りませんが、長期にわたり着実に実績を積み重ねてきたファンドには、注目する価値があると考えます。

国内株式ファンドは、為替リスクを取らずに投資できる点で、分散投資の一要素として有効な投資対象といえるでしょう。

それぞれのファンドの特徴を理解したうえで、過去10年間に好成績を収めてきたこれらの国内株式ファンドを活用し、今後10年間はインデックスファンドに限らない分散投資に挑戦してみてはいかがでしょうか。

(※)ポートフォリオの情報は2026年2月末基準(10位のファンドのみ2026年1月末基準)。
個別銘柄の取引を推奨するものではありません。

掲載されたファンドの情報はこちら

『投資情報メディア』より、記事内容を一部変更して転載。

川上雅人 かわかみまさと SBI証券 投資情報部 シニア・ファンドアナリスト(公益社団法人日本証券アナリスト協会認定アナリスト) 慶應義塾大学卒業。丸三証券で国内株アナリスト、国内大手運用会社で18年間、商品企画・営業などを担当後、2020年よりauカブコム証券でファンドアナリストとして活動。2022年11月から現職。最新の投資情報を発信する『投資情報メディア』のレポート・コラムなどで投資信託や資産運用(新NISAなど)に関する情報提供を行う。 この著者の記事一覧はこちら
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