マイナビは4月14日、「企業の雇用施策に関するレポート2026年版(2025年実績)」の結果を発表した。調査は2025年12月17日~12月22日、従業員数3名以上の企業において、直近(2025年1~12月)に中途採用業務を担当しており、「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者1,500名を対象に行われた。

○企業は新規人材の確保より「人材の定着」を課題視する傾向

企業の中途採用担当者に、自社の人材課題として「新規人材の確保」と「人材の定着」のどちらに強い課題感を持っているかを聞くと、「人材の定着(50.9%)」が「新規人材の確保(25.8%)」を25.1pt上回った。
「外部から確保する」ことよりも「内部で定着させる」ことを重視しているようだ。

また、「若手の早期戦力化」と「シニア人材の活用」における課題の比較では、「シニア人材の活用が進まない(44.2%)」が「若手の早期戦力化が進まない(28.7%)」を15.5pt上回り、若手育成以上にシニア活用が課題になっている。

企業の人材課題は、新規採用数の確保に加え、在籍人材・採用人材の「定着」「活用」「戦力化」へと広がりつつあるようだ。

○2025年の賃上げ実施率は全年代で約8割

2025年の企業の賃上げ実施率(「前年度より上げた(計)」)は20~50代の全年代において約8割程度となった。年代別では「30代」が81.7%で最も高く、次いで「20代(80.8%)」、「50代(76.9%)」だったが、年代間の差は5pt未満にとどまる。一方で、賃上げ率の詳細をみると、4%以上の"高水準"とされる賃上げの割合は「20代(27.1%)」が最多、次いで「30代(24.5%)」となった。

「40代・50代」は各20.8%にとどまり、「20代」との差は6.3ptとなった。賃上げ自体の実施率には年代差が少ない一方、賃上げの水準で見ると、若い年代ほど"高水準"である傾向がみられた。

元々の賃金水準や年功による賃金体系の影響も考えられるが、賃上げ自体は広く行われる一方で、「賃上げすること」よりも「賃上げの水準」に差が出始めている可能性が考えられる。

○従業員への教育投資をする企業割合は前年より増加

従業員への教育投資状況について聞くと、2025年にリスキリングを含む従業員の教育訓練費に「1万円以上投資した(計)」企業は83.5%と、前年(79.2%)より4.3pt増え8割を超えた。従業員数別では「301~1000名」、「1001名以上」で9割を超える一方、「3~50名」では63.2%にとどまり、企業規模により投資状況の差がみられた。


また、教育に関する年間の平均投資額も全体で208.6万円と前年(165.0万円)より43.6万円増加した。
企業規模別にみると、従業員数「1001名以上」は431.1万円となり、中小企業や準大手を200万円以上も上回り、投資額についても企業規模による差が顕著な結果となった。

技術革新が進み教育投資の重要性が注目されつつある中、教育に対する投資額の差が、採用や人材定着の課題感にも影響する可能性が考えられる。

○企業8割以上が日本にも「ビックステイ」が到来すると予想

日本では転職率の増加により「大転職時代」とも言われているが、アメリカでは同じ会社に留まる労働者の年間賃金上昇率が、転職する労働者の賃金上昇率を上回る「ビッグステイ(Big Stay)」と呼ばれる現象が見られている。

企業の採用担当者に、「ビックステイ」について、日本でも同様に到来すると思うかを聞いたところ、84.8%が「来ると思う(計)」と回答し、「3年以内に来ると思う(計)」割合は52.0%と半数を超えた。
また、2025年に賃上げを実施した企業では、「来ると思う(計)」が88.3%、「3年以内に来ると思う(計)」が55.7%となり、賃上げしていない企業よりいずれも20ptほど高かった。

日本にもビックステイが来ると思う理由には、「日本独自の雇用慣行・人手不足・働き方改革が主因になり得る」「同じ会社に永く勤めた方が退職金も含めて多く稼げるから」「企業が離職率を下げる目的で、ある程度の期間、就業している社員に対し給与を上げていく可能性がある」などの意見が見られた。
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