低価格イタリアンとして人気のサイゼリヤが、2026年8月期の通期業績予想を下方修正しました。店舗はにぎわい売上は伸びているものの、米やチーズなど食材価格の上昇に加え、収益を支えてきた海外事業にも減速の兆しが見えています。
インフレ環境の中で、強みだった低価格路線の余裕がなくなりつつあるサイゼリヤの現状を読み解きます。
○サイゼリヤが2026年8月期の下方修正を発表

低価格イタリアンレストランを展開するサイゼリヤ<7581>が、2026年8月期第2四半期決算を発表しました。第2四半期の決算は、前年同期比2ケタ増収増益となりました。

2026年8月期第2四半期
・売上高1,428億円(前年同期比17.5%増)
・営業利益86億円(同39.9%増)
・経常利益88億円(同36.3%増)
・中間純利益56億円(同20.7%増)

しかし第2四半期決算の発表と同時に、通期予想の下方修正も発表されました。

前回予想 

売上高2,763億円、営業利益190億円、経常利益187億円、当期純利益124億円

修正予想 

売上高2,970億円、営業利益182億円、経常利益183億円、当期純利益118億円

2025年8月期 

売上高2,567億円、営業利益154億円、経常利益158億円、当期純利益111億円

前期比で増収増益は維持されているものの、前回予想と比べ増益幅が減額されることになりました。

○コスト要因による下方修正

サイゼリヤの売上は堅調であり、前回予想に比べ修正予想は増収となっています。その反面、減益の修正予想であり、下方修正の原因はコスト要因と考えられます。実際、同社は通期予想修正について以下のコメントをしています。

上期は、米価格の高騰などの食材価格上昇の影響を受けており、粗利益率が前回予想を1.3ポイント下回り53.0%となりました。下期も、食材価格上昇の影響を引き続き受けることを見込んでおり~

デフレ時代に大きく成長したサイゼリヤですが、インフレ時代に入り低価格路線は消費者に今も支持されているものの、原材料費の上昇を背景に低価格路線の余裕がなくなりつつある状態です。下方修正はありましたが、前期比での増益予想の維持は、予想を超える増収がカバーしている側面があります。

○国内よりも利益を出している海外の減益も痛い

サイゼリヤはコロナ禍の苦しい中でも、海外事業が好調で一時は海外部門の黒字で国内部門の赤字を埋めていました。
現在は国内部門も回復していますが、2026年8月期第2四半期の国内と海外のセグメント別の業績は以下となっています。

国内 

売上高961億円(前期比120.4%)、営業利益33億円(同522.5%)

海外(アジア) 

売上高467億円(前期比111.9%)、営業利益51億円(同96.1%)

海外は国内の約1/2の売上で約1.5倍の利益を上げており、海外部門の収益力の高さが注目されます。しかし今回注意すべきは、海外の営業利益が前年同期比でマイナスとなっている部分です。売上高は国内及び海外ともに同等の伸びを見せていますが、利益は国内の大幅な伸びに対して海外はわずかながら減益となりました。なお、国内部門の大幅増益は、増収で損益分岐点を大きく上回ったことが要因と考えられます。

同社は中国の上海と広州で積極的に出店中です。売上は出店とともに伸びているものの、物価高の中で出店コストを回収しながら利益を積み上げることができるのか、順調に伸びた海外事業が踊り場を迎えている可能性もあります。

○ベトナムに出店するなどサイゼリヤの海外事業の挑戦は続く

筆者も昼食や息抜きの一人飲みなどでサイゼリヤをよく利用しますが、国内店舗はにぎわっており、店舗にいると国内事業の好調が伝わってきます。しかし既にサイゼリヤの利益は海外部門が国内部門を上回る状態です。このため同社の業績は、海外部門の様子を抜きには語れません。

サイゼリヤは現在、中国での積極的な出店に加え、ベトナム進出など海外事業に注力しています。通期予想の下方修正を出したものの成長軌道を維持できるのか、サイゼリヤの今後の業績が注目されます。


石井僚一 いしいりょういち 金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社の勤務を経て、個人投資家・ライターに。株式市場や為替市場に関連する記事の執筆を得意としている。資産運用記事やインタビュー記事も執筆中。第一種証券外務員資格保有。 この著者の記事一覧はこちら
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