パーソル総合研究所は2026年4月16日、あらゆる雇用形態・業職種の10,000人を対象とした「働く1万人の就業・成長定点調査 2026」の結果を公開した。本調査は働き方の実態や就業意識、成長の実感の変化を明らかにすることを目的として2017年から毎年実施されており、2026年調査は2026年2月~3月の期間、全国の15~69歳の就業者を対象にインターネット調査にて行われた。


○勤務先以外で何も「学んでいない」正社員が53.6%で過去最高

勤務先以外での学習や自己啓発について、「とくに何も行っていない」と回答した正社員の割合が53.6%となり、過去最も高い水準となった。

性・年代別で見ると、男性では30代・50代、女性では40代・50代において非学習化が進んでいるとのことだ。

また、学習の入り口である「読書」の割合も年々低下する傾向が顕著となっている。

○管理職意向は過去最低の16.6%。成長志向も大幅に低下

正社員(一般従業員・係長相当)の管理職意向は減少傾向が続いており、2026年は過去最低の16.6%となった。

特に組織の中核を担う男性30~40代の意欲低下が継続している。

「働くことを通じた成長」を重要視する成長志向についても、2021年の82.1%から13.3pt低下し、過去最低の68.8%となっている。

○仕事選びは「やりがい」から「キャリアの見通し」へ

仕事選びで重視されるポイントに変化が見られる。「やりがいを感じられること」などの内発的動機づけは2019年比で低下する一方、「入社後のキャリアコースの明確さ」や「研修制度の充実」といったキャリア形成に関わる項目の重視度が上昇している。先行きの見えない環境下で、会社を自身のスキルを守るためのプラットフォームとして捉える傾向が強まっている。

○若手男性のリタイア志向早期化と女性の就業継続意向

「人生で何歳まで働きたいか」という問いに対し、男性20代正社員が希望する平均年齢は、2017年の60.2歳から2026年には「53.8歳」となり、6.4歳低下した。早期リタイア(FIRE)への意識が高まっている可能性がうかがえる。
一方、女性20代正社員は50.8歳から「53.8歳」へと上昇しており、長く働き続けたいという志向が強まっている。

○「静かな退職」が過去最多の5.8%。女性や高齢層で高い傾向

会社を辞めるつもりはないが最低限の業務のみを行う「静かな退職」の状態にある正社員(一般従業員)は、2026年で5.8%となり過去最高を記録した。

男性よりも女性、若年層よりも高齢層で多い傾向が見られ、近年その傾向がより顕著になっているという。

○研究員の考察

パーソル総合研究所は、成長が働く目的から日々の業務をこなす手段へ変化したことや、将来の不確実性から最短距離で能力を獲得しようとする「タイパ志向」が背景にあると分析している。管理職意向の低下やリタイア志向の高まりは、会社からの成長プレッシャーに対して意図的に線を引き、自分らしい働き方を模索する価値観へのシフトであると推察している。
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