なぜ今、宇宙なのか? 注目集まる成長テーマの理由

インフレ傾向がますます強まり、現金の価値が目減りしていく中で、投資によって資産を防衛していこうという方も多いかと思います。その場合、オルカンなどの定番商品が選ばれていますが、成長率という点で注目したいのが、これまでテーマ型投資の中でも比較的高いパフォーマンスを示してきた宇宙関連分野です。

そこで今回は、SBI証券投資情報部のシニア・ファンドアナリスト・川上雅人さんに、好成績の宇宙関連株式ファンドを紹介してもらいます。


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好成績を上げているテーマ「宇宙」 その要因は?

「宇宙」という投資テーマは、株式市場においてこれまでも度々注目を集め、テーマ型投資の中でも相対的に高いパフォーマンスを示してきました。背景には、次のような構造的な変化があります。

・人工衛星の活用分野が通信、測位、観測などへと拡大
・打ち上げコストの低下により、民間企業の参入が加速
・宇宙ビジネスが研究開発段階から実用化・事業化の局面へ移行

こうした変化は、宇宙関連企業の株価動向にも表れており、テーマ型インデックスファンドの代表例である「eMAXIS Neo」シリーズを見ても、こうした傾向は確認できます。AIを活用して各テーマに関連する企業群を抽出する同シリーズは多様なテーマを網羅していますが、宇宙開発をテーマとしたファンドは、1年・3年といった期間でシリーズ内上位のパフォーマンスを記録するなど、数あるテーマの中でも市場から継続的に評価されてきた分野といえるでしょう(図表1)。

宇宙関連株式ファンド6選

販売停止も話題 宇宙テーマへの注目続く

一方で、テーマ型ファンドは運用規模や投資対象市場の流動性などを踏まえ、ファンドの残高があらかじめ定められた上限(信託限度額)に達した場合、新規の買付申込を停止するケースがある点には留意が必要です。実際に、eMAXIS Neo 宇宙開発は運用上の観点から販売停止の措置が取られており、投資信託にはファンドごとに信託限度額の上限が存在することを示す一例といえます。

足元では、米国のスペースXを巡る上場観測が話題となるなど、宇宙関連企業への注目度が改めて高まっています。また、人工衛星から得られる膨大なデータを処理・活用する「宇宙データセンター」や関連インフラの整備も進展しており、宇宙産業が地上のデータ産業と結びつく動きがより明確になりつつあります。

こうした動向を踏まえ、今回は足元で良好なパフォーマンスを示している宇宙関連株式ファンドを複数取り上げ、その特徴を整理していきます。
好成績の宇宙関連株式ファンド6選

各ファンドの特徴

好成績 宇宙関連株式ファンド、それぞれの特徴
1位 1年90%超の急伸 宇宙テーマを象徴する人気ファンド

3年リターンで1位のeMAXIS Neo 宇宙開発は、宇宙開発というテーマに関連する企業群に投資するインデックスファンドで、原則として組入銘柄に均等比率で投資する点が特徴です。そのため特定の大型株の影響を受けにくく、中小型株の影響を受けやすいファンドです。直近1年では中小型株の上昇などを受けて1年リターンは90.74%を記録しました。ファンド残高の拡大により残念ながら、4月20日より買付申込を停止しています。

2位 オルカン超えの実績 バランス型の実力派ファンド

2位の東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)は、成長が期待される宇宙関連企業の株式に投資するアクティブファンドで、実質的な運用は米国のヴォヤ・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシーが行っています。組入上位銘柄は、光通信と産業用レーザー製品が主力の米国企業であるルメンタム・ホールディングス、小型衛星の打ち上げサービスが主力の米国企業であるロケット・ラブ、宇宙関連アプリケーションのソフトウェア・プラットフォームを開発しているパランティア・テクノロジーズ、ドローンと政府向けソリューションの2事業を展開する米国企業のクラトス・ディフェンス&セキュリティー・ソリューションズ、宇宙での配送サービスやデータ伝送サービスなどを強みとしている米国企業のインテュイティブ・マシーンズなどとなっており、組入銘柄数は65銘柄です(※)。1年・3年・5年でオルカンを上回ってバランス良く好成績を上げているSBIセレクトのファンドで、SBIセレクトをさらに厳選したSBIプレミアムセレクトの実力派ファンドといえます。
3位 値動きも比較的安定 守備力ある宇宙インデックス

3位のSMT MIRAIndex 宇宙は、FactSet Global Space Economy Index(税引後配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指して、宇宙関連株式に投資するインデックスファンドです。組入上位銘柄は、軍用機などを生産し、米国を代表する防衛会社のロッキード・マーチン、イスラエルに拠点を置く防衛システム会社のエルビット・システムズ、世界有数の防衛会社である米国のノースロップ・グラマン、英国の情報セキュリティ・航空宇宙関連企業であるBAEシステムズ、米国の電子・通信機器メーカーのテレダイン・テクノロジーズなどとなっており、組入銘柄数は49銘柄です(※)。1年・3年・5年でオルカンを上回ってバランス良く好成績で、リスクの振れ幅を示す標準偏差(3年)もテーマ型ながら比較的抑えられたバランス重視のファンドといえます。
4位・5位 直近で巻き返し ARKの調査力を活かす宇宙ファンド

4位のグローバル・スペース株式ファンド(1年決算型)と5位のグローバル・スペース株式ファンド(年2回決算型)は、宇宙関連ビジネスを行う企業およびその恩恵を受ける企業の株式に投資するアクティブファンドで、個別銘柄選定において革新的成長企業への投資で知られる米国アーク社の調査力を活用しています。組入上位銘柄は、米国に本拠を置く世界有数の防衛・航空宇宙・情報技術企業のL3ハリス・テクノロジーズ、ロケット・ラブ、航空宇宙関連の検査機器などの半導体検査装置メーカーのテラダイン、世界最大規模の農業機械メーカーで宇宙技術を農業に融合させることを強みとしている米国のディア、クラトス・ディフェンス&セキュリティー・ソリューションズなどとなっており、組入銘柄数は33銘柄です(※)。運用期間が5年以上の実績を持つ1年決算型は5年リターンで苦戦していますが、1年リターンでは巻き返して好調となっており、アーク社の調査力を活用した銘柄選定が奏功しているといえます。最近のリターン回復が目立っており、直近の動向に注目したいファンドといえるでしょう。
6位 調整中こそ注目 中長期で見たい分散型ファンド

6位のニッセイ宇宙関連グローバル株式ファンド(資産成長型・為替ヘッジなし)(愛称:スペース革命)は、日本を含む世界各国の宇宙関連企業の株式に投資するアクティブファンドで、米国のTCWインベストメント・マネジメント・カンパニーからの助言を活用し、株価上昇が期待される銘柄に投資を行っています。組入上位銘柄は、航空宇宙に関する複合企業体でフランスのサフラン、宇宙船でも採用されたインターコネクト製品メーカーである米国のアンフェノール、航空機、宇宙船、電気通信システムなどの部品を製造する米国のハイコ、米国の半導体企業のブロードコム、世界最大の産業用ガス会社で宇宙空間においての特殊ガスを強みとしている米国のリンデなどとなっており、組入銘柄数は27銘柄です(※)。
幅広い宇宙ビジネスの関連銘柄に分散投資しているのが特徴で、2025年12月頃はマイクロソフトやオラクルなどのソフトウェア関連株の構成比が高くなっていました。このことが特に2026年に入ってからのソフトウェア株下落がパフォーマンス低下の一因となっています。足元では調整局面にありますが、中長期での持ち直しを期待する投資家にとっては選択肢の1つといえるSBIセレクトのファンドです。

それぞれのファンドの特徴を理解した上で、オルカン投資家にとっては、値動きが異なる資産として、有望な成長テーマとして挙げられる宇宙関連株式ファンドへの分散投資を検討してみてはいかがでしょうか。

(※)ポートフォリオの情報は2位、4位、5位、6位のファンドが2026年2月末基準で、3位のファンドが2026年3月末基準。個別銘柄の取引を推奨するものではありません。

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『投資情報メディア』より、記事内容を一部変更して転載。

川上雅人 かわかみまさと SBI証券 投資情報部 シニア・ファンドアナリスト(公益社団法人日本証券アナリスト協会認定アナリスト) 慶應義塾大学卒業。中堅証券会社で国内株アナリスト、国内大手運用会社で18年間、商品企画・営業などを担当後、2020年よりファンドアナリストとして活動。2022年11月から現職。最新の投資情報を発信する『投資情報メディア』やダイヤモンドZAIなどのマネー誌で投資信託や資産運用(NISAなど)の情報提供を行う。趣味は野球観戦とランニング。
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