連邦捜査官が大谷の真摯な姿勢を証言した(C)Getty Images

 米連邦検察が現地時間5月8日(日本時間9日)、ドジャースの大谷翔平の元通訳である水原一平容疑者が、銀行詐欺のほか虚偽の納税申告書を提出した容疑でも有罪を認めたことで、有罪答弁の司法取引が成立したと発表した。

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 銀行詐欺の罪には最高で懲役30年の刑が科せられ、虚偽の申告による納税詐欺罪は最長で懲役3年となり、両罪での最高刑は「懲役33年」となるものの、司法取引で量刑が軽減される見通しとのことだ。

 これにより、水原容疑者は1697万5010ドル(約26億4000万円)の賠償金を大谷に対して支払う必要があり、その他、虚偽申告の追徴課税として100万ドルを超える罰金を支払う必要が生じることになる。

 この一連の事件を受けて、米内国歳入庁(IRS)の担当者は、米スポーツ専門局『ESPN』のMLB専門YouTubeチャンネルの動画内でインタビューに答えている。

 大谷は連邦捜査官との面談で、非常に協力的だったと評されていた。米内国歳入庁の犯罪捜査部門で特別捜査官を務めるタイラー・ハッチャー氏は「(オオタニは)包み隠さず素直に話してくれた」と、あらためて大谷の真摯な姿勢を証言した。

 さらに「我々が求めたものすべてにアクセスできるようにしてくれ、我々が知らないものも自発的に提供してくれた。彼は全容を明らかにしたいと望む被害者のように行動していた」と明らかにした。

 同インタビューの中で、なぜこの調査と告発がこんなに早く行われたのかという点に関して、同氏は「世間や、我々の側、メディアの側でもオオタニの発言が真実なのかということに多くの関心があった」と説明し、「我々はその雰囲気を整えることができた」と実感していた。今回の捜査では、事件が発覚した3月下旬から、約3週間の間に訴追の準備が整ったとして、スピーディーな捜査が実現した経緯も注目されていた。その間に大谷と水原容疑者の個人的なやり取りを含むテキストメッセージの内容も精査したとされる。

 本来であれば、自身のプライベートなデータを明かすのはためらうところではあるが、大谷の誠実な対応が今回の事件を迅速に解決へと導くことができたといっていい。捜査が進む中であらためてそれがクローズアップされた。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]