「元気」。千葉ロッテマリーンズで今シーズンより選手会長を務める鈴木大地内野手がもっとも大事にしている言葉であり、ポリシーだ。

辛い時もある。悔しい時もある。思い通りにいかない時もある。それでも元気を出す。両親から口酸っぱく言われ続けてきた言葉だ。

ロッテ・鈴木大地が両親から言われ続け、プロ野球選手になれた言...の画像はこちら >>

(c)千葉ロッテマリーンズ

 「小学校の時にピッチャーをやっていて打たれて泣いていた時に親から『元気を出してやりなさい』と怒られたのをよく覚えています。

そこから今に至るまで大事にしています。やると決めたからには元気を出して楽しんでやる。そういう気持ちです」

 鈴木はそう言って遠い昔を振り返った。思い返せば親から「勉強をしなさい」と言われた記憶はない。野球においても「もっと頑張りなさい」、「練習をしなさい」と言われた事もない。言われ続けたのは「とにかく元気を出しなさい」という事だけだった。

幼い時から教えられ続けてきた事を中学、高校、大学、そしてプロと階段を昇る過程で実践し続けてきた。かくして今の誰もが認めるいつも元気な姿を見せる背番号「7」の姿となった。

 「自分は特別、体も大きくもなくて肩も決して強くない。足も速くない。打撃もめちゃくちゃいいというわけではなかった。そんな自分が野球で目立てるのは元気の良さでした。

それはずっと意識しています。ありがたいことにアマチュアの時も、プロに入ってからも鈴木大地という選手のイメージとして『元気を出している選手』というのがあって、自分の評価になっている。自分の人生のプラスになってくれていて、前に進めてくれている」

 東洋大学時代の監督で恩師である高橋昭雄氏からも元気であることを高く評価してもらった。プロに入ってからも13年に就任し17年まで千葉ロッテマリーンズの監督を務めた伊東勤現中日ドラゴンズヘッドコーチからもハツラツとプレーをするスタイル、しっかりと声を出しチームを引っ張る姿を見出されキャプテンに任命された。すべては小学校時の両親の教えが原点だ。

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 「プロの世界ではパフォーマンスで目立つことはもちろん大事。

でも、この色々な人に見られている世界において元気を出すことは絶対に必要。ベンチで試合を見ている姿もテレビやスタンドから見られている。どんな時も元気を出してプレーをしている姿にファンは共感を抱いてくれると思う。打てない日もあるし、思い通りにいかないプレーもたくさんあるけど、どんな時でも元気だけは忘れない。それがボクの生き方であり、両親から教えてもらった事です」

 昨年はサードのレギュラーとしてチームを引っ張ってきた鈴木だが今季はファイターズからブランドン・レアード内野手が1月に緊急補強されたことを受けて定位置を譲る形となってしまった。サードも守ることもあるが一塁にDH。

ショートやセカンドも守った。さらには外野の守備機会もあった。不慣れなポジションも含め日々、与えられる役割が変わるが弱音を吐くことはまったくない。今季2度サヨナラ勝ちをしている千葉ロッテマリーンズだが、いずれもこの男のバットが試合を決めている。笑顔で元気にプレーをこなしチームを鼓舞する。それこそがこの男の真骨頂でありファンから愛される所以となっている。
「元気」。ストレスの多い現代社会にあって、忘れてはいけない大事な事を背番号「7」はグラウンドで実践している。

[文:千葉ロッテマリーンズ・広報 梶原紀章]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

梶原 紀章(かじわら・のりあき)

千葉ロッテマリーンズ広報メディア室 室長。大阪府出身。関西大学卒。99年に産経新聞社大阪本社に入社しサンケイスポーツ運動部でオリックス(99~00)、阪神を担当(01~04)。04年限りで同社を退社し05年2月より千葉ロッテマリーンズ広報に就任。11年の営業職を経て12年6月より広報部門の統括責任者として千葉ロッテマリーンズの情報発信を担っている。千葉日報、朝日新聞千葉版、文藝春秋社文春コラムなど連載コラムは多数。

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