世界中が注目するオリンピックでも、疑惑のジャッジが後を絶たない。
北京五輪が2月4日に開幕したが、日本のトップアスリートが次々と不可解な判定の犠牲者になっている。
①高梨スーツ違反失格
②竹内転倒が妨害失格
③平野歩の激辛採点
日本勢だからと、ひいきめに見なくても、明らかにおかしい3つのジャッジをピックアップした。
・今すぐ読みたい→
失格、戦犯、メイク批判・・・「五輪の魔物」は高梨沙羅にどれだけ試練を与えるのか https://cocokara-next.com/athlete_celeb/saratakanashi-ordeal/
◆スーツ違反5人失格
日本女子ジャンプ高梨沙羅(25)の号泣は日本中の涙を誘い、今大会でもっとも印象に残るシーンの1つかもしれない。
男女2人ずつで行われた混合団体戦で、高梨はスーツ規定違反により失格になった。太もも部分が規定寸法の最大許容差(女子は体からプラス2~4センチ)より2センチ大きい と判断された。高梨は、先に行われた個人戦でも同じスーツを着用していただけに、疑念が残る。
団体戦では、高梨のほかにも優勝候補だったドイツ、ノルウェー、オーストリアの女子選手4人も次々と失格になる異常事態。「検査方法が突然変わった」ことが原因とみられている。
スーツのサイズによって空気抵抗を受けて飛距離が変化するため、各国とも規定のギリギリを狙っていることは確かだが、失格は失格。個人、団体ともに4位とメダルを逃した責任を背負った高梨は、自身のインスタグラムで真っ黒な画面とともに謝罪を表明した。彼女が受けた精神的なショック、心のダメージは計り知れない。
◆ドイツ審判8人中6人
スノーボード女子パラレル大回転で、14年ソチ五輪銀メダルの竹内智香(38)が、不可解ジャッジに泣かされた。決勝トーナメントの1回戦、斜面の途中で転倒。
竹内の準々決勝進出が発表された直後、審議に。転倒の際に相手を妨害していたと判定された竹内が失格処分を受けた。日本陣営だけでなく、スイスなど他国も抗議したが、判定は覆らず。竹内は「対戦した本人も、妨害は感じ取っていなかった。審判の8人中6人がドイツ人なので、ノーチャンスかなと思った。
公平性を期すため、国際大会の審判団は1カ国ずつから選ばれるのが通例だが、過半数以上をドイツ人が占めていること自体が大問題。「ヨーロッパスポーツの力を感じる。これも五輪独特の力」。日本女子最多となる五輪6大会連続出場のレジェンドは、国際大会の理不尽さを悟っているかのようだった。
◆最高難度に低スコア
スノーボードの男子ハーフパイプで、2大会連続銀メダルの平野歩夢(23)がラスト3回目の試技で逆転し、96.00点で金メダルを獲得した。
審判団へ怒りは世界中からあがり、ジェームズの母国オーストラリアでさえ「逮捕されるべき」の見出しで報道するメディアがあったほどだ。判団5人のうち、最低89点をつけたのが米国。同種目で五輪金メダル3度のショーン・ホワイト(米国)が今大会で引退するため、大逆転の可能性を残すよう上位陣の点数をおさえ、ホワイトが3本目の試技に失敗したことで、平野にも高得点を出した、という見方も出ている。
平野への激辛採点に、米国メディアは「審判は恥を知れ」「平野が3本目に成功しなければ、歴史に残る大誤審になるところだった」などと激しく糾弾する論調もあった。平野本人は「2本目の点数は納得いっていなかったけれど、そういう怒りが自分の気持ちの中で最後、表現できた。僕以上に怒っている人もいた。演技のどこを見ていたのかという説明は改めてするべき。競技をやっている人たちは、命を張ってリスクも背負っている。選手のために、判断の基準はスルーせず整理した方がいいんじゃないか」と問題提起した。
五輪でもミスは起こり、判定1つで4年間の努力も苦労も水の泡になる。ルールはあっても人間が判断する以上、感情が入り、フェアにはならない。
判定の不利を強靱な精神力ではねのけた平野の3本目のパフォーマンスは、歴史に残る大逆転として世界から称賛を集めている。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]