W杯選出が決まったネイマール。しかし、彼のサプライズはブラジル国内で非難轟轟となっている(C)Getty Images

 重宝すべきは経験か、はたまた知名度か。

現地時間5月18日に正式発表となった北中米ワールドカップ(W杯)に向けたブラジル代表メンバーが波紋を呼んでいる。

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 名将カルロ・アンチェロッティの下、史上最多6度目の世界制覇を目指す“王国”は、今大会も錚々たるメンバーが集った。その中で物議を醸したのは、23年10月のW杯南米予選のウルグアイ戦以来2年7か月も代表から遠ざかっていたネイマールの“サプライズ選出”だ。

 セレソンにおける実績は申し分ない。歴代最多の79得点を誇る34歳だが、近年は相次ぐ故障によってコンディションが低迷。23年10月に左膝の前十字靱帯を断裂してからは1年以上かけて治療とリハビリに取り組み、懸命に状態を上げてきた。

 ただ、昨年1月に古巣サントスへ復帰してからも万全と呼べる状態とは言い難かった。プレーこそ出来ているものの、決定的な仕事を果たしきれず。ピッチ外ではチームメイトで、元ブラジル代表FWロビーニョの息子であるロビーニョ・ジュニオールと練習中に衝突し、暴力沙汰が物議を醸した。

 問題は抱えている。それでもネイマールは“起爆剤”として大一番に食い込んだ。アンチェロッティ監督は18日の会見で、記者から「2026年にブラジルで15試合しかプレーしていない選手が、プレミアリーグで15ゴールを挙げた選手(ジョアン・ペドロ=チェルシー)の代わりに選ばれるのはなぜか」という言及に対して、「1年を通じてネイマールを評価してきた。

ここ最近、彼は継続的にプレーし、コンディションを向上させている。重要な選手。今回のワールドカップでも重要な役割を果たすだろう」と力説した。

 プレミアリーグで15得点を挙げたジョアン・ペドロら実力者ではなく、ネイマールの代表での実績を優先して大胆な招集を決めた。そんな勝負勘に優れた名将の決断は、小さくない反発を招いている。

 ブラジルのニュースサイト『Veja』は「スター選手は必要ない」と語ったアンチェロッティ監督のコメントを切り取り、「ネイマールを呼んでいる時点で矛盾が生じている」とバッサリ。さらに代表招集が決まった瞬間に様々なブランドとコラボした動画が一斉に公開されたことから「今回のことは予定調和だ。彼の周辺では巧みなロビー活動が展開され、アンチェロッティも呼ぶしかできなかった」と問題視した。

 また、ブラジル・メディア『UOL』のダニーロ・ラビエッリ記者は「ボリビアや日本にも負けて、南米予選も5位だったのに楽観的過ぎる」と母国代表を糾弾。「一流の監督を招聘しておきながら、ブラジル・サッカー協会が仕組んだネイマール招集をめぐる茶番劇に加担させ、グッズ販売で大騒ぎし、前面に押し出すなんて……実に情けない!」と怒った。

「ブラジルは、20年前のワールドカップでの大失敗を繰り返すための第一歩を踏み出した。あのドイツ大会前に誰もが目の当たりにしたあの混乱が再現されたんだ。

会見場の騒ぎ方は、とんでもないもので、全く不必要なことだった。恥ずかしい限りだ」

 いまだコンディション面の不安はぬぐえない。そんなネイマールを呼ぶ決断は、ブラジルにとってどのような効果をもたらすのか。国民が飢える“世界一”に向け、負けが許されない同代表だけに勝てなかった時のハレーションは凄まじいものになりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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