娘を殺された母を演じる大竹しのぶとの「狂気」にも見える掴み合いの凄絶さ・恐ろしさには、目が離せなくなってしまった人も多いことだろう。
ジャニーズの意外な出世頭? イノッチの変化
そんな彼のいちばんの不幸は、「ジャニーズ」だったことだと思う。
そもそも「3年B組 金八先生 第5シリーズ」で演じた兼末健次郎の演技が上手すぎ、イメージが強烈すぎて、かえってその後の露出が減ってしまった印象もある「役者・風間俊介」。
もともとジャニーズ事務所に志願した理由は「テレビに出たい」というストレートなものであったらしいが(ウィキペディアより)、小さな目の地味ルックスは、どうしても「ジャニーズ離れ?」している。
でも、演技力のほうだって、やはりジャニーズ離れしている。「金八~」以来、役者業に転向し、すっかり「演技派」として知られているが、声優としても、「遊☆戯☆王」で長期にわたって培われた経験が生かされてか、現在上映中の「コクリコ坂から」の声の仕事も、主演・岡田准一より上手いという声は多いよう。
それでも、不思議なのは、今でも彼が「ジャニーズJr.」だということ。
ジャニーズ事務所では、一般的に「CDデビュー」=「デビュー」という不思議なスタイルをとっているため、いくら演技がうまくても、ダンスがうまくても、名前や顔が売れていても、「デビューしていない=ジュニア」ということになるのは、比較的よく知られた話。 そんななか、唯一、俳優業としての実績を買われ、「ジュニア卒業」を認められた生田斗真の例があるけれど、風間俊介も、あの演技力を考えたら、もう「ジュニア」じゃなくて良いのではないだろうか。
実は、すでにデビューしている面々よりも、歌もダンスも実力的には上の「ジュニア」はたくさんいるし、もはや「バックダンサー専属」みたいになっている職人的な技能グループも存在している。
結局、「ジュニア」と「デビュー組」のいちばんの差は、ルックスなのかもしれないが……。そろそろ「CDデビュー」以外の別の「ゴール」をジャニーズ事務所が認めても良いのではないかと思う。(文:田幸和歌子)