現在放送中の吉高由里子×北村匠海共演のドラマ『星降る夜に』(テレビ朝日系/毎週火曜21時)も話題の脚本家・大石静。“ラブストーリーの名手”とも称される彼女が脚本を担当した作品は、いずれも視聴者から高い評価を集めるドラマばかり。

ここでは彼女が手がけた数々のドラマの中から“名作”の呼び声が高い恋愛ドラマ5作品を紹介していこう。

【写真】大石静のラブストーリーには実力派俳優陣がずらり

 大石は1986年放送の単発ドラマ『水曜日の恋人たち』(TBS系)で脚本デビュー。以降、脚本家としてオリジナルを中心に多数のテレビドラマを手がける。これまで『ふたりっ子』や『オードリー』といったNHK連続テレビ小説やNHK大河ドラマ『功名が辻』も担当。2024年には吉高由里子とみたびタッグを組む、NHK大河ドラマ『光る君へ』の放送も控えている。

 時代劇から現代劇、医療系、ホームコメディに至るまでさまざまなジャンルを手がける彼女の代名詞となっているのが“ラブストーリーの名手”という呼び名。
現在放送中の『星降る夜に』は、35歳の産婦人科医・鈴(吉高)と、音のない世界で生きる10歳下の遺品整理士・一星(北村)が運命の恋を育んでいくヒューマン・ラブストーリー。1月17日放送の第1話では、放送開始1分で吉高と北村のキスシーンが描かれネットは騒然。続く第2話のラストシーンでは、雪が舞う中、一星が鈴に告白。ロマンティックなシチュエーションとストレートな言葉が視聴者の胸をときめかせた。

◆出版プロデューサーとキャリア官僚の危険な不倫愛『セカンドバージン』

 現在もNHKで続く火曜日の「ドラマ10」枠で2010年10月期に放送されたのが、鈴木京香主演の『セカンドバージン』(NHK総合)。鈴木扮するヒロイン・中村るいは、バツイチ・独身で、出版業界で知られた敏腕プロデューサー。
そんな彼女がある日、17歳年下で妻のいる金融庁のキャリア官僚・鈴木行(長谷川博己)と出会い、ほどなくして恋に落ちる。しかしその不倫愛が行の妻・万里江(深田恭子)に知られたことから、愛憎渦巻く危険な駆け引きが展開していく…。
 
 放送中は、るい役の鈴木と行を演じた長谷川による濃厚なラブシーンも話題に。また本作への出演をきっかけに長谷川がブレイク。以降テレビドラマや映画への出演が相次ぎ、人気俳優の仲間入りを果たした。

◆戸田恵梨香×ムロツヨシ共演で贈る感動の純愛ドラマ『大恋愛』

 2018年10月期に放送された『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)は、戸田恵梨香とムロツヨシの共演が話題となった純愛ドラマ。
年上の医師との婚約も決まり順風満帆の尚(戸田)はある日、敬愛していた小説家・真司と奇跡的な出会いを果たし恋に落ちる。婚約を破棄し、真司との仲を深めようとしていた矢先、尚は自分が若年性アルツハイマーに侵されていることを知るのだった…。
 
 医師と不遇の小説家という2人の格差に加えて、アルツハイマーという深刻な病。2人は何度も衝突を繰り返しながらも、その度に互いに向き合い絆を深めていく。記憶をなくすことへの不安と恐怖を感じる尚を体現した戸田の熱演が視聴者の涙を誘うと、ムロも尚を一途に思い支え続ける真司を好演し新境地を開拓。大石の脚本が2人の素晴らしい演技を引き出し、本作は2010年代の恋愛ドラマのマスターピースとなった。


◆柄本佑の魅力にスポットが当たった『知らなくていいコト』

 2024年放送のNHK大河ドラマ『光る君へ』でもタッグを組む吉高由里子が主演を務めたのが2020年1月期に放送された『知らなくていいコト』(日本テレビ系)。本作は、政治問題から芸能スキャンダルまで、あらゆるスクープを世に送り出す雑誌「週刊イースト」の記者・真壁ケイト(吉高)を主人公に、彼女が自身の出生に秘められた真実を探っていく物語。

 お仕事系×考察系×恋愛といったモチーフが絶妙なバランスで融合したこのドラマで吉高の相手役を務めたのが俳優の柄本佑。180cmを超える高身長にしてスタイル抜群の彼が演じたのは週刊誌カメラマンでケイトの元カレ・尾高由一郎。ある事件をめぐって恋人と別れたケイトに情熱的なキスをする姿や、常にケイトを守ろうとする由一郎の紳士的な優しさは多くの視聴者の胸をときめかせた。

◆磯村勇斗の“全裸待機”にネットが沸いた『恋する母たち』

 『知らなくていいコト』と同年に放送された金曜ドラマ『恋する母たち』(TBS系)は、エリート男子校に息子を通わせる40代の母親たちと、その周囲の男たちの姿を描いた群像劇。


 主演の木村佳乃扮するシングルマザーと小泉孝太郎演じる週刊誌記者をはじめ複数のカップルの恋模様が描かれる中で、放送当時に視聴者を釘付けにしたのは、吉田羊演じる食品メーカーの宣伝部課長・優子と、磯村勇斗扮する部下・剛の不倫愛。京都出張に出かけた2人が仕事を終えて、ホテルの部屋で打ち上げがてら酒を酌み交わしていると良い雰囲気に。冷静になるために一旦バスルームに入った優子が部屋に戻ると、そこには一糸まとわぬ剛の姿が。「もうガマンできないです、俺!」と訴える剛の姿に、放送時ネット上には「文字通りすぎる全裸待機」「全裸待機は優勝」などの声が相次いでいた。

◆井浦新の見事なヒロインぶりが光るラブコメ『あのときキスしておけば』

 松坂桃李×麻生久美子×井浦新といった実力派俳優の共演でも話題となったのが2021年4月期放送の『あのときキスしておけば』(テレビ朝日系)。このドラマは主人公が恋するヒロインの中身が、見知らぬおじさんと入れ替わってしまうという奇想天外なラブコメディ。

 
 本作で入れ替わってしまう2人を演じるのは麻生久美子と井浦新。麻生扮する女性漫画家・巴はある事故をきっかけに、魂が清掃員のマサオ(井浦)に乗り移ってしまう。そこから外見がおじさんになった巴と、主人公・桃地(松坂)によるラブストーリーが展開。所作や声色、台詞回しに至るまで、麻生久美子が演じた巴をコピーする井浦の見事な演技力とチャーミングなヒロインっぷりが堪能できる“笑って泣ける”感動作だ。
 
 吉高由里子と北村匠海が紡ぐ恋愛模様の行方も気になる『星降る夜に』も、これらの作品に続く名シーンが生まれるか。今後のストーリー展開に期待したい、(文:スズキヒロシ)