12年という時間をかけて描かれてきたアニメ『魔法科高校の劣等生』の物語は、いま、ひとつの“核心”へと踏み込む。劇場版『魔法科高校の劣等生 四葉継承編』は、司波兄妹が積み重ねてきた想いと、四葉家が抱え続けてきた選択の重みを真正面から描く転換点だ。
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■『四葉継承編』が描く選択と覚悟
――今作はこれまで積み重ねてきた物語の“核心”に踏み込むエピソードだと感じますが、最初にシナリオをご覧になった際の率直な印象を教えてください。
中村:『四葉継承編』は、描き方の選択肢が本当に多いと思うんです。陰謀劇のようにもできるし、サスペンス寄りにもできるし、達也や深雪の視点にぐっと寄せて描くこともできる。そうした中で、今回はかなりストレートなアプローチを選んでいる印象でした。だからこそ、構えずに物語に入っていけるし、登場人物たちの感情や立場がダイレクトに伝わってくる。その潔さが今作の魅力なんじゃないかなと感じました。
早見:深雪にとって今回は、これまでずっと胸の奥に抱えてきた想いが、はっきりと形になる物語だと感じています。お兄様を軸に生き、その中で葛藤してきた時間は、シリーズの歴史の中でも丁寧に描かれてきましたが、その想いが彼女自身でも抱えきれないほど大きくなっていく。だからこそ、『四葉継承編』では、深雪が何を選び、どう行動するのかが物語を大きく動かしていきます。
斎藤:真夜は今回、本当に“喋り倒しています”(笑)。四葉家当主を継承するというテーマの中で、達也と深雪の隠されてきた“秘密”を語る役割を担っていて、そこが大きな見どころですね。その事実は、物語の根幹を揺るがすほど重要なものでもあるので、真夜がそれを口にする瞬間には、強い緊張感と重みがあるように感じました。
――四葉家を演じる立場として、この家系をどのように捉えていますか?
中村:四葉家って、決して“綺麗な一族”ではないと思うんです。確固たる立場を築くために、これまで積み重ねられてきた選択や犠牲が、当主に重くのしかかっている。そうした歴史をどう受け止めるかは人それぞれですが、善人ばかりの家系ではない、というのは確かだと思います。
実際、戦略級魔法師である達也が名を連ねている時点で、国家を揺るがしかねない力を持つ一族でもある。だからこそ、常に警戒され、注視され続ける存在。そういう意味で、四葉家は“危うさ”を内包した家系なんだと捉えています。
早見:四葉家の中には、本当にいろいろな考え方の人がいて、その思惑がぶつかり合いながら、今の形にたどり着いている。そこに、長い歴史の重みを感じます。“四葉”と一括りにされがちですが、実際には決定権を持たなかった人たちの意見や、選ばれなかった道も確かに存在していて。今回の物語では、そうした背景も見えてくるんですよね。
次期当主候補たちも、それぞれ違う想いを抱えて四葉を背負って生きているので、“四葉家”ではなく、“四葉に生きる個々”を見ていただくと、より面白く感じてもらえるんじゃないかなと思います。
斎藤:私は、ある意味すごく分かりやすい家系だなと思っています。“強いものが偉い”という価値観が、はっきり存在している。真夜もまさにそうで、圧倒的に強い。でも、それって同時にすごく怖いことでもあるなと感じていて。強さと賢さは、必ずしもイコールじゃないですから。
その点で言うと、深雪は強さと冷静さの両方を持っているし、達也も同じ。みんなが必死に準備したものを、あっという間に覆してしまう二人を見ていると、他が太刀打ちできないのも当然ですよね。
ただ、この二人は“一人”じゃない。常に一枚岩とは限らないからこそ、強さは諸刃でもある。その関係性が、今後また新しい緊張感や面白さを生んでいくんじゃないかなと思っています。
■物語の核心に立つ四葉真夜の素顔
――これまで“得体の知れない存在”として描かれてきた四葉真夜ですが、『四葉継承編』を通して、演じる立場から見えた真夜の人間的な側面や、その本質的な変化をどう感じましたか?
斎藤:最初に登場した頃の真夜は、どこか“黒幕”的で、近寄りがたい存在という印象が強かったと思います。でも今回演じてみて、逆に真夜という人物に、より深く触れられた感覚がありました。人間らしさ、という言葉が正しいかは分かりませんが、彼女の“人としての部分”が見えた気がしていて。そういう意味では、今までよりもずっと演じやすくなりましたね。
観ている側の印象も、きっと変わるんじゃないかなと思います。ただ怖い、ただ強い人ではなくて、どこか親近感を抱けるキャラクターになってきているんじゃないかなと。
もちろん、謎が深まった部分もあります。でも、ずっと引っかかっていたのが、真夜がなぜあれほど達也に執着しているのか、という点で。深雪以上に達也に向いているように見えるその理由が、今回ひとつ見えたことで、自分の中で大きな“答え合わせ”ができた感覚がありました。
これまでは、感情を込める余地があまりないまま、それでもどこか歪んだ執着を感じながら演じていたんです。でも『四葉継承編』を経て、その“こじれ方”に納得がいった。真夜という役と、ようやく地続きになれた気がします。演じながら自然と自分の中で答えが揃っていった。四葉真夜という人物像が、私の中ではかなりクリアになったエピソードだったと思います。
――達也・深雪の目線から見て真夜はどんな存在だと感じますか?
中村:親戚の叔母さんなのに、やたらいろんなことを言ってくる人、って感じですね(笑)。達也は一応、表面上はへりくだっているというか、言うことを聞いているようには見せていますけど、内心ではすべてを受け入れているわけではない。“叔母さんが言ってたから従おう”なんて思ってないんですよ。
斎藤:それを隠してない感じだよね。
中村:全然隠してないです(笑)。やり取りの中でも、達也の側には若干の嫌悪感がにじんでいる。腹の探り合いをしているのは、たぶん達也のほうで、真夜は別に探ってもいない。
早見:私も、やはり距離感は強く感じました。物理的な距離もありますし、精神的にも決して近い存在ではない。でも、必要なときには手を差し伸べてくれる、不思議な関係性だなと。
深雪としても、今回は真夜さんとのやり取りを通して、感情がふっと表に出る場面が多かった印象があります。これまでは、お兄様の隣に立ち、その立場や振る舞いに寄り添うことが多かった。でも『四葉継承編』では、真夜さんの言葉によって、深雪の中に大きな心情の変化が生まれる瞬間が描かれている。そこは、これまでとは明確に違う点だと感じました。
■積み重ねた時間の先へ――ファンへ届けたい『四葉継承編』
――『四葉継承編』では、司波兄妹がこれまで積み重ねてきた時間があったからこそ生まれた感情や行動が描かれていると感じました。今だからこそ自然に表現できた芝居としての距離感や感情の動きの中で、特に注目してほしいポイントはありますか?
早見:10年以上、作品の中で兄妹として向き合ってきたからこそ、今回は深雪にとってかなり思い切った行動に踏み出す物語になっていると感じています。本人の中では覚悟がすでに決まっていて、そこにさらに動揺する真実が重なり、“もうこうなるしかなかった”という感情が自然とあふれてくる瞬間なんですよね。
もしこのシーンが、作品に関わって1、2年目の頃に訪れていたら、きっと違う表現になっていたと思います。
中村:深雪と会話するときの温度感や距離感って、もうある意味“様式美”のようなものになっているんですよね。テンプレートとまでは言わないですけど、距離の詰め方や間の取り方には、自然と型ができている。
ただ、僕はそれに抗いたくなるタイプでもあって(笑)、あえて距離を置いて芝居してみようとすることもあるんです。でも、そうすると「もっと近い距離で」ってディレクションが入る。結局「はい」って言って元に戻すんですけど、そのやり取りも含めて、今の司波兄妹の距離感が自然に保たれているんだと思います。
――斎藤さんから見て、司波兄妹の関係性の中で「いいな」と感じる瞬間はありましたか?
斎藤:二人って、本当にものすごく自然にかばい合うんですよね。それがあまりにも当たり前すぎて、さらっと流れていくんですけど、必ずお互いを守ろうとする。その関係性が、すごく素敵だなと思います。
しかも、どちらも“相手に頼ろう”とはしていないんです。自分で頑張ろうとしているところに、もう一方が自然と手を差し伸べる。毎回、“ピンチのときの王子様”みたいなことをされているな、って感じていて(笑)。
ここまで物語が続いてくると、「そろそろ助けに来るでしょ」って思ってしまいそうになるんですけど、でもちゃんと毎回、相手を巻き込まないように踏ん張っている。その上で助けに来るから、何度でも同じ気持ちを新鮮に味わえる。そこが、この兄妹の関係性のいちばん美しいところだと思います。
――最後に、長年『魔法科高校の劣等生』を見続けてきたファンの方へ、メッセージをお願いします。
中村:今回が2作目の劇場版になりますが、原作小説の中でも大きな転換点となるエピソードを、こうして劇場という場で届けられたのは、間違いなく皆さんが応援し続けてくださったおかげだと思っています。
第1シーズンから振り返ると、12年という時間はあっという間でした。でも、その歩みを途切れさせずに続けてこられたのは、本当にファンの皆さんのおかげです。ぜひ劇場に足を運んで、この物語を存分に堪能していただけたら嬉しいです。
早見:これまでたくさんの物語が描かれてきましたが、原作小説を読んでくださっている方や、長く見続けてくださっている方にとっては、「ついにこの話が来た」と感じていただけるエピソードだと思います。
それが劇場で描かれることで、迫力だけでなく、静かに心に迫る重みもより強く感じられるはずです。大きなスクリーンで、四葉家が抱えてきたさまざまなものを、じっくり味わいながら楽しんでいただけたらと思います。
斎藤:原作小説の中でも、とても重く、でも同時に人気の高いエピソードだと聞いていて、「これを映像化するのは相当難しいだろうな」と思っていた方も多いんじゃないかなと感じていました。それをあえて劇場で描くという選択に、まず強い心意気を感じました。
私たち役者陣も、その覚悟に応えようと全力で臨みましたし、完成した映像を拝見したときには、音楽やSE、映像すべてが合わさって、劇場で観てこそ味わえる、圧倒的な満足感のある作品になっていると感じました。ぜひ劇場で、この世界を体感していただけたら嬉しいです。
(取材・文:吉野庫之介)
劇場版『魔法科高校の劣等生 四葉継承編』は、5月8日より全国公開。
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