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「この時代だからこその“えぐみ”が感じ取れる題材です。10年前、20年前だったらピンとこなかったかもしれない。今だから観ていただく方にも突き刺さる作品になっていると思います」と玉山。羽原とのタッグについても触れた。
「羽原さんとは3度目なんですけど(『マッサン』、映画『綱引いちゃった!』)、人情味だったり、日本のよき姿を表現するのがとても上手な脚本家さんなので、今回のような毒々しい企業もの、社会派ものを書くとどうなるのか、まったく想像がつかなくて楽しみでしたね」。玉山扮する主人公の槙田は、製薬会社の副社長の安城(小林薫)から不祥事の隠ぺいを指示され、登場人物おのおのが信じる正義の狭間に溺れていく。
槙田の立場を玉山はこう分析する。「普通に生活していたら目にしなかったものを見てしまった。知ってしまったがゆえに、その人の生活や考え方が一変する出来事って僕はあると思うんです。たとえば、ひとりの記者がある事件と出会って、その記者の残りの人生が、それ一色になることはあると思う。
『マッサン』は自信につながったと話す玉山だが、それでも現場に入る際の緊張感は消えないという。「今回を含め、どの現場へ行くにも毎回、緊張します。特に大切なシーンは、怖くて怖くて現場に行きたくないと思うことさえあります。子供もいますし、おじいちゃんになってもこの仕事の第一線で頑張りたいと思っていますが、演じる際の怖さは常にあります。もっともっと自分の自信になるような作品を増やしていかなきゃと思うし、そういう積み重ねでしか僕のこの臆病な部分は解消されないでしょうね」。
自らを臆病と称した玉山。だが怖いというのは、それだけ玉山が作品に、役柄に深く真摯に向き合っているからに他ならない。臆病であり続けることの強さ。役者・玉山鉄二が感じる“怖さ”は、きっと消えることがないだろう。(取材・文:望月ふみ)
日曜オリジナルドラマ『連続ドラマW 誤断』は、WOWOWにて11月22日(日)22時スタート。第一話無料放送