間宮祥太朗(写真/Getty Imagesより)

 原作者のメーブさんが毎回Xで丁寧な感想をポストしてくれているドラマ『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ系)26日放送分は第8話。

 世界観重視、キャラクター重視で、世界基準でレーティングに引っかからない、残虐性のないデスゲームをAmazonPrimeの予算を使ってやりましょうという企画だと思うんですが、第1話からゲームそのものがイカサマまみれで全然おもしろくないなぁと思っていたところ、いよいよ世界観や設定まで壊れてきました。

 脚本以外はすごくがんばってるので、なんとかいいところを探しながら見ているのですが、だいぶしんどくなってきましたよ。

 振り返りましょう。

■謎組織「グングニル」の目的が明らかに

 照朝(間宮祥太朗)たちは絶海の孤島でアクマゲームトーナメントの真っ最中。先に決勝進出を決めた照朝は、このトーナメントを仕掛けた組織である「グングニル」のアジトに潜入しようと森の中を進んでいましたが、ドジを踏んで大ピンチに。

 そこに、闇落ちしたと思われていた初くん(田中樹)が現れて、無事に別の入り口を案内してくれました。

 謎組織のわりに警備の甘いアジトにやすやすと侵入した照朝と初は、その場でグングニルの目的を知ることになります。悪魔の鍵を集めて世界中に紛争を起こし、新世界秩序を構築するみたいなことのようです。

それってどういうことなのかは、考えるだけ無駄でしょう。たぶんドラマ側も考えてない。

 ともあれ、本棚の裏の隠し棚を簡単に見つけた照朝くんはグングニルが持っていたたくさんの鍵をリュックに詰め込んで、アジトからトーナメント会場のホテルに戻ります。

 不審者が島内を勝手に出歩けば、爆弾を積んだドローンが察知して殺されてしまう。グングニルの手下は常に機関銃を下げている。今回、照朝と初くんはいつ死んでもおかしくないくらい大胆な行動をしていましたが、そこは「残虐性のない」というコンセプトに従って、やべえシーンはひとつもありません。

 ホテルに戻ってみると、リュックの中から悪魔の鍵が消えていました。どうやら、悪魔の鍵は「譲渡」もしくは「アクマゲームに勝つ」という条件を満たさないと所有者が移動しないというルールがあるようです。

 グングニルの目的は、トーナメントを開いて悪魔の鍵を集めることだと明言されました。そもそもトーナメントの参加者たちに鍵を配ったのはグングニルだったはずなんですが、配っておいて「集める」とはどういうことなのか。最初から配らなきゃいいのではないか。それも考えるだけ無駄でしょう。

矛盾はゴクゴク飲み込んで前に進みます。

■要するに「記号」をやりたいのだ

 グングニルの上位に「ガイド」という存在があるそうです。グングニルのみんなが「ガイド様」と呼んでいる人で、何か上位的な存在的なアレを司っているらしい。

 今回、そのガイド様が、グングニルによって殺害されたはずの照朝の父(吉川晃司)だったことが明らかになりました。

 ここまで、なんの伏線もヒントもなく、急に「ガイド様が父親です」と言われても困ってしまうのですが、まあドラマがそう言うのだからしょうがない。

 要するに、「父と息子が命を懸けて戦う」という記号的な構図がやりたかったのだと思います。

ダースベイダーとルーク・スカイウォーカーですね。

 フィクションの世界には、そこに置いておくだけで見ている側が勝手に盛り上がってしまう記号というものがたくさんあります。

「父と息子の対決」だとか「男2女1の恋愛関係のない高校の同級生」とか「チャラい奴が家族愛を思って慟哭するギャップ」とか、『アクマゲーム』という作品は、その記号を追い求めて提示することで、なんとかドラマとしての体裁を保っている。しかし、その記号と記号をつなぐ物語の部分、ゲームの部分を詰める時間がなかったのか、最初から詰める気がなかったのか知りませんが、最初からグラグラしていたその物語としての土台が、この第8話に至って瓦解し始めたことがありありと感じられました。

 こうなれば、あとはパワーで押し切るしかない。どれだけ矛盾を抱えながらたどり着いたとしても、次回以降の「ダースベイダーvsルーク」がおもしろくさえあれば、なんとかなる。

 細かいツッコミはもう原作の方にお任せします。

「欲に支配されるな」と言って第1話に登場した照朝くんの父親が、なぜガイド様として君臨することになったのか。そして、照朝くんとどう向き合うのか。そこだけはどうか、もう感動したいなんて贅沢は言わないから、納得だけさせてください。

(文=どらまっ子AKIちゃん)