韓国メディアや衛星分析サイトがしばしば伝えてきた「北朝鮮空軍近代化説」は、別の形で現実に着地するのかもしれない。米国の北朝鮮専門メディアNK Newsは今月、南北軍事境界線から約50キロに位置する前方空軍基地で大規模工事が始まったと報じ、従来型戦闘機基地ではなく「ドローン基地化」の可能性に注目している。

もしそうなら、かつて“空の英雄”だった北朝鮮空軍の歴史的転落を象徴する出来事になるかもしれない。

「飛ぶのが怖い」。北朝鮮空軍出身の脱北者証言や韓国側研究者の分析では、そんな言葉がしばしば登場する。北朝鮮空軍が置かれた状況を見れば、無理もない話だ。

北朝鮮空軍の主力機は、依然として旧ソ連製MiG21、MiG23、Su25など数十年前の機体だ。設計自体が冷戦初期にさかのぼるものも珍しくない。燃料不足で飛行訓練時間は限られ、部品調達も制裁下で容易ではない。専門家の間では「最大の問題は敵機に撃墜されることより、離陸して戻れるかだ」との辛辣な表現すら語られてきた。

しかし、この“堕ちたヒーロー”にはかつて栄光の時代があった。

1960~70年代、北朝鮮空軍パイロットは軍内でも特別な存在だった。北朝鮮はベトナム戦争で北ベトナムに戦闘機パイロットを派遣し、米軍との実戦に投入された。中東でもエジプトやシリアに教官団や航空要員を送り込み、イスラエル空軍との戦闘に関与したとの記録が残る。

北朝鮮映画や宣伝でも「飛行士」は祖国を守る英雄として描かれ、空軍は技術エリート集団だった。

ところが、時代は変わった。

金正恩総書記は2022年末以降、空軍近代化の必要性を異例に強調した。だが、期待された新鋭戦闘機大量導入の兆候は見えない。ロシアからのSu-35供与説、中国機導入説などは何度も浮上しては消えた。現実に進んでいるように見えるのは、むしろ大型無人機や早期警戒機の開発、ミサイル能力の強化だ。

今回NK Newsが指摘した「前方基地のドローン化」も、その延長線上にある。韓国空軍との有人機による制空戦では勝負にならない――そう割り切ったうえで、旧空軍基地を無人機拠点へ変えている可能性があるというのだ。

仮に、こうした形で空軍装備のドローン化が一気に進めば、有人戦闘機に搭乗するパイロットの後進育成はますます難しくなるのではないか。北朝鮮空軍の実質的な消滅すら、現実味を帯びてきそうだ。

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