ビジネスリサーチ・ジャパンは大企業の「従業員平均年収」ランキングを発表した。17年度における売上高上位120社(上場企業)について、従業員給与の推移を分析してみた。

1番多くもらっている会社はどこの会社なのかについて、過去3年の順位も踏まえながら見ていくことにしよう。(鎌田正文)

平均年収が1000万円を超えた
会社は何社あったのか?

 厚生労働省による統計不正問題の発覚でアベノミクスによる賃金上昇にも疑いの目が集まっているが、その実態はどうなのだろうか?最初に売上高順から見てみよう。

 17年度売上高トップはトヨタ自動車(29兆3795億円)、50位オリックス(2兆円8627億円)、100位IHI(1兆5903億円)、120位村田製作所(1兆3718億円)である。

 今回対象となった120社のなかで、平均給与額が1000万円を上回っていたのは25社(16年度21社、15年度23社)。トップと120位までの金額差は1106万円(16年度1007万円、15年度1114万円)だった。

 業界別では、総合商社や大手金融、ビール・飲料、建設・不動産などが上位の常連。平均額が低いのはメーカー、専門商社、運輸、電力・ガスなどである。

 では17年度の従業員平均給与が最も高かったのはどこだろうか。

 1位となったのは、三菱商事。15年度は1445万円で2位。16年度は1386万円にダウンも2位をキープ。17年度は1540万円に上昇し、120社のトップに立った。

 三菱商事の平均年収、平均年齢、勤続年数は以下の通りである。

 三菱商事以外の4社(伊藤忠商事[4位→3位→2位]、三井物産[5位→8位→5位]、住友商事[7位→5位→8位]、丸紅[8位→7位→7位])も、毎年度トップ10以内にランクイン。総合商社の給与水準はトップ級、ということに異論はないはずだ。

総合商社は高給取りを
最も輩出している業界だ!

 総合商社はまた、高給ビジネスパーソンを最も輩出している業界といってもいい。なぜなら各社とも、従業員数が数千人規模と多いからだ。

 有価証券報告書では基本的に、グループを率いる親会社1社(単体ベース)についてのみ、従業員平均年収を開示することになっている。

 単体ベースの従業員数は、三菱商事6000人台、三井物産6000人弱、住友商事約5000人、丸紅と伊藤忠商事は4000人台。5社合計でおよそ2万6000人。そのうち、1000万円プレーヤーは2割としても5000人を超える。双日(16位)や豊田通商(20位)も加えれば、人数はさらに増えるはずだ。

 ちなみに、三菱商事のグループ従業員は8万人に迫る。その人件費総額を調べると15年度からの直近3年間は順に「5362億円→5080億円→6103億円」での推移である。

 グループ全体の戦略を定めたり、傘下企業の経営指導などを主力業務とする持株会社、いわゆるホールディングス(HD)企業が増えている。事業を“手がける・手がけない”によって、「事業持株会社」と「純粋持株会社」に分かれるが、基本的に少数精鋭のメンバー構成である。そのため、平均年収が高く出る傾向にある。

 例えば、1400万円台(17年度)へ急上昇した4位の三菱ケミカルホールディングス(HD)。メーカー、それも大企業としては、異例ともいえる高水準である。

 グループ従業員はおよそ7万人。子会社・関連会社は700社を超す。そのグループを率いる同社の200人に満たない従業員は、戦略策定機能の強化や新事業創出などを担う。主に子会社からの出向組であり、厳しい選抜競争を経ていることは容易に想像がつく。年収が高い従業員で構成されていると見るのが妥当だろう。

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