上位3都県は1000億円超の増益
1位トヨタは世界で販売数伸ばす

 今回は、上場企業の2019年4~9月期または同3~8月期(小売業に多い)の中間決算のデータを使い、「各都道府県で最も利益を増やした会社ランキング2019中間決算」を作成した。

 各都道府県で前年同期と比べて最も営業利益を増やした会社(前年同期の営業損益が赤字の場合は、改善額が大きい会社)をピックアップし、その金額が大きい順にランキングした。

営業利益は本業でもうけた金額を示す。本社所在地はダイヤモンド社企業情報部調べ。

 それでは、上位の都道府県から確認していこう。

 1位は愛知県に本社があるトヨタ自動車で、営業利益の増加額は1424億円だった。新モデルの投入による効果もあり、国内や欧州、中国で販売台数が伸びた。営業利益は1兆4043億円だった。

 2位は神奈川県の千代田化工建設で、営業損益の改善額は1103億円だった。前年同期は、米国での液化天然ガス(LNG)のプロジェクトが設計の不備で採算が大幅に悪化し、963億円の赤字を計上。

 19年4~9月期の営業利益は141億円にとどまっており、2位にランクインしたのは前年同期からの反動増によるところが大きい。

 3位は東京都のソフトバンクで、営業利益の増加額は1086億円だった(営業利益は5520億円)。上位3都県の企業は、増益額(改善額)がいずれも1000億円を超えた。

「ソフトバンクはシェアオフィス、ウィーワークへの投資が失敗して大変な決算だったのでは?」と思われた方もいるだろう。

 ウィーワークに投資したのはソフトバンクグループ(SBG、営業損益は1兆5552億円の赤字)。SBGの国内通信子会社が、ソフトバンクである。同社はスマートフォンのデータ通信の大容量プランや格安ブランド「ワイモバイル」などで通信事業を伸ばし、前年同期比6.5%の増益を確保した。

 ちなみに東京都で営業利益の増加額が300億円を超えた会社は、ソフトバンクのほかに3社あった。ソニーが753億円増(営業利益は5099億円)、伊藤忠商事が580億円増(同2226億円)、国際石油開発帝石が542億円増(同2807億円)だった。

電力3社がトップ10にランクイン
燃料価格の低下が追い風

 4位は大阪府の大日本住友製薬で、営業利益の増加額は372億円だった(営業利益は668億円)。ちなみに大阪府で2番目に営業利益が増えたのは関西電力で、増加額は366億円だった(同1454億円)。大日本住友製薬にわずかに及ばなかった。

 なお、電力会社はトップ10に3社がランクインしている。6位に宮城県の東北電力(営業利益の増加額は297億円、営業利益は734億円)、8位に香川県の四国電力(同220億円、336億円)、10位に広島県の中国電力(同169億円、337億円)が入った。

 関電を含め、4社は火力発電の燃料価格が下がった効果で採算が大幅に改善した。制度上、電気料金への反映には時間差が生じるため、燃料価格の下落局面では利益が増えるのである(燃料価格が下がっても、しばらくは電気料金が高止まりする。

逆に燃料価格が上がる場合、電気料金はしばらく安いままになる)。

 ベスト10の残りをまとめて挙げておこう。5位は京都府のゲーム大手、任天堂で、営業利益の増加額は328億円(営業利益は942億円)。7位は神奈川県の川崎汽船で、営業損益の改善額は233億円(同111億円)。9位は群馬県のヤマダ電機で、営業利益の増加額は196億円(同247億円)だった。

下位3県は増益額が1億円未満
山口、和歌山、青森

 今回のランキング作成に当たり、銀行など決算書に「営業利益」の記載がない企業は対象外とした。岩手、大分、宮崎の3県は、対象となる決算期で業績を発表している上場企業が銀行だけだったため、ランキングには入っていない。

 長崎県にはそもそも上場企業が存在していない。また、秋田と島根の2県は、前年同期比で営業利益が増えた上場企業がなかった。

 それでは最後に、ランキングの下位もチェックしておこう。

 下位の3県では、各県の営業利益の増加額でトップだった企業が、いずれも1億円に満たない水準だった。

 39位は山口県の林兼産業(食料品)で9400万円増(営業利益は5億7600万円)。

40位は和歌山県のアズマハウス(不動産)で7900万円増(同7億6600万円)。41位は青森県のサンデー(小売業)で7700万円増(同3億6800万円)となっている。

(ダイヤモンド編集部 清水理裕)

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