新型コロナウイルス感染の第3波が到来する中、GoToトラベルキャンペーンがいくらお得でも、今旅行の計画をするのはためらわれる人が多いことだろう。しかし、感染拡大が収まった暁には、リラックスする意味でも「温泉」にぜひ足を運びたいもの。

 では、いざ温泉に行くとした場合、どこが多くの人にとって「魅力的」な場所と考えられているのだろうか。今回は、ブランド総合研究所が調査を行った「魅力的な温泉がある市町村ランキング2020」を見ていこう。

 このランキングは、47都道府県と国内1000の市区町村を対象に、認知度や魅力度、イメージなど全84項目からなる「地域ブランド調査2020」によるもので、今年で実施は15回目。魅力的な温泉がある市区町村ランキングは、「各自治体にどんな魅力があると思いますか?」という問いに対して、「魅力的な温泉がある」と回答した人の割合(%)から算出した。全国の消費者3万1734人から有効回答を得た。調査期間は、2020年6月24日~7月20日。

魅力的な温泉のある市町村ランキング
1位は別府市、2位は熱海市に!

「魅力的な温泉がある市町村ランキング2020」1位には、大分県別府市が選ばれた。なんと、約半数の48.6%の人が「魅力的な温泉がある」と回答している。

 2位は静岡県熱海市(45.5%)、3位は岐阜県下呂市(42.0%)、4位は神奈川県箱根町(41.7%)、5位に群馬県草津町(39.1%)が続いた。

GoToトラベルでの目的は
1位「温泉」、2位「自然景勝地巡り」に

 今年8月、ブランド総合研究所が行った「GoToキャンペーン(旅行)の意識&ニーズ調査」によると、旅行の予定がある人に聞いた旅行の目的で最も多かったのは「温泉」で、54.6%に上った。2位は「自然景勝地巡り」(45.1%)となり、「テーマパーク、遊園地」(21.8%)、「まち歩き」(16.6%)、「買い物、ショッピング」(14.7%)のような都会的な旅行よりも、自然に親しんだり、温泉でリラックスしたりする体験を求める人が多いことが分かった。

「今回の魅力的な温泉がある市町村ランキングの上位は、前年と比較するとスコア(魅力的と思う割合)が下がっているところも多いが、全体で見るとスコアはアップしている。

こうしたことから、新型コロナによる自粛生活からリラックスするために、身近な温泉地や景勝地で楽しみたいと考える人が増えているのではないだろうか」(ブランド総合研究所・田中章雄社長)

観光客減少の危機からも復活
別府、熱海のブランド戦略

 では、今回上位に入った市町村の魅力について、具体的に見ていこう。

 1位の別府市は、新型コロナの感染拡大以前は外国人観光客も数多く訪れていた、国内外で人気の観光地だ。「別府市内には温泉が数百あって、それらが8カ所の温泉郷を中心に分布している。『別府温泉』とはそれらの総称であって、一つの温泉名にくくったことがブランディングを成功させた大きな理由」と田中社長は分析する。

 別府温泉には、ただ入浴する温泉としての魅力があるだけではない。観光地としての人気を支えているのが、奇観を呈する7つの自然湧出の源泉を巡る「地獄めぐり」だ。定期観光バスも運行されており、誰でも気軽に「地獄」を楽しむことができる。

 100度を超え、噴気や熱泥が噴き出す高温の「地獄」(の源泉)は、色も赤・青・緑などさまざま。その一つである鬼山地獄は「ワニ地獄」とも呼ばれており、現在、クロコダイルやアリゲーターなど約80頭のワニを飼育している。こうしたユニークな体験ができるのも、ほかの温泉地にはない別府ならではの魅力だろう。

 近年では、2016年に発生した熊本地震による風評から観光客が激減したが、ユニークな町おこしをしようと、別府市や観光協会が奔走。別府市内の遊園地「ラクテンチ」に、温泉と遊園地を融合させた「湯~園地」を実現させるべくYouTubeを活用して話題を作り、結果的にはクラウドファンディングによって3日間限定で実現させるなど、挑戦を続けている。

 2位の静岡県熱海市は、他の多くの温泉地同様、バブル崩壊後にどん底まで衰退しながらも、現在は華麗な復活を遂げた温泉地の一つだ。

 かつては団体客がメインだった熱海市は、2007年に観光業界関係者や識者、市民などを交えた「観光戦略会議」を立ち上げて、個人客にシフトした観光戦略へと動きだした。それによって、街中には新たなカフェやゲストハウスが誕生するのと同時に、旅館やホテルも宴会場を個人客向けの個室へとリノベーションするなど、対応を進めていったという。

 近年、特に増えているのが若年層の観光客だ。いかにも若者に人気のありそうなおしゃれなカフェ、スイーツなどの店舗が続々とできたことだけが理由ではない。熱海には今も昭和レトロな商店街「熱海銀座」があり、それを生かした街づくりも進めている。平成生まれの若い観光客には、昭和レトロな喫茶店などの雰囲気が目新しく魅力的に映るのだろう。

 今回は、誰もが知るような人気の温泉地が上位にランクインしたが、これらばかりが温泉ではない。長距離移動には心理的なハードルもあるこの機会に、域内観光を楽しむ意味でも、地元の温泉地に足を運んでみてはいかがだろうか。

(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)

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