就職活動では、学歴差別はもはや暗黙の了解という声も多いわけですが、実際に先輩たちは、どのような差別を受けてきたのでしょうか。
説明会「学歴フィルター」は本当だった!?企業の学歴差別が避けられない現状
ダイヤモンド・オンラインでは、ネット調査会社・リビジェンの協力を得て「就職活動に関する調査」を実施(実施日は2013年12月18日、対象は20代の社会人200名)。同調査内で、「就活で学歴差別を感じたことがありますか?」と聞いたところ、「ある」と答えた人は45%で、約半数の人が差別を感じたことがあることがわかりました。
では、その約半数の人たちはどう差別を受けたのでしょうか? 差別は説明会の申し込み、エントリー時点からはじまっているようです。
「就職活動支援サイトの同じ企業のセミナー予約画面において、(大学によって)満席と表示される人と空席と表示される人がいた」(兵庫県・24歳男性)
「MARCH以上のレベルの学校から受け付けるなどと決まりがあった」(千葉県・26歳女性)
また、「会社説明会・セミナーで『ひどい』と思う体験をしたエピソード」も尋ねたところ、
「学歴の低い人には質問をさせてなかった」(大阪府・27歳男性)
「隣の大学の方の話や質問は聞いてくれたのに、(学歴の低い)自分の話は最後まで聞いてもらえず、質問を『はいはい』と切られた」(岡山県・22歳女性)
というあからさまな学歴差別を説明会で受けた人もいるようです。
多くの企業がエントリー時点で大学名は問わないと明言していますが、インターネットを使った採用、就活が一般化してからは、企業への応募者数は激増しています。しかし、すべての応募者に説明会を実施し、エントリーシートに目を通すのはコスト的にも人員的にも限界があります。ある大手企業の人事担当者も「3人の採用担当者で、エントリーシートすべてに3日間で目を通さなければならない。その時期は地獄」と語るほどです。
「採用コストを抑える為に学歴による足きりが手軽だろうと思うから」(埼玉県・29歳男性)という声もあるように、実際に「一定のランク以下の大学からのエントリーシートには、目を通しても上(面接)に上げることはない」(某中堅企業人事担当者)企業もあります。それは、大学名不問という前提、そしてネットエントリーの手軽さというハードルの低さが、逆に学歴フィルターを企業が導入しなければならない現状を生みだしているといえるかもしれません。
面接では「お帰りください」という態度
エントリー、説明会の時点でこのような差別を受けている人が多いようですが、面接の場面ではどのような差別があるのでしょうか?
「○○大学卒業ですかぁー、と言われて落ちた」(三重県・25歳男性)
「履歴書を見るなり、お帰りくださいという態度をとられた」(宮城県・27歳女性)
「面接の態度が(他の大学の人と)違い、ほとんど質問されなかった」(東京都・25歳女性)
HRプロが行った『2012年度新卒採用動向調査』によると、「採用戦略においてターゲット大学を設定し、特別の施策を講じていますか」という設問に対し、ほぼ4割(39%)の企業は「している」と回答しています。そして同調査がさらにターゲット校の数について問うたところ、最も多いのは「1~10校」で57%。「11~20校」は25%。つまり、82%の企業が20校ほどにターゲットを絞っているのです。先ほど述べたように、選考の効率化と同時に、やはり企業が求める大学の学生を獲得するために、大学名は選考において重要な要素だと言えるでしょう。
したがって、エントリーシートは通過しながらもこのターゲット校に入っていなければ、「お帰りください」という態度を取られる可能性があることも覚悟しなければならないのです。
学歴が高い女性を敬遠する企業も未だに残る男女差別
一方で、必ずしも高い学歴を持っていればいいというわけではないようです。
「地元の企業に学歴が高すぎるため敬遠された」(東京都・26歳女性)
「大学院卒の女性はいらない、と言われた」(愛知県・28歳女性)
というように、高学歴や大学院の女性は、こういった逆差別を受ける人もいるよう。こうした差別をする企業は、保守的であったり、男女の差別が残っていたりする企業に限られるのかもしれません。
もちろん学歴による差別をせず、すべてのエントリーシートに目を通す企業が多数を占めるはずです。そんななか、こうした学歴差別を目に見える形ですることは、消費者でもある一般学生に対しても企業のイメージダウンになるのは間違いないでしょう。
企業には、採用の効率化とともに1人1人の潜在能力を見ることのできる、これまでのエントリーシートや試験、面接だけに頼らない、新しい採用手段の模索が求められているのかもしれません。
また学生の側も、こうした学歴フィルターを導入せざるを得ない人気企業にのみ目を向けるのではなく、自分と合う企業、あまり多くの学生がまだ注目していないエッジの利いた独自性のある企業などを自ら見つけるような努力も必要ではないでしょうか。