先進国で強まる課税逃れ防止策の強化とタックスヘイヴン [橘玲の世界投資見聞録]

先進国で強まる課税逃れ防止策の強化とタックスヘイヴン [橘玲の世界投資見聞録]
チューリッヒの金融街 (Photo:©Alt Invest Com)
       
 2015年7月に出国税の適用が始まり、国外財産調書の申告漏れや虚偽記載にも罰則が科せられるようになった。こうした規制強化は日本だけのことではなく、アメリカやヨーロッパなどOECDに加盟する先進国はどこも国境を越える課税逃れの防止にやっきになっている。その標的がタックスヘイヴン(租税回避地)であることはいうまでもない。

 フランスの若手経済学者ガブリエル・ズックマンの(NTT出版)は、世界規模の“税戦争”でなにが起きているのかを知る貴重な資料だ。

 ちなみにズックマンの大学院時代の指導教官はトマ・ピケティで、(みすず書房)にも協力している。ピケティと同じく政治的立場はリベラル左派でタックスヘイヴンに対してはきわめて批判的だが、だからこそ随所に興味深い知見が登場する。

プライベートバンクは「ユダヤ人の資産をナチスから守るため」は間違い!?

 ズックマンはまず、タックスヘイヴンの象徴としてスイスを取り上げる。

 スイスの名高いプライベートバンク神話のひとつは、銀行秘密法はナチスの魔の手からユダヤ人の資産を守るために1935年に制定された、というものだ。だがズックマンは、これはまったく史実とは異なるという。

 スイスの金融機関に国外から資金が流れ込んできたのは1920年代(14%増)で、それに比べて1930年代は1%増でしかない。その理由は明らかで、フランスで1921年と1925年に富裕層に対する課税が強化されたからだ。当時は株式や債券は無記名で、名義人の台帳もなく、資産は無条件に保有者のものとされた。資本市場に投資する富裕層は、自宅の金庫のほかに銀行の貸金庫にも証券を預けたが、ほどなくして海外(スイス)の金融機関を利用すればフランスに税金を納める必要がないことに気がついた。


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2016年1月7日の経済記事

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