「やっぱりこのカタチじゃなくちゃ」。ジャパンモビリティショー2023のダイハツブースで話題をさらった、ビジョン コペンを見た筆者の率直な感想だ。
【画像】じつは似ている!?トヨタのコンセプトカー
「『コペンとは何だ?』という問いに対し、やっぱり初代じゃないかと。2代目コペン(2014年発売)は内外装を着脱できるドレスフォーメーションという考え方があり、ローブ、エクスプレイ、セロと3つの顔に合わせなければなりませんでしたが、ビジョン コペンは〝らしさ〞を求めて初代の丸目を強く意識しました」と語るのは、ダイハツ工業デザイン部の森本凌平さん。
特筆すべきは駆動方式。ビジョン コペンはFR(フロントエンジン・リヤドライブ)を採用する。歴代コペンはFF(フロントエンジン・フロントドライブ)だが、今回なぜFRだったのだろうか。「最初からFRありきで開発を進めたわけではなく、衝突安全性の向上や運転の楽しさをグレードアップさせるという目線で、既成概念にとらわれずに検討を重ねた結果、FRがベストという結論になりました」と森本さんは言葉を重ねる。
外観はFRらしいプロポーションが強調されている。「クルマを真上から見たときのシルエット。リヤフェンダーを絞って、側面をこんもりさせて、視覚的にトラクションをしっかり感じられるような、FRらしい佇まい…という部分にはこだわりを持ってデザインしました」。
パワートレーンは1.3L内燃エンジン縦置きのFR…ダイハツの後輪駆動といえば2021年末にフルモデルチェンジしたハイゼットカーゴ/アトレーぐらいだが、それよりも近しいと思われるのが2015年の東京モーターショーで発表された「トヨタS-FR」。
【画像】トヨタS-FRを写真で見る
■FRのコペンとS-FRは近似!
86よりもさらにコンパクトで軽い、エントリー向けのライトウエイトFRスポーツという位置付けで、サイズは全長3990×全幅1695×全高1320㎜、ホイールベースは2480㎜。
諸般の事情からS-FRはお蔵入りになったが、8年の時を経てコペン ビジョンとして蘇ったとしたら、じつにドラマティックなことだと筆者は勝手に想像を巡らせてみた。コペン ビジョンのパワーユニットは内燃機関の可能性を追求したCN(カーボンニュートラル)燃料を活用するとのこと。軽自動車規格の縛りがなくなり、自由で伸びやかなデザインと多様なパワーユニットが選択できるようになったコペン ビジョンの市販化に大いに期待したい。
〈文=湯目由明〉