年末年始、帰省や旅行で使う人が多い新幹線。
長距離の移動を、ある人は眠り、ある人は本を読み、ある人はごはんを食べ、ある人は座席を回転させ向かい合ってしゃべりながら過ごしてる。


そんな新幹線で、気になってたことがある。
それは、どうして座席の背もたれが、あんなにも垂直に近い角度で立ってるのかってこと。僕は毎回、乗ったらすぐに“ちょっとだけ”倒す背もたれ。周りを見渡すと、中には『サザエさん』の登場人物並みに背筋が伸びてる人もいるけど、背もたれを“少し”倒してるって人は多い。

倒すときには後ろの人に気を遣わなきゃなんないわけで、あとほんの数センチだけでいいから、背もたれが倒れててもいいのにって思うんだけど……どうしてあんなにも垂直気味なんだろう。

鉄道の仕事に携わっている方へ、話を伺った。

「理由はいくつかあります。窓側の席を出入りする方のことを考えて、座席の前(足下)を少しでも広めにしてあること、今より背もたれが倒れているとスペース的に座席を回転できない(回転できるようにするにはあの角度が限界)ことなどが挙げられます」
限られたスペースに、より多くの乗客を乗せるってなると、あの角度にするしかないようだ。

それと冒頭で書いたように、新幹線の使い方って人それぞれなわけで……。
「背もたれを倒して眠りたい方もいれば、しっかり起こして食事をしたい方もいらっしゃいます。そういったお客様の好みによって、動かせるようにしてあるのも理由のひとつです」

具体的に背もたれが倒れてる角度は、東海道新幹線の場合、どの車種も普通車は「3度」。印象通り、やっぱ垂直に近いようだ。
ちなみに倒すことができるのは28度まで。
一方、グリーン車は、普通車より若干倒れてる「8度」。普通車よりも座席間隔があって広いからこそ、実現してる角度だ。最大で32度(N700系)~34度(N700系以外)まで倒すことができるのも、さすがグリーン車といえる。

角度が垂直すぎるとか文句を垂れるなかれ、いろいろな制約の中で考え出された、新幹線の座席の角度。
長距離の移動を、ある人は眠り、ある人は本を読み、ある人はごはんを食べ、ある人は座席を回転させ向かい合ってしゃべりながら過ごしてるからこそ、あんなにも垂直だったってわけです。

(イチカワ)