『特命係長 只野仁』が人気だ。「特命」という響きは、なにか男のロマンを感じさせるものがある。
僕も「特命」の仕事をしてみたい! と思う殿方の皆さんに朗報。世の中には、特命係長の他にもさまざまな「特命」な職業が存在する。

まず、大学にある「特命」な仕事に、「特命教授」というのがある。これは学校教育法で定められた「教授」とは異なり、大学ごとの内規によって定められる特別な役職のことである。例えば、早稲田大学では特命教授のことを、「特定の学部ではなく大学が直接任命し管理する教授」のことを指す。只野仁が、電王堂の人事部による採用ではなく、会長からの直々のお声がけによって入社したことを考えると、かなり特命っぽい扱いであるといえる。


ちなみに、特命教授の例としては、「朝まで生テレビ」の田原総一朗氏(早稲田大学)、元TBSスポーツキャスターで現在フリーアナウンサーの木場弘子氏(千葉大学)など。母校の卒業生が招聘される場合が多いみたいだ。

続いて、政治の世界の特命な役職を紹介したい。それが、「内閣府特命担当大臣」。内閣総理大臣のもとには、総務省、外務省など各省のトップである国務大臣が存在し、それぞれ専門の国務を担当する。しかし、複数の省庁に関係するような国政の重要事項については、特別に担当大臣を設け、内閣総理大臣の直下で国務に当たる。
これが特命担当大臣である。内閣によって担当はさまざまで、現在の麻生内閣では科学技術政策担当、少子化対策担当、男女共同参画担当などがある。

ちなみに、この内閣府特命担当大臣の金融担当は、定額給付金などに反対して自民党を離党した渡辺喜美氏(2007年8月~08年7月)や、つい先日、アノ会見で一世を風靡した中川昭一氏(08年9月~09年2月)が歴任した経緯があり、只野仁に勝るとも劣らない荒くれ者たちのための役職であるといえる。

大学や内閣だとちょっとなじみが少ないが、一般企業にも「特命」な役職は存在する。例えば、アニコム損害保険株式会社には、財務経理部、業務管理部、IT部、営業部などにおいて、「特命部長」なる役職が存在する。人事異動のプレスリリースを見ると、特命部長の人がそのまま同じ部署の部長に異動することが多いもよう。
部長をサポートする、「部長補佐」ような位置づけだろうか? 残念ながら、企業担当者からのコメントは得られず、真相は分からないのであった。

いつかはなってみたい、これらの「特命」な職業。しかし、特命○○になったからといって、襲いかかるチンピラをなぎ倒したり、職場のマドンナ的OLさんから熱視線を送られたりするわけではないので、注意が必要だ。
(珍満軒/studio woofoo)