長野県の須坂市動物園の人気者、カンガルー・ハッチくんが亡くなったのは、昨年11月25日。

コネタでも、「はく製館」の充実ぶり(※かつては発砲スチロールに無数の針をさし、“ハリネズミ”として展示していた! しつこくてすみません)など、これまでたびたび記事にしてきたが、実際、ハッチくんの人気によって、須坂市動物園は生まれ変わったといっても過言ではない。


かつては小さな子連れか、学生カップルぐらいしか見かけなかった時期もあった須坂市動物園。だが、観光地として賑わうようになったほか、地元の人たち、特に長年、動物園に行ってなかった人、一度も行ったことのなかった大人などもハッチ目当てに足を運んでみたりしたのだから、テレビの影響力は大きいもの。

また、ハッチによって、知名度があがったのは、動物園ばかりではない。
というのも、他県の人との会話で出身地を聞かれた際、「長野県の須坂市」と言うと、これまでは「長野のどのへん? 諏訪(松本)とか近い?」「ああ、知ってる。インターあるよね?」と返ってくる程度だったのが、即座に「ハッチの動物園あるよね!」と言ってもらえるようになった。すごいぞ、ハッチ。

そんなスター・ハッチが亡くなったニュースは、須坂市在住の人・出身者同士の間で大いに語られたが、あれから2カ月。ハッチくんがいなくなった街は今、いったいどんな感じになってるのか。

2月下旬に須坂市を訪れたところ、長野電鉄・須坂駅には、変わらず、ハッチのグッズ売り場が設置されたままだった。ハッチが亡くなったことに関しては特に触れられず、ひっそりと売られているグッズ。動物園のパンフレットの表紙を飾っているのも、もちろん元気なときのハッチの姿である。

須坂駅周辺のあるスーパー店内では、一時、「さよならハッチくん」といった感じの貼り紙がされていたが、すでにそれもなくなっている。

当たり前だが、ハッチグッズはそのまま継続して売られていて、何事もなかったようである。

では、動物園をインターネット上に反映するライブカメラサイト「動物なにしてる」(コネタ既出)は、ハッチが亡くなったいま、いったいどうなっているのかというと……。
11月から休止となっていたようだが、1月半ばから再開。今はハッチファミリー(妻・クララと子どもたち)の、のんびり昼寝する様子・元気に食事する様子などが放映されている。のどかだ。

また、同サイトでは、追悼企画として、元気な日のハッチの姿が見られる「ハッチ思い出ギャラリー」なるものが特設され、さらに須高ケーブルテレビから『さよならハッチ~楽しい思い出をありがとう』というDVDも販売。iPhoneでも、ハッチの元気な写真・鳴き声が楽しめるらしい。

さらに、ハッチが亡くなる少し前、昨年11月8日には、第5子も誕生していた(そんなに子どもがいたのね……)。第5子はすでに「ふれあいタイム」に長蛇の列ができたほどの人気者となっており、3月21日の「春の動物園まつり」において、一般公募の中から決まった名前の命名式も予定されているよう。

別れをひっそり静かに惜しまれつつも、「象徴」のように今も須坂の街のあちこちに姿を残しているハッチ。さらに、ファミリーがその人気を引き継ぐかたちで、新たなスターが育ってきているみたいです。
(田幸和歌子)
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