ゼビウスやスーパーマリオで親指を腫らしたファミコンキッズたちも、いまやアラサー、アラフォー世代。かつて夢中になったゲームの話題をつまみに、アルコールを楽しみたい……。
そんなニーズに応えて、都内でゲーム・バーが静かな人気です。

新宿・曙橋で8月13日に開店したゲームカフェ&バー「NINETY.(ナインティ)」もその一つ。扉を開けると、長いカウンターとテーブル席が目に飛び込んできました。18坪の店内はモニター用テレビが配置され、ガラスケースにはゲーム&ウォッチのコレクションがずらり。バーというより部室や、たまり場的な印象です。ファミコンやスーパーファミコン、セガサターン、ネオジオなど、さまざまなゲームが楽しめます。


店長の林直哉さん(32歳)は大学卒業後、派遣スタッフから派遣会社社員、会社役員などを経て独立。携帯電話やインターネットなどの販促活動を行っていましたが、自分の好きなことを仕事にしたいという思いから出店を決意しました。名称も学生時代をすごした90年代から。「80年代後半から90年代初期の文化が好きで、そういった雰囲気を楽しめるお店にしたい」という思いがこめられています。

コンセプトはズバリ「みんなでわいわいゲームが楽しめる空間作り」。「ファミスタ」や「エキサイトステージ95」、「ガーディアンヒーローズ」などを良く遊んだという林さん。
友達の家に集まって、みんなでゲームを遊んだ時のおもしろさを、そのまま再現できるような空間作りにこだわりました。本体はもちろん、別売りコントローラやマルチタップといった周辺機器も充実。週末には各種ゲーム大会も開催されていますよ。

もう一つのセールスポイントが、フードメニューの充実ぶり。キッチン担当でメニュー開発を引き受けるのは、栄養学系の大学院に通う野中美寿々さん。オリジナルメニューの「Ninety特製アボカドライス」は、アボガドの濃厚な味にトマトの酸味がミックスされて、とてもおいしくいただきました。
ホール担当の保坂いずみさんは、ゲームショウなどで活躍するイベントコンパニオン。3人のチームワークでお店を盛り上げます。

「子どもの頃はナムコファンでした。そこからだんだん、尖ったゲームが多いセガサターンが好きになっていったんです」という林さん。「遊びをクリエイトする」ナムコマインドはお店にも息づいています。テレビゲームだけでなく、モノポリーやドミニオンといったアナログゲームもプレイ可能。
「遊べる本屋」を標榜する書店チェーン・ヴィレッジヴァンガードのように、マニアックさとカジュアルさが同居した、みんなで楽しめる店をめざしたいと語ってくれました。

また「せっかくゲームカフェ&バーなので、毛利名人とTACOXさんに、ぜひご来店いただきたいです!」とのこと。80年代後半、16連射の高橋名人と並んで人気を集めた毛利名人は、知る人ぞ知るピンボールの達人。同店でも将来はピンボールの実機もを設置したいとか。TACOXさんは洋ゲー好き・辛口レビューで知られるゲームライター。林さん曰く「あのゲームレビューに痺れました」とのことで、いつかご縁がつながるといいですね!(小野憲史)