メガネ、手元、顔、顔、手元……。
きたーっ! ループタイ!
開始51秒にして、ようやくお目見え。


4月25日の夜10時から、ドラマ「鈴木先生」がテレ東系でスタートした。原作は「漫画アクション」で連載されていた武富健治による人気コミック。給食の献立や男女交際、学校内選挙など、中学校では、たくさんの問題が起こる。鈴木先生が、ときには職員室で他の先生に心配されるくらい、ぶつぶつとひとりごとを言ったり、眠れないほど悩んだりしながらも、生徒と話し合いながらこたえを見つけていく。そんなストーリーを引きたたせるのは、「これっていつの時代?」というくらい劇画チックな絵(巻が進むごとに黒の分量が増えているような気がする)の力。原作のインパクトが強いので、実写であの独特な雰囲気を再現できるのかねぇ、と姑のような気持ちで放送日を迎えたのだった。


鈴木先生を演じるのは、NHKドラマ「セカンドバージン」の鈴木京香の相手役で人気が出たという、長谷川博己。182cmと長身で線が細く、ちょっとかっこよすぎるような気もするけど、ループタイが似合うので、よしとしよう。他の教員は、斉木しげるやでんでん、赤堀雅秋など、クセ……いや、個性派ぞろいだ。

朝の登校シーン。「鈴木先生」の最重要人物・生徒の小川蘇美(そみ)ちゃん、登場!
むむ、ワンレンロングか。できればボーイッシュな小川ショートにしてほしかったな。
でも、ヒザ丈スカート&白ハイソックスをきちんと履いた優等生風な着こなしに、「ああ、小川さんだ」とホッとする。
もうひとり気になるのは、ストーリーが進むにつれて、ヒステリックな性格がエスカレートしていく足子(たるこ)先生だ。富田靖子の黒目がちな瞳と笑顔の裏に足子先生の片鱗が見え、「今後の展開が楽しみだな」とにやにやしてしまう。富田靖子といえば、ドラマ「昔の男」のマリ役。あのときはたしか、赤ずきんに扮装して、夫と夫の昔の恋人の元を訪れたんだよな。どちらにせよ、こわいよう。


今回は、バタフライナイフ事件と、岬と親友の遠野の妹(小学4年生!)との交際(肉体関係)をテーマにしている。コミックで何回も読んだエピソードなのに、気づくとストーリーに引き込まれている。フィルム映画のような映像と、セリフのテンポのよさ、1000人超のオーディションのなかから選ばれたという、生徒たちの迫真の演技がその理由だ。
そしてもうひとつ。放課後の談話室で、小4の子と肉体関係を持つことについて
「肉体的に未発達な場合は、危険をともなう」
からだめなんだと言う遠野の母親に対して、
「真名さんは、小学生とは思えないくらい身体が大きく、問題ないと思いました」
とこたえる岬。それを聞いた鈴木先生の、
「おまえは何者なんだよ」
という心のなかでのツッコミ。

またあるときは、家庭科室のクッションがバタフライナイフで切り裂かれ、持ち主の藤山が犯人だと疑われるという緊迫したシーンでは、対応に悩みながらも、
「しかしいまどき、バタフライナイフって。流行ったのいつごろだっけ?」
なんてことを考えている。原作にはない部分だけど、鈴木先生の人間らしさが見えて、気づくと「長谷川博己、なかなかハマってるなあ」と、演じている俳優にまで好感を持ってしまっていた。

次回は、ささいなことのように思えて実は奥深い問題が潜んでいる給食が題材。
個人的に好きなエピソードなので、ドラマの鈴木先生がどう悩み、どういうこたえを出すか、楽しみにしてますよ。それから鈴木先生、できればシャツのボタンは一番うえまでとめていただけるとうれしいです!(畑菜穂子)

*本日(5/2)夜10時、第2話オンエア!