思わせぶりにスタートしたTBS日曜劇場「天皇の料理番」第7話(6月14日放送)。
主人公・秋山篤蔵(佐藤健)がパリに渡ってから3年。篤蔵はすっかりパリの料理人として町にも厨房にもなじんでいた。「ムッシュアキヤマ、確認お願いします」「良い焼き色をつけろ」なんて指示を飛ばすぐらい、偉くなっている。現地で仲良くなったフランス娘・フランソワーズ(サフィラ・ヴァン・ドーン)をマキシム・ド・パリに連れて行くぐらいの稼ぎもある。さらに日本から宮内省の厨司長──「天皇の料理番」として召し抱えたいという打診の手紙が届く。

ワシとマリアージュしませんか
日本に帰るか、このままパリで修行を続けるか。この期に及んでゴニョゴニョ迷い続ける篤蔵。しかし、兄やん(鈴木亮平)が夢枕に立ったことをきっかけに帰国を決意し、フランソワーズに結婚を申し込む。日本語で「わしと一緒になって日本に行きませんか」、フランス語で「マリアージュしませんか」とプロポーズ。両手で顔を覆ってしまったフランソワーズに、おずおずと篤蔵が「ついて来てくれんかの……?」と訊ねる。すると、フランソワーズはガバっと顔を上げ「よろしくお願いします!」。思いのほか、軽いリアクションですが、大丈夫なんでしょうか。
トントン拍子に結婚が決まった篤蔵とフランソワーズ。
今は亡き母親に「歌手になる」と約束したというフランソワーズ。「でも、ちょっと嘘かも。ホントは無理だってあきらめていたの。けど、昨日あそこで歌って欲が出たの」と告白する。篤蔵は「ワシ……わかったとしか言えんわ。それしか言えんです」と泣き笑い。俊子のときのように悪態をつくことも、かんしゃくを起こすこともなく、去って行くフランソワーズを見送る。
原作小説でフランソワーズが結婚した相手は意外なあの人
近藤正高さんの記事にもあったように、杉森久英の原作小説『天皇の料理番』にもフランソワーズは登場する。ただし、「篤蔵のプロポーズ」というエピソードはドラマオリジナルだ。
フランソワーズと別れて半年後、「天皇の料理番」に任じられた篤蔵は帰国する。日本での下宿先で出会った「敏子」と結婚し、《誰が見ていようと、人が何といおうと、抱きかかえて、キスをしたり、頬をすり寄せたりする》ぐらい溺愛したという(としこ……!)。一方、篤蔵はフランソワーズにも未練があり、再びパリを訪問した際にフランソワーズを連日捜し歩いたりもする。フランソワーズの消息がわかるのは篤蔵の帰国から8年近く経った頃。戦争中もパリに残留し続けた友人・矢島新太郎(桐谷健太)のアパートを訪ねたとき、「死んだ女房だよ」と見せられた絵に、描かれていたのがフランソワーズだった。

第四の女「敏子」は登場するのか
さて、今夜放送の第9話では日本に帰国後の篤蔵が描かれる。原作小説に登場する溺愛妻「敏子」はさすがに割愛されるのか。夜の吉原に消えていったという俊子の行方も気がかりだ。でも、そんな大事なときだというのに、予告動画を見ると、篤蔵はお梅(高岡早紀)に半脱ぎにされている。
(島影真奈美)