
原作は現役医師でもある久坂部羊による医療サスペンス小説『無痛』(Kindle版はこちら)。西島演じる主人公・為頼(ためより)は一見、うだつが上がらない中年医師だが、じつ特殊能力の持ち主でもある。

原作では一家惨殺事件を軸に、通り魔事件やストーカー事件、刑法39条問題などが多層的に描かれる。一方、今回のドラマではオリジナルストーリーを加え、一話完結スタイルでストーリーを再構築する。高島菜見子(石橋杏奈)や義姉の井上和枝(浅田美代子)など、ドラマ独自の設定も随所に散りばめられている。さっそく原作との違いから見どころを探ってみたい。

見どころその1:西島秀俊の朗らかさはいつ発揮されるのか
原作小説における主人公の人となりは、ひどくしょぼくれている。《白髪まじりの髪をのばし、手櫛で大ざっぱに掻き上げているが、無精でうつむきがちのためにしょっちゅう前髪が目元を隠す。くたたびれたジーパンに黒のコールテンシャツ、痩せた背中にはすでに初老の侘しさが漂っていた》なんて具合だ。

一方、ドラマ公式サイトには西島秀俊のこんなコメントが寄せられていた。
「今回も監督は硬質な役ではなく、“もっと普段通りの、笑ったり、朗らかにしている君を出していきたいと思っている”と、おっしゃられています。また、自分にとっての代表作になるような新しい役を作っていただけるんじゃないかと思って期待しています」(公式サイト「西島秀俊インタビュー」より)

朗らか! たしかに原作でも《照れくさそうに髪を掻き上げて》といったシーンはあった。でも、朗らかさとはどうにも縁遠く、ぶっきらぼうでシニカルなあの為頼医師がドラマではどう描かれるのか。

見どころその2:伊藤淳史は最後まで生き残れるのか
西島とともに、事件を追う刑事・早瀬を演じる伊藤淳史。西島と共演したドラマ「ダブルフェイス」では、銃撃戦の流れ弾に当たって死亡するという役どころ。本作でライバル医師・白神を演じる伊藤英明との共演作「海猿」では溺死する役を演じている。制作発表では「(今回も)いつ死ぬかとひやひやしておりますが、台本は第四話まで出来ていて、まだ生きております(笑)」とコメント。今回の役は「これまでにないような強めのキャラ」だともいう。今回こそは、生き残れるのか。早瀬刑事の無事を祈りたい。

見どころその3:ヒロイン菜見子はなぜ26歳なのか
原作の菜見子は27歳という若さながら、一人目の夫とは死別し、二人目の夫とは離婚。六甲サナトリウムという施設で臨床心理士として働きながら、女手ひとつで息子を育てている苦労人だ。為頼がタクシーの中に忘れた財布を拾ったことがきっかけで知り合った。そして、はからずも為頼をさまざまな事件に巻き込んでいく役割を担う。

一方、石橋杏奈演じるドラマ版の菜見子は26歳。
(島影真奈美)