
ゆらいでいく、為頼の“眼”に対する信頼感
菜見子の元彼でストーカーの佐田は、為頼の存在がとにかく気に入らない。頭痛と偽って受診し、菜見子の婚約者だと自己紹介。為頼を牽制しようとするが、「おめでとうございます」と祝われてしまう。揚げ句、和枝(浅田美代子)に「式はいつなんですか?」「婚約者がいるのに、家に帰ってないんですか?」とツッコまれ、たじたじ。為頼にも「エコノミー症候群になりかねないので、できれば寝るときは横になってくださいね」と、ストーカー生活の問題点を指摘され、ギョッとする。
ひと目見れば病気もわかれば、犯罪の兆候もわかる。“診える医者”であるはずの為頼だが、佐田の悪意にはまるで気づかない。菜見子が診療所を訪ねてきて打ち明けてはじめて、状況を把握する。和枝は和枝で「トロいわね! ボーッとしてるから騙されるのよ。性格の悪さが顔に出てたじゃない」と言いたい放題。為頼にも、すべてが診えているわけではないのか。この疑念は次に起こる事件の伏線でもあった。