すっかり片目つむってOPを見る癖がついた新『ルパン三世』。毎度ながら次元が撃った弾丸が飛び出してくるカットでは「おおっ」となる。


第8話はホラーコメディ「ホーンテッドホテルへようこそ」。ネットでは「神回!」と騒ぎになってたけどホント?
少女に幼女で神回確定か。新「ルパン三世」8話
「ルパン三世 PART IV オリジナル・サウンドトラック ITALIANO Soundtrack」You&Explosion Band/バップ

フィレンツェ郊外にそびえる古城へと向かうルパンと次元。今はホテルになっている古城だが、巷では「呪われた花嫁の館」と呼ばれていた。かつては貴族の居城だったが、花嫁アデイラの婚礼の日に一家惨殺の憂き目に遭い、それ以来、花嫁の幽霊が出ると噂されているのだ。

ルパンの狙いは古城に眠る秘宝の数々。アデイラの婚礼のために運び込まれた豪華な品の数々だ。
その中にはミケランジェロの幻の絵画も含まれていた。

古城のホテルでは噂通り、次元が幽霊に襲われるが、それは経営難に陥ったホテルのオーナーが話題作りを狙い、娘と組んで仕掛けた芝居だった。幽霊に右往左往する次元をよそに、古城の隠し通路や罠を見抜き、お宝に迫るルパン。

そこに一人の少女……いや、幼女が現れる。彼女の名はカーラ。合理精神の持ち主であるルパンは、カーラのことを花嫁の幽霊を演じていた娘の妹だと思っていた。


「私のこと、怖くないの……?」
「いや怖くない怖くない。てか、かわいい」


秘宝の横取りを狙う(妙にジブリ感のある)泥棒3人組を蹴散らし、カーラとともに古城の秘宝のありかにたどり着くルパン。しかし、そこでルパンはカーラの正体に気づく。カーラはアデイラ役の娘の妹ではなく、殺害された本物のアデイラの妹――つまり幽霊だったのだ。

「ねぇ、お姉ちゃん心配してた?」
「ああ。でも、カーラのおかげで宝物は無事だったって、お姉ちゃんには俺から伝えておくよ」

ルパンの前には、宝物を一人で守りながら朽ちていったカーラの小さな亡骸が。
朝の日の光の中、完全に姿を消したカーラ。傍らには、アデイラに寄り添うカーラの肖像画。

「もう……一人ぼっちじゃないぜ、カーラ」

コメディ回と思わせておいて、実はけっこうしっとりとしていた第8話でした。


今回のルパン神回やんけ! 少女に幼女や!


今回の舞台はフィレンツェ。お宝の中にミケランジェロの絵画が含まれていたが、フィレンツェといえばミケランジェロの生地。このあたりの細かな目配せは、イタリアで放送されている『ルパン三世』ならではといったところ。


ヨーロッパの古城といえば幽霊のエピソードはつきものだが、古城での幽霊騒ぎといえば『ドラえもん』の傑作回「ミュンヒハウゼン城へようこそ」を思い出す。ミュンヒハウゼン城では財宝を奪われないように幽霊騒ぎを起こしていたが、ホーンテッドホテルは逆だったというわけ。

ゲストキャラは、第7話に続いてロリキャラ・カーラ(9歳)。カーラを演じる久野美咲は『七つの大罪』のホーク(マスコットの豚)役などで知られる若手声優だが、まぁ、なんというか幼女役がぴったり。

カーラがホテルのオーナーの娘の妹のように視聴者をミスリードするが、これはルパンが到底、幽霊なんか信じないキャラクターであるという前提が大きかったと思う。「(登場人物が)実は死んでいた」という設定は、映画『シックス・センス』をはじめとして数多い。


ちなみにカーラが登場しただけで、ネットでは「神回確定か」という声が。マジか……。

放映終了後も、
「今週のルパン神回やんけ!少女に幼女や!」
「今回のルパン神回やんけ!なんだあの可愛い幼女!?」
「ルパン神回でしたね カーラたんかわいすぎかよ」
などという声が続出。おいおい、ロリキャラさえ出れば「神回」なのか?

しかし、さらにネットの声を見ていくと、
「マジで神回やから是非見て欲しい」
「ルパン8話神回過ぎてヤバい」
「ルパン8話神回すぎる」
など、本気の絶賛の声も多数上がっていた。

8話が本当に「神回」かどうかはさておき、たしかにカーラは可愛らしく、丁寧に物語に組み込まれていたという印象。登場したカットで雷鳴が轟くが、カーラの影は幽霊だからどこにもない(前のカットでルパンの影はちゃんと出てる)。
また、カーラが死んだアデイラの妹だということはどのセリフからもわかるようになっていた。最後は感動というより、健気なカーラが可哀想で泣けたよ。

幽霊に翻弄されたり、酔っ払って立ち小便しようとする次元の愛らしさも際立っていたが、脚本は2話、4話の次元回を担当した鈴木千尋。今クールの話題作『ワンパンマン』では、なんとシリーズ構成と今までの全話の脚本を担当している。才人だ。

ルパンは最後に渋くキメるが、泥臭いハチャメチャなアクションを一向に見せないのが気がかり。作画はたしかにキレイだが、どうもルパンがお行儀良すぎるように感じる。立ち姿はキマっているが、若かりし頃を描いているのだから、もっと生命力溢れたルパンになってもいいと思うのだが。

さて、今夜放送の第9話は、第2話以来、超久々に石川五ェ門が登場! ショートカットの殺し屋美少女も出るぞ。いわゆる“もんごえ”ファンは刮目して待つべし。タイトルは「殺し屋たちの鎮魂歌」。チャンネルは決まったぜ。
(大山くまお)