中学3年生、14歳で漫画家デビューした作家が話題を呼んでいる。「ときわ藍(らん)」さんは、小学生に人気を誇る少女漫画雑誌「ちゃお」(小学館)の4月号で、漫画家としてデビューした。


「第77回 小学館新人コミック大賞」において、彼女は少女・女性部門で大賞を受賞。2016年の4月号から、作家として「アイドル急行」の連載をスタートさせる。14歳の少女を作家として起用する「ちゃお」編集部の姿勢には頭が下がる。新しい才能を育てようという意気込みは、漫画ファンとしても嬉しいところだ。

ちゃおの歴史を見てみよう


1977年に「ちゃお」が独立創刊されて以来、小学校低学年の少女を中心に支持を集めてきた同誌だが、1992年頃には発行部数が10万部台に低迷し苦しんだ時期もある。

その頃は、「りぼん」や「なかよし」に比べると二流の印象が拭えない「ちゃお」だったが、90年代後半以降には『こっちむいて!みい子』(おのえりこ)、『水色時代』(やぶうち優)、『アリスにおまかせ!』(あらいきよこ)などの人気連載が登場し人気が復活。ほかにも、アニメ化された『Dr.リンにきいてみて!』(あらいきよこ)、『ミルモでポン!』(篠塚ひろむ)など、人気作品を複数抱えていた。


ギャグから甘酸っぱい恋愛モノまでを幅広くカバーするようになったことや、豪華な付録をつけるようになったことがきっかけで、「ちゃお」は「りぼん」「なかよし」とは異なる新しい路線を確立したのだ。

そういえば、「山田優」が出ていた漫画があったよね


その独自路線のなかには、かなり前衛的な試みもあった。それが1997年にスタートした『はじけてB.B』(今井康絵)である。これは、SPEEDや安室奈美恵などを輩出した沖縄アクターズスクールとタイアップした作品で、歌って踊れるアイドルを目指す少女たちの奮闘を描いたものだった。筆者も好きで欠かさず読んでいた記憶がある。

なんとこの作品、実在の人物が登場していた。
なかでも驚きなのが、当時まだアクターズスクールに在籍していた山田優がキャラクターとして登場していたことだ。山田は本名のままキャラクターとして登場していたが、3人組のなかでは中心的人物ではなく、いわゆるサブの位置にいた。

それが今ではここまで有名なモデルになるとは、当時の小学生たちは思いもよらなかったことだろう。また同作には、ISSAも登場している。現在は残念ながら廃盤となっているが、古本屋で購入して読み返してみると、面白い発見があるかもしれない。

さて、2000年代前半は100万部を超える発行部数を誇る時期もあった「ちゃお」だが、2005年以降は徐々に低迷傾向にあり、現在では約50万部前後となっているという。
この度の「アイドル急行」の登場が、また大きな転機をもたらすことになると良いのだが……。
(野中すふれ)