第25週「大好き」第149回 9月22日(金)放送より。
脚本:岡田惠和 演出: 福岡利武

連続朝ドラレビュー 「ひよっこ」149話はこんな話
愛子(和久井映見)と省吾(佐々木蔵之介)が、はじめてじっくり語り合う。
二番目に好きな人のほうが
みね子(有村架純)とヒデ(磯村勇斗)がお互いの気持を確かめ合い、正式につきあうことになった。
恋の気持ちを、オリジナル楽曲「恋のうた」(歌:太田裕美)に乗って、ダンスで表現するみね子とヒデ。
好き好き好き がキスキスキスになるのって、細川ふみえの「スキスキスー」(01年)みたいだにゃあ〜なんて思いながら観る。
みね子は島谷よりも、ヒデのほうが、素が出せて、気楽につきあえるから良いのかもしれない。
一番目に好きな人は、理想的過ぎて、好き過ぎて。だから、若干、手の届く感じの、二番目に好きな人のほうが幸せになれる、というパターンかも。
省吾、降格?
手の届く感じの、二番目に好きな人といえば、愛子と省吾である。
当初、愛子は、省吾を神格化して、手の届かない「片思い」でいたいがために、必要以上に接近しないようにしていた。それが、いよいよ解禁という感じになって、省吾のほうが「私はスターじゃなくなった」「スターの座から転げ落ちたというか・・・」と若干拍子抜けの様子。
しかも、愛子は、戦争で亡くした想い人がまだずっと好きなようだ。
みね子にとってのヒデのように、愛子にとっての省吾も、二番目の人。
愛子が好きだった人は、彼女に未亡人になってほしくない、幸せになってほしいと願って、戦争に行き、そのまま帰らぬ人になった。
戦後20年以上経ってもずっとひとりの男性のことを思い続けていた身持ちの固い愛子。自分だけ幸せになっていいのだろうか、と思う愛子に、省吾はVサインをして見せる。
愛子の恋はどうなるのか。
君は、ジェスチャーゲームを覚えているか
愛子と省吾が語り合うため、すずふり亭の中に入るところを目撃した由香(島崎遥香)。
そこへ、デート帰りで浮かれたみね子がやって来た。
由香は、ジェスチャーで、みね子に、何かが起こっておることを伝える。
と、そこへ、鈴子(宮本信子)、さらに、早苗(シシド・カフカ)と世津子(菅野美穂)もやってきて、
みんなでそっと、省吾と愛子の様子をのぞき、涙涙・・・という流れ。
ジェスチャーで何かを伝えるのは、9、10話で、みね子の弟・進(高橋來)が好んでやっていたことだ。
「ひよっこ」初期のことを思い出してなつかしくなった。きっと、まだこれから、奥茨城村、谷田部家の話が出てきますよ、という無言のアナウンスに違いない。
舞台のようだ
149話は、前半のミュージカルふう演出と、後半のジェスチャーコントふうと、合わせて、舞台のようだった。
このノリが好きな人は、岡田惠和が脚本を書いた舞台「ミッドナイト・イン・バリ」が上演中(目下、日比谷のシアタークリエで、今後地方公演あり)なので、そちらもおすすめ。
演出は、岡田脚本でNHKでもドラマ化した「ボクの妻と結婚してください。」(15年)の演出をした深川栄洋。出演は、栗山千明、溝端淳平、浅田美代子、中村雅俊の4人。結婚前夜、バリ島にやって来た男女と、男の父と、女の母が、すったもんだするノンストップの会話劇だ。歌や踊りもあって、気楽に楽しめる。
今日の気になる
岡田惠和が、ドラマ版の「めぞん一刻」(07年)の脚本を書いていたことから、彼のオリジナルドラマには「めぞん〜」を彷彿とさせる部分が時々出てくるのだが(愛子さんが亡くなった人をずっと思ってるところは、未亡人のヒロインのようだ)今回、早苗が一升瓶を持っていた。
(木俣冬)