さて、10月25日に放送された第4話のテーマは何か?
第4話あらすじ
近所の豪邸に住む主婦・西条美佐子(星野真里)が開く「読書会」へ参加することとなった伊佐山菜美(綾瀬はるか)と大原優里(広末涼子)、佐藤京子(本田翼)の3人。
西条家にいる可愛らしい一人息子・悠斗(志水透哉)を見て、菜美らはメロメロに。
この回のテーマは「誘拐」か? ……そんなワケない。『奥様は、取り扱い注意』は、多くの女性が共感できる身近なトピックを扱うのが常である。

菜美の勘の鋭さについてはスルーしてほしい
西条宅のポストに投じた携帯電話を通じ、美佐子と光雄に指令を出す犯人グループ。身代金を用意しようと奔走する光雄に届いたメッセージは「家庭教師の女を身代金の運び屋にしろ」というものであった。
これを光雄が読み上げるや「困ります、そんなのできません!」と困惑する、悠斗の家庭教師の吉野真純(佐野ひなこ)。
さすがは、元・特殊工作員の菜美。西条宅に真純が現れてから起こった異変に、すぐに勘付いていた。
「旦那さん(光雄)はこの子(真純)が現れてから、一度も美佐子さんをまっすぐに見つめなくなった」
「この子が美佐子さんを見る目は、少しの敵意と多くの優越感に満ちている。たぶん、この子は旦那さんの愛人だ」
この回のテーマは「浮気」。もっと言うと「夫の浮気」だった。
それにしても、毎度のことながら菜美の勘は鋭い。
「善意の第三者を装って家に上がり込み、最前線で現場を見張っている。とても賢くてずるい犯人だ」
ここまでは、まだいい。なんとその先の先まで菜美は読み当ててしまうから、視聴者は良くも悪くも驚いてしまう。
「誘拐は、たぶん別れ話のもつれで起こったはずだ。旦那さんはそのことに薄々勘付いているけれど、確証が持てずにいて、お金でカタを付けようとしている」
一方、誘拐の実行犯を務めた大学生・秀人(柾木玲弥)は、不意に悠斗に顔を見られてしまう。その報告を受けた真純の様子を見て、菜美の推理はフル回転。
「この子の顔には緊張が表れている。たぶん、不測の事態が起こったのだ」
伏線は、光雄の挙動、真純の目つき、警察へ頼ろうとしない光雄の判断、犯人に家が見張られてるのに堂々と外で電話する真純の態度、といったところか? ……だとしても、菜美の勘が良すぎるでしょ! 謎解きの描写とか、色々はしょってる気がする。あと、菜美は「たぶん」ばっかり言ってるし。
……というツッコミは無粋。
“ずるい女”を演じるべきな佐野ひなこ
美佐子にとって、光雄と真純の関係はつらい。夫は、完全に不倫してるのだから。加えて、真純が“リベンジ”を目的に誘拐を犯している事実もつらい。これらの状況を踏まえると、さすがに美佐子が不憫すぎる。
極めつけに、このシーンがつらい。表ヅラは西条家のため協力する真純へ、美佐子が涙ながらに言葉をかけたのだ。
美佐子 こんなことに巻き込んじゃって、本当にごめんなさい。許してね。
真純 いえ、大丈夫です。
ナイスキャスティングである。ヒールな女性の役どころに佐野ひなこを当てはめるという判断が、とてもしっくり行く。誤解を恐れず言うが、ぜひ彼女には悪魔的要素を孕む役柄をガンガン演じてもらいたいのだ。演技力云々で語れない、ナチュラルな素養を持っている。女優として、立派な武器に成り得るのではないか?
振り返ると、第2話でAVのスカウトマンを好演した俳優・岡部たかしの起用も見事だった。電子書籍サービス「Renta」のCMで麻生久美子の頭に“ポン”とおすすめの本を置く、あのイラっとくる行為。“女の敵”な役どころを演じさせたら、彼こそは適材適所だ。第3話でママ友のボス的存在を演じた青木さやかも然り。
なるほど。このドラマは、週ごとのゲスト俳優について注目していくのも面白い。
町内から夫がドンドン去っていく
話を第4話へ戻そう。防犯カメラに映る自動車ナンバーを頼りに秀人らの居場所をつかんだ菜美は、彼女らしく正面突破を図る。
抱き合う美佐子と悠斗。そして、妻と子に寄り添う光雄。この光景を呆然とした表情で見つめる真純。
「逮捕された後、犯行の動機を聞かれたこの子は『子どもを堕ろしたショックから立ち直れずにやってしまった』と答えたそうだ」(菜美)
浮気相手には浮気相手の悲哀があるということか。
その後、かつてのように西条家では読書会が開催された。光雄と別れた美佐子はショックから立ち直るべく、悠斗と2人でこれからは頑張っていくつもり。この結末がハッピーエンドになるかどうかは、美佐子次第である。
しかし、第1話のDV夫といい、第3話で夫に出て行かれた貴子(青木さやか)といい、今回といい、菜美の町内には自宅を手放す夫が続出している。
これはこれでつらい。
(寺西ジャジューカ)